第6話 新たな仲間を得よう

 翌日以降も、俺達は、この場所で魔物を狩りを行っていた。

 しかし、この小鬼、毎日これだけ狩り続けても居なくならないなんて、不思議だよな。

 そして、ミサが魔法を使えるようになって、効率も上がっていた。まだ、それほど回数を撃てないが、それでも短剣の攻撃が、威力がある魔法に変わったのだ。上手く魔法が当たれば一撃で小鬼が魔石に変わってしまう。

 また、スキル技能も順調に習得しているので、それに伴い攻撃力やなにやらも上がって行く。そして更に狩りの効率は、どんどん良くなる。

 まぁ、俺も魔法技能を上げるべく、付与魔法を使っているというのも、効率が良くなっている原因であるけども。


 そんな訳で、最近は、狩りの稼ぎも銀貨3枚以上となっていた。

 しかし、レベル1の技能習得は、1日で出来ていたが、レベル2になると5日程掛かるようになり、思うように進まずにいた。

 そのレベル2も俺は、斧術の習得がなんとか終わり、リア達も恐らくだが、明日には、レベル2の習得は終わるはずだ。

 さて、レベル3の技能、ここで習得できるのか?できたとしても、かなりかかりそうだよな。と言ってもそれが終わっても、次のレベルの習得をするすべが今のところがないのだけどな。

 そう考え、休憩の合間に、今後について相談することにした。


 「なぁ、ちょっといいか?俺の斧術ついに、レベル3になったんだけど。」


 「すごいじゃない。」


 「おめでとうです。」 


 「ああ。ありがとう。それはいいんだが、多分リア達も明日辺りで、レベル3になると思う。」


 「そうだな。一緒に狩りをしているのだし。それで?」


 「レベル2で、大体1つの技能習得に5日くらいかかっただろ。」


 「ああ、だな。」


 「はい。」


 「するとここでは、レベル3は、何日かかるか分からない。もしくは、全く入らない可能性もある。」


 「確かにな。」


 「そこで、そろそろ狩場を変えようかと思うんだが、いい狩場を知らないか?」


 「狩場かぁ。ここ以上となると、遠出をしないとだし、3人だときつそうなんだよな。」


 「そうですね。前に話した習得向けの狩場でも往復に1日かかります。敵も集団戦闘が基本になるので3体から5体が連携して攻撃して来るので、3体くらいは対応できても、それ以上は厳しいかもですね。」


 「なるほどな。では、仲間を増やそう。」


 「いいけど、心当たりはあるかよ?」


 「いや、ない。逆にリア達はないか?というか、そもそもパーティーメンバーを増やすときって普通どうするんだ?」


 「うーん、あんたと合った時のように声を掛けて、上手くいきそうなら、何回か一緒にやって大丈夫そうなら、そこでパーティーを組む感じかなぁ。」


 「でも、ギリーさんは、いきなり誘って来ましたけどね。」


 「そうだったのか、すまん。」


 「あの時は、何か裏があるのかと、本当に疑って掛かったんだぞ。」


 「リアは、ずっと怪しいと言い続けてましたものね。」


 「普通そうだろ?合ったその日にあんないい条件だして、パーティーに誘うなんて、普通おかしいわ。」


 「そうか、ますますすまんな。」


 「それと、パーティーに誘う方法としては、ギルドで募集を掛けるのもあるけど、お勧めできないですね。」


 ミサが、逸れた話を戻そうとそう言って来た。


 「どうしてだ?」


 「面倒そうなのが来る可能性が高いのよ。寄生する気まんまんなのとか、酷いのになるとパーティーを陥れて、有り金と装備を奪ったりとかね。」


 「成程な。それでは、お前達で声を掛けてもよさそうな奴はいるか?一緒に寝泊まりしてる連中やお前らに寄って来る連中とか?」


 「一緒に寝泊まりしているのは、お互いの自衛のためだから、あまり親しくしていないんだ。お互いの嫌な所とかわかっちゃうと一緒に居づらくなるじゃない。後、言い寄って来る連中なんて論外よ。論外。」


 リアは、以前に言い寄られた連中が、うざかったのか、強い口調でそう否定した。


 「そうなんですよねぇ。お役に立てず申し訳ありません。」


 「俺も当てがないのは同じだ気にするな。」


 そう言って、取り合えず話はそこで打ち切って、狩りを続つけることにした。

 ゲームの時は野良で適当に誘って気が合えば一緒にやってとかやっていたが、現実だと気に入らないから断るとか面倒だよな。それ以前にここで狩りをしてると他に人が来そうになんだけど。さて、どうすんべ。





