第10話 少なくとも私は Part2

夜が明けていく。


オースを操っていた龍はカードになり、ヴォーテに向かっていく。

人々が彼を見つめる。


「うぅ…」


オースが意識を取り戻す。


「俺は…」


「お前は【冠味龍かんみりゅうソーラー】に操られ、いいように利用されていたのだ。

奴は私が倒した。

お前の策もここで終わりだ」


「どうなってんだ…」


周囲がざわつくのでヴォーテが説明する。


「この男は私達を倒し、七掌陣を独占するために人の集まるこの町に潜んでいたのだ。

この男は開闢ドーンの一員」


開闢ドーン…」


「ってことは、あの風瓜という少年が七掌陣だというのも…」


「それは、本当のことだ」


再び周囲がざわざわとする。


「しかし!」


ヴォーテが声を荒らげる。


「しかし、我々は人々に危害を加えるつもりはない。

風瓜もそんなことは望んでいない。

どうか聞いてほしい。

風瓜の正体について」


「風瓜の正体だと?」


ヴォーテは皆に、繁風から聴いたことを説明した。


「嘘だろ…」


「本当なのか…」


「俺達を欺くための作り話って可能性も…」


「(すまない繁風。

君が8年もの間隠し通した事実を…。

しかし、今は正直に話すことで、君達を守れるかもしれない)

当然、にわかには信じ難い話だ。

私達を信用するか、この男を信用するか、それはあなた方に任せたい」


沈黙が訪れた。


「少なくとも、私は彼らを信じる」


煌明龍こうめいりゅうクレアー】を召喚し、ヴォーテは飛び去った。


彼の言葉を信じたのか、混乱して動けなかったのか、後を追ってくる者はいなかった。


オースが開闢ドーンに連絡する。

ヴォーテに敗北したこと、風瓜が七掌陣であること…


その人物は一人思う。

「(いよいよ七掌陣が揃う…)」


続く…

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