(161)王様も時には間違えるのです。
ガルディアラスは、確かに文献や結界魔道具の保全が目的とディジーリアには伝えた。
それにディジーリアは、確かに頷いた筈だった。
それは即ち、ディジーリアが『魂縛』で魔導師達の自由を奪い、騎士がそれを捕縛して、魔導師の手が回らなくなった時点で文献や結界魔道具を確保するものと考えていたが、そうはならなかった。
「はいはい、では皆さんこちらに集まって、周りに広がらない様にして下さいね?」
内側の操作を含めて扉の開き方を聞いたディジーリアは、いとも容易く扉を開いて、その場の全員を扉の内へと招き入れた。
鳴る筈の轟音でさえ振動のみを残して鳴りを潜め、中へ入れば入ったで魔導師達は静止した姿で無音だ。
その段階でガルディアラスが指示を出す前に、ディジーリアが出した指示が先の言葉だ。
集まる面々を余所にして扉が独りでに閉まり、そして魔導師達が動き出した。
一瞬ふらついた様子を見せはしたが、それも連日の疲れの所為と頭を振って、丸で違和感を感じた様子は見せなかった。
「では尋問を始めましょうかね? 私は文献とか結界の魔道具の保全に、この人達は不可欠と思うのですよ。なので、聞きたい事が有れば聞いてしまうのが早いですよ?」
「待て!? ここで話をしても構わんのか!?」
「『隠蔽』を掛けてますから、一般人にはまず気付かれませんね!」
本人だけではなく、周囲もその範囲に含める『隠蔽』などと、巫山戯た話だった。
蔵守隊を取り纏めるサイファスラムだけは呆れた声を漏らしているが、大丈夫と言われて声を出せる者など居ない。
呼吸音すら抑えようと、口を掌で覆う者ばかりである。
「お主は……全く、呆れるしか無いわ。
訊く事ならば、まずは何をしているのかと、他の魔導師との関わりと、我への報告を怠った理由だな」
それを聞いてふむふむと頷いていたディジーリアだったが、ふと後方を見遣ると「離れないで下さいねー」と声を掛ける。
緊張で倒れそうになっていた女史が、ふらふらと奥へ向かおうとしていたのを、恐らくは魔力で引き戻し留めていた。
「では、ぶつぶつ声を出してくれている人が一人しか居ませんから、その人の声を使って他の二人から聞いていきましょうか」
軽くそう言ったディジーリアが、誰の物とも知れない声を響かせる。
『どうだ? そっちは何か分かったか?』
一人は舌打ちをして首を振り、もう一人が何をしているのかを思わせる言葉を吐く。
「駄目だ。せめて何の魔獣の、では無く、どんな性質の魔石か書いてくれれば代用品も探せる物を」
その言葉に、何故か蒼白な女史が「ヒゥッ」と小さく悲鳴を漏らす。
続いてその応えた男の声で、初めの声の男へと問い掛ける。
「――いや、新しい事は何も、だな。何れにしても、魔石を手に入れて試してみるまで何も言えん」
その回答でガルディアラスも理解する。
恐らく結界の魔道具は、既にその機能を失っているのだと。
怒りを身の内に感じたが、ディジーリアの操る問いが、その発露を抑え付けた。
『上の奴らめ――』
憎々しげに、随分と上手く演じるものだとガルディアラスは思う。
そしてまた、誰も違和感を感じていない様子なのが怖ろしいとも。
「言うな。祈って踊るのが魔術の研究と思っている奴らに引っ掻き回されては、進む物も進まなくなる」
顔も上げずに鼻で嗤った男は、他の魔導師との決裂を思わせる言葉を口にした。
「既に会計も別にしている。彼奴らを当てにしても意味は無い」
初めの問いには答えなかった寡黙な男の答えは、その確信を決定的な物とした。
「お前がそれを言うとは珍しいな。袂を分かたれたのは、お前が尽力した成果だろう? 既に気に掛けたりはしていないと思っていたが」
初めの声の男は、寡黙な男の声での問いに、そう答えた。
その答えを聞いて、少し考えたディジーリアが、順番に問いを放つ。
『せめて陛下にはこの状況を伝えねば――』
寡黙な男の声での問いに、始めの問いに答えた男は不思議そうに答えて頭を上げる。
「それはお前が嘆願書を出して予算が下りているのだから、陛下はご存知の上での現状だろう? まぁ、確かに信用出来る人手はもう少し欲しいとは思うが」
ディジーリアがガルディアラスを見上げる。
ガルディアラスは目を見開く。
『俺が出した嘆願書は本当に陛下に届いているのだろうか』
寡黙な男の声での問いが、初めの声の男に届く。
「届いているからこそ予算が下りているのだろう? 気に病むな。私達は私達の仕事をすれば良い。それが陛下の望みだろう」
