第24話 アリーナはどこ?!

「アリーナはみつかった?!」

「いえ、まだ……大丈夫、捜索隊を編成して王都をくまなく探しています。必ず見つけます!」


 レイスくんは捜索隊を指揮しにまた外に飛び出ていった。


 明け方になってもアリーナの行方は掴めなかった。


「赤竜おじさま、どうしよう……アリーナどうしちゃったんだろう……」

「ルカ……」


 赤竜おじさまは優しく抱きしめてくれた。少しだけ心が落ち着く。でも。


「おじさま、アリーナは――私の代わりに何かに巻き込まれたんだよね?」

「私のせい、なのかな……。」

「ルカのせいじゃないさ。大丈夫。アリーナはまだ無事だよ。」


 “まだ”無事。



 すっと赤竜おじさまから離れて、おじさまの目をまっすぐ見る。


「赤竜おじさま、何か知ってるんですね?」

「………………。」


 赤竜おじさまの表情が暗い。


「おじさま!」

「……アリーナは巫女のローブをまとっていた。あれがある限り、すぐにどうこうされることはないよ。」


 ――神竜様の加護を得たローブ。それが身を守ってくれる。それはつまり。


「魔族、なんですか?」

「………………。」


「言えない、んですね……。」

「ごめんよ、ルカ。」


「今の私に、魔族を倒す力はありますか?」

「……一人で立ち向かってはダメだよ。」


 やっと赤竜おじさまが答えてくれた。


「……おじさまは、一緒にきてくれないんですか?」

「私は見守る役目だ。今の代の巫女として、ルカが立ち向かわなければならないんだ。」


「……おじさま、騎士に与えた浄化の炎って、なんのことですか。」

「私が教えたことを、よーく思い出してごらん。必要なことは、伝えてあるよ。」


「…………私が負けてしまったら、赤竜おじさまが代わりにアリーナを助けてくれますか?」

「そんなことになったら、私でも勝ち目はないよ。」


 そんなに強大な相手なのかな……。勝てるのかな?


 ううん、勝たなくちゃいけないんだ。



 夜が明ける――ニックくんなら、何か知っているはず。




******


「そうか、本当の竜の巫女はルカの方だったのか。」


 翌朝、ニックくんにはすべてを話した。


「ねぇお願い、あなたが隠していることを教えて。何か知っているんでしょう?」


 ニックくんに縋りつくようにして、彼の目を見る。


 ニックくんは迷っているようだったけど……何かを決意したように私の目を見つめ返した。


「俺には従妹がいたんだ。」


 従妹?


「でも1年前、流行り病で命を落とした。」

「………………。」


「叔父は絶望してた。“なにが神竜様だ”って。そして、それまでの信仰を捨てた。」

「………………。」


「俺の叔父は、大神殿の神官長だよ。もしもアリーナさんが居るとしたら、そこだ。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る