Tips 決闘祭

 ※設定情報のみの回です。読まなくても本編は理解できますので、飛ばしていただいても大丈夫です。



決闘祭トロパイオン

 年に2回行われる、祭器同士が戦う大会。巨大なドーム型施設で一対一のバトルが行われる。

 千年前に「神」によって制定された絶対遵守の仕組み。各国から出場した決闘士の勝敗数ならびに順位によって各国の力関係が変わる。大会はトーナメント式で実施され、複数の決闘士が勝ち進めばそれだけ国に与えられる各種権限、税の優遇、国交条件の緩和、災害に対する復興支援などが強化されていく。また国同士で揉め事が発生した場合も決闘祭で決着をつけることが決まりとなっている。その場合も、勝ち進む決闘士が多い国の言い分が通る。

 この規定とは別に、優勝者を排出した国には特別な報酬――願いを一つだけ叶える権限が与えられる。そこに序列は関係ない。たとえば、初戦敗退ばかりで序列が底辺の国であったとしても優勝者一人を出せば、強力な権限執行の機会が得られる。

 全てが大会の結果次第であるため、各国は異世界からやってくる「ヒト族」を教育し、強い決闘士を多数確保することが命題となっている。同時に祭器の保有数を増やすことも勝率を上げるための重要な要素となる。

 なお、保有する祭器が0になった時点で決闘祭への参加資格が消失する。その場合、国家の調停に参加できないことになるため、国としての体裁を失う――つまり、国は解散となる。


【決闘祭のルール】

 決闘祭にある明確なルールは2つのみ。


 1.祭器が戦闘不能になった時点で勝敗が決する

 2.勝利した国は、相手国の祭器もしくは決闘士どちらかを接収することができる


 1.の方法に制限はない。どんな手段を使っても不問となる。

 最もオーソドックスな方法は2つある。1つはセンサを搭載した頭部の破壊である。モニターの映像が途切れるため、相手が視認できない状態は戦闘困難とみなされる。

 もう一つは祭器の背部ユニット破壊、すなわち決闘士を殺して戦闘不能にする方法がある。

 2つの方法のうち、面積の大きい背部ユニットのほうが狙いやすいメリットがあるものの、決闘士を殺すと自動的に接収できるのが祭器のみに固定されるデメリットが生じる。そのためエルフ王国など決闘士殺しを禁止している国もあるが、意図的に決闘士を殺すことで「相手国から機体を奪いつつ戦力も削ぐ」という考えを実行する国もある。しかし、どのような目的があろうと、何をしても原則通り「不問」である。

 2.は大会の報奨として規定されている。決闘士を接収するメリットは、他国の人材を引き抜くことで自国の戦力強化&相手国の弱体化が達成できる点にある。祭器についても同様のメリットがあるが、もう一つ大きな理由として「祭器を増やすためには他国から奪うしかない」という点が挙げられる。祭器の新規製造方法は既に失われているため、現実的には奪取という方法でしか保有数を増やせない。※注1

 逆に言えば、決闘士を奪われることはすなわち育てた強者が他国の手に渡ることであり、同時にその人間から情報を入手されるデメリットが生じる。だからといって、高い実力を持つ人間を温存すれば決闘祭で大きな戦果を上げることもできなくなるというジレンマが発生する。

 祭器を奪われることも同様にデメリットがある。参加した決闘士の勝数と順位によって国の権限が決まる仕組みのため、参加させる機体が少なくなればなるほど国の弱体化に繋がり、最悪は解体の結末が避けられなくなる。

 そのため各国はバランスよく決闘士と祭器どちらも確保する必要があり、このルールによって前述のような決闘士殺しばかりが横行する事態はある程度自粛される傾向にある。


 ※注1 入手には奪い合うしかないとされているが、もう一つ「発掘」という方法で祭器を確保できるケースがある。太古に製造された祭器は古代遺跡や地中に埋められていることがあるため、未だ発見されていない機体を発掘できれば自国の保有数を増やすことができる。ただし発掘には時間と資金がかかり、ドワーフ族の協力も必要になるため、他国から奪う方法を選ぶ国は多い。

 なお、祭器が様々な場所に埋められている理由は明らかになっていない。


【決闘祭の流れ】

 決闘祭はトーナメント方式で行われる。参加できる人数は48名まで。ほかに前回優勝者、準優勝者のシード権を持った人間2人を入れた都合50名によって優勝が争われる。

 最初に48名で決闘が行われ、次に24名、12名と勝者同士の組み合わせによるトーナメント戦が行われる。勝者が6名になった時点でシード権を持つ前回優勝者と準優勝者が参加し、8名による戦いになる。その勝者4名同士で準決勝が行われた後、最後に勝ち残った2名の決闘によって優勝者が決まる。

 なお、決勝戦には「祭器か決闘士どちらかを接収する」というルールは除外される。強者を体よく接収できる機会になるため、大会バランスを崩しかねないとして設定された。

 また、各国から参加できる決闘士は4名までと決まっている。単純に計算すれば12国×4名=48名(シード権は除外)になるが、各国の状況や思惑によって4名すべて参加させない(させられない)国も出てくる。その場合は空き枠として開放され、余力のある国が多くの決闘士を出場させることができる。

 勝ち進んだ決闘士を多く持つ国の権限が強化される、という規定から、参加選手が多ければ多いほど有利になると思われがちだが、その反面、奪われる祭器や決闘士が多くなるという危険性も増える。

 勝率の高い決闘士を少数精鋭で送り込むか、空いている枠に目一杯の決闘士を送り込むか、祭器と決闘士どちらを接収するかなど、国の高度な政治的判断が絡んでくる。決闘祭が各国の代理戦争と評される所以である。

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