『お前が出した嘆願書には何を書いていたんだったか』
顔を上げた男の声が、寡黙な男に届く。
「現状は余す所無く書いた。結界が本来の機能を発揮しているとは思えない事も、予備の魔石が枯渇している事も、その入手の目処が立たない事も、全てだ。最高機密故に明かせる相手が居ないとは言え、終わりが見えないのは何とも気が滅入るな」
疲れた溜め息の重さに、ガルディアラスこそ気が滅入りそうだった。
「ちょっとこれは酷くないですかね? 名誉関係無く、職務に忠実な奇特な人達ですよ? もう『隠蔽』も解いてしまいますね?」
「ぐぅ……現状は把握した」
呆れた声のディジーリアに、ガルディアラスが返した途端に、叫び声と椅子を蹴倒す音が響く。
魔導師達が、三者三様に驚きを示していた。
『隠蔽』を解くのが早いとディジーリアへと目を向けても、責める視線が返って来るばかり。
ガルディアラスは仕方無く、何事も無かったかの様に言葉を繋げたのである。
「済まないな。お主らには随分と迷惑を掛けていたらしい」
――と。
~※~※~※~
あー、随分と酷い物を見てしまいました。
酷過ぎて、表には出せそうに有りません。
王様も珍しく気を遣った様子で哀れな魔導師達と話をしています。
サイファスさんも苦笑いですよ。
「――では、お主ら以外の魔導師とは、魔術を語るに値しないと?」
「彼らに取っての魔術は、装具の質と秘匿している魔術の数ですので。魔術の研究とは祈りの作法らしいですから、私達とは話が合いません。最近は、より典雅な魔術の表現に傾倒しているらしいですね」
「…………ディジー?」
無茶を言われた王様から、分かるかという視線を送られてしまいました。
「分からなくも無いですかね。実際今の魔術教本は酷いですよ? 『水球』を発動するのに必要なイメージは、「母なる海と溢れる愛」だそうです。ポエムですよポエム! それも頭が痛くなりそうな! アレと一緒にされるのは嫌と、袂を分かつのは正解ですね!」
そして王様の表情が固まりました。
魔導師達も、頭の痛そうな顔をしています。
「私も姪に問われて気付いたが、十年前迄の魔術教本には、今とは違って魔術には『儀式魔法』と『根源魔術』の二つの魔術が知られていると書かれていたのが、今や魔術とは唯一つで有るかの様に書かれてしまっていたな。
昔の教本では『儀式魔法』と『根源魔術』の優劣を問うたり、況してや二つだけとも記されてはいなかったと思うのだが。
尤も、ディジーが元凶を叩き潰してくれたから、これからは良くなるだろうが」
ロルスローク先生が後に続きましたけれど、叩き潰したって何の事でしょう?
「我が魔術に関心を寄せていなかったとは言え、そこまで状況は酷かったか」
「ですから、ポエムなんですって。あの教本で『儀式魔法』を覚えた人は頭の中で恥ずかしいポエムを呟いているのですよ? そんな仕様を送られて来ても、神様だってげんなりしてしまいますよ」
そう思ったのは私ですが、魔導師達が頷きを返しているのを見れば、そう的外れでは無い筈です。
考え込んだ王様が、私へと目を向けて言いました。
「ディジー、お主の教本への此奴らの感想を聞いてみたい。摺り合わせるなら此奴らだろう。持っているなら見せてやれ」
まぁ、持っていない筈は有りませんから、魔術講義で使った一式を三つ渡してみましたら、酷い事になりました。
初めは疑問を感じながら、次は目を見開いて凝視して、脂汗を流しながら呼吸も浅く繰り返し、悶絶しながら呻き声を上げて、のたうち回って力尽きました。
しかし、虚ろな視線を見上げて曰く。
「「「認めたくは無いが、この上無く納得出来る」」」
三者三様に実際は多少言葉は違えども、ほぼ同様の答えです。
「笑える。セーロバン家の秘匿魔術である『
「待て!? 私の家の――ぐっ!? 『渡河』は『水蜘蛛』の事か!?」
「はははっ、効果を見れば話に聞く名家の秘匿魔術がずらりだ。これは笑える。確かに笑えるな!」
そして居住まいを正すと、厄介な事を言い始めました。
「……陛下。この教本はそちらの少女の手に依る物とお伺いしましたが、一つ紹介は頂けませんでしょうか」
「うむ。此奴こそは魔術で特級はランクBに至ったデリリア領の英雄ことディジーリアだ。ついこの間の冬の一月三日と四日に、この教本を元にした魔術講義を執り行わせている。魔導師長共も招待されていたが、遅れて来た挙げ句に我の姿を認めて気絶しておったな」
「なんと勿体無い!!