 結局、リア達がレベル2の習得が終わっても、しばらくここで狩りを続けることになった。

 まぁ、焦っても仕方がないし、リア達は、稼がないといけないから狩りは続けないとだしな。


 そんなある日、俺達は、いつも通り狩場に着くと、そこにはいつもと違った光景があった。2人組の先客がいたのだ。

 2組になっても、ここの敵をすべて狩るのは到底不可能だから、まったく問題はないけどな。

 先客の動きは参考になるかと眺めながら、戦闘の準備をしていたら、先客の釣り役のが正面の目標の魔物2体に気を取られ過ぎたのか、急に方向を変えて横から来る3体の魔物に気付かず、両方の敵を釣ることとなってしまった。


 「おい、まずいぞ。あれ。」


 「ああ、助けに行こう。」


 「そうね。急ぎましょう。」


 俺が、咄嗟に気付きリア達に知らせると、武器を持ってすぐさま援護に向かう。

 魔法が届く距離に入る手前で、援護する旨を向こうのパーティーに宣言するため、叫ぶ。


 「加勢するぞ。」


 「頼みます。」


 向こうは、余裕が無く、そう短く返事が返って来た。

 俺は、それを聞いてすぐに走りながら、戦っている2人に『勇気の心』と『体力強化』の付与魔法を飛ばす。

 ミサも魔物を射程に捉えると、立ち止まり、固定砲台になり、『魔弾』の魔法を撃ち込んで援護を行う。取り合えず何体かこちらに気を引くため、遠慮なしに連射している。

 魔法で2体倒し、リアが加勢に入ったことで、戦闘は安定し、俺が最後に止めを刺し、戦闘は終了した。


 「危ない所、ありがとうございます。助かりました。」


 「ええ、魔物の集団を取り合いになるところでやってた弊害で、周囲の警戒がおごそかになっていました。助けて頂きありがとうございます。」


 「なに構わない。こっちも、いい準備運動になった。」


 「お詫びと言っては、何ですが、魔物のドロップは、そちらの取り分としてください。」


 「いや、幸い魔石は5つ、牙は2つだ。お互い平等に、魔石はそれぞれ1個づつ、牙はお互い1つづつで構わないだろ。」


 そう言って、俺は俺達の分を貰い、残りを渡した。


 「いいのですか?すいませんです。それと紹介が遅れました。こちらのお方は、クライン商会のディート・クライン様、太刀使いであられます。私は、お嬢様の従者で衛士のパルマといいます。」


 「ディートです。よろしくお願いします。」


 「ああ、俺は、ギリーだ。回復士だ。」


 クラインを名乗っているから、商会主の娘か孫あたりか?そんなことを思いながら、こちらも名乗りを上げる。


 「私は、リア、剣士よ。」


 「私は、ミサ、魔法師です。よろしくね。」


 お互い挨拶をしたあと、パルマが何か所か傷を負っていたのに気付き、俺は、遅ればせながら治療を行った。それからまた、2、3やり取りをした後、別れようとした。だが、リアが俺の腰を肘で突き、小声で話しかけてきた。


 「ねぇ、彼女らを仲間に誘ってみない?悪い人じゃなさそうだしさ。」


 うん、俺も考えたが、女性ばかりになってしまい、居づらくなると思い、敢えてスルーしようとしてたのだが。

 しかし、これも多少の縁と言うやつか。結構いいとこのお嬢さんなようだし、新な情報源としても有用そうか。よし、いいだろう。

 リアに言われて、そう考えなおし、彼女らを勧誘するべく声を掛けた。


 「なぁ、君達、ここであったのも何かの縁だ。取り合えず、しばらく一緒にパーティーを組んでみないか?」


 「どうします?お嬢様。」


 「ええ、そうですね。世話になりましょう。よろしくお願いします。」


 パルマに問われ、どうしようかと、思案していたようであったが、そう言って、ディートは手を差し出してきた。

 これは、俺の世界の流儀と一緒でいいんだよな?俺もその手を握り、握手をした。

 こうして、試しに3日程ここで狩りを一緒にすることとなった。

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