いえ、私はこれまで魔導師と自任しておりましたが、今此処に魔導師の名を返上させて頂きます。魔導師の名はディジーリア殿にこそ相応しい!!」
「私も同じく! 私の昏迷を晴らしたこの教本こそが導きに値する!! 魔導師の名はディジーリア殿に!!」
「右に同じく!!」
いえ、要りません。
そんな私の様子を一瞥して、王様が言いました。
「気持ちは分からぬでも無いが、此奴には宮勤めをするつもりが無い。故に、割り振るとしても実権の無い御意見番だな。その程度なら協力も期待出来よう。
だが、我はお主らを魔導師から下ろすつもりは無い。譬え事実がどうであれ、魔術を世の役に立てようと身を削って来たならば、十分に魔導師を名乗る資格は有る。故に――」
こういう時は、私を理解してくれている王様の存在は有り難いです。
……でもですね、魔術に興味が無いからと、陸に奏上内容も確認せずに名声だけ与えて丸投げしていたのも王様なのです。
こうやって殊更穏やかに見せながら、丸め込もうとしているのがその証左です。
酷いですねぇ~。或る意味魔術界隈がおかしくなっていた元凶の一人みたいなものですよ?
今も魔導師達の訴えを聞いて、うんうんと理解を示す様に頷いていますが、もう後ろめたい事が有ると言っている様にしか見えません。
多分王様は、何か悪さを為出かした時程、こんな感じで気持ち悪くなるのですよ。
きっと王城へお食事に呼ばれる事はこれからも有るでしょうから、その時に王妃様にでも聞いてみますかね? きっと色々な話が出て来るに違い有りませんよ!
――と、そんな事を考えていると、また何か私に意見を聞きたい事でも有ったのか、王様がこちらを見ました。
そしてちょっとその顔を顰めます。
「……その目を
……おや? 内心が零れていましたかね?
でも、仕方が有りませんよね?
「目は心を映す鏡なのです。偽る事は出来ません!」
一つ頷いて、きりっと申し立てれば、王様が「此奴め!」と小さく口にすると、私の腰を手で挟んで、そのまま持ち上げる勢いでポーンと上に放り投げられてしまいました。
天井間際まで放り上げられて、そのまま落ちて、キャッチです。
王様にとっては言い訳の時間みたいな物でしたから、ストレスも溜まっていたのでしょう。突然のその行動も分からないものでは有りません。
でも、私にとってはそんな事は関係無く、何故か気分が物凄く昂揚していたのです。
良く分からないながらも、今のはとても良かったです。
そんな気持ちを瞳に込めて、王様を見詰めながら次を待っていると、何故か王様はそのまま私をサイファスさんに渡してしまいました。
王様と見詰め合った状態から渡されたので、今の私はサイファスさんに背中を見せている状態です。
でも、そんな状態でも、振り返りながらの仕草でサイファスさんは理解したのでしょう。
私は再び宙を飛び、体を捻って落ちる先はサイファスさんの腕の中。
見詰め合うサイファスさんと私。
そして何故かサイファスさんも、私を下ろしてしまいます。
椅子に座り込み、両手で頭を抱えているサイファスさん。
王様はと思えば、腰に左手を当てて、見上げる顔を右掌で覆っています。
「……ちょっと!? それは失礼では有りませんかね!?」
「調子が狂うわ!」
王様が叫びましたが、どう考えても王様達が失礼なのですよ!?
「はぁ、気を取り直して話を進めよう」
そしてそんな出来事は無かったものと流されて、再び魔導師達と話を詰めていく王様です。
でも、話の流れが此処に居る魔導師三人を魔導師として残して、上と言うか魔導師の居室に居る残りの魔導師を更迭する流れになっていますけど、何て言うか心配です。
「他の魔導師達にも魔術教本を見せて反応を確かめた方が良くは有りませんかね?」
私がそう口を出しても、鼻を鳴らすばかりの王様ですけど、つい先程と記憶も新しいのですけどね。
「他の魔導師は横領と背任の証拠を掴んでいる。考慮するに値せん」
「――とか言いつつも、この部屋に入る前も似た様な事を言ってましたよ?」
「ぐぅ!?」
「王様みたいな人が、不正の証拠を探し出せと命じたなら、事情を何も勘案しないで糾弾出来る材料だけ見つけ出してくるのですよね?」
私が収穫祭の稼ぎで貴族組の人達に発破を掛けた時に、王様からはそんな感じの事を言われました。
再び「ぐむぅ」と呻く王様です。
「魔術に欠片も興味を持って無くて、何を認可したのかも何の裁可をしたのかも憶えていない王様ですから、ちゃんと調べれば王様が自分でサインを書いた何かの書類が出て来るかも知れませんよ?
それでまた王様が温厚に見せ掛ける、気持ちの悪い振る舞いをする事になるのですよ。
ほら、『儀式魔法』を唯一の魔術と思っていたなら、結局何も出来ませんから、虚勢を張るしか無いのかも知れませんし、何も出来無い仕事を押し付けられて、でも上司はそれに何も興味が無くて延々放置されていたなら、きっと腐りもするでしょうね。
元凶の一人は王様でしたと、今日私は気付いてしまいましたよ」
それは王様に残念な物を見る視線も向けてしまうというものです。
そして今までは緊張から考えが頭に浮かばなかったとしても、私の言葉から事情を知った魔導師達も気不味気な表情です。
「今は此処に見向きもしないが、管理室の礎を築いたのは魔導師長だ。丁寧に書き込みがされた数多くの資料が残っている。
そう思いたくは無いが、魔導師長は何十年か後の私らの姿なのかも知れないなぁ」
「……手に余る名声を宛がわれた凡人の末路だな。この仕事が無ければ私も今頃どうなっていた事かと思うが、このまま何の成果も得られなかったなら……」
「もしこの道が魔導師長も通った道なら……ふぅ、彼はもう諦めてしまったのだな」
おっと!? 未来へ向けての建設的な話に入ろうとしていた筈ですが、ずずんと再び重い空気が立ち籠めています。
「私達は幸運だった。今この時期にディジーリア殿とこの教本とに出会えた」
「それは言えてる。魔術に関しては完全に道を間違えていた。と言うより、其処に居るのはロルスロークか? 頭を下げて教えを請いに行きもしたが、元々の仮定が間違っていれば、正しい答えにはどうやっても行き着く筈が無い。やはりディジーリア殿こそが魔導師に相応しい」
「ああ、実際にそれで特級に至った者が居なければ、今でも『根源魔術』など未開の地の妖しい
そんな落ち込みも、次には我が身の幸運として捉えた御蔭で、再び雰囲気は明るくなりましたけど、どうにも疑念でもやもやします。
「いえ、『根源魔術』を怪しい魔術扱いするのは、それこそ的を外した評価ですよ。
例えばそれが『根源魔術』なら、自分で魔力を動かして物を持ったり動かしたりしますから、魔力を鍛えれば出来る事と理屈も
でも、『儀式魔法』では、茹で玉子が食べたい~と願えば、生玉子が茹で玉子になっているのです。理屈を訊いても茹で玉子が食べたいと思っただけって、そっちの方が余程怪しいですよね?
私も以前は癒し手の一族なんて有名処は『根源魔術』の遣い手と思っていましたけど、『手当て』なんて『儀式魔法』が有ると知ってしまった今となっては、『儀式魔法』の方だったのではと疑っています。
世の中の怪しい『根源魔術』扱いされている事例の殆どが、実は『儀式魔法』って落ちは有りませんかね?
そんな感じで、実は『根源魔術』って、謂れの無い悪評を押し付けられては無いですかね?」
そして再びの沈黙です。
乱高下が酷いですけど、結局結論が出ない内に部屋の扉の向こうに来訪者の気配を感じて、王様の許可を経て招き入れる事になったのでした。
「陛下、制圧に向かった魔導師室ですが、妙な事になってまして……」
そんな報告を上げてきたのは、黒狼隊の隊長の一人です。
王様が頭の痛そうな顔をしていますし、落ちも既に見えている感じです?
「横領していたという予算の使い道ですが、どれも陛下のサインが入った認可書が有りまして……」
あのですね、私も本だけは数多く読んでいますから、色々な物語本での展開を知っていたりするのですよ。
その中には、理不尽を押し付けられていた主人公が成り上がるなどして、その理不尽の元凶を見返したり遣り込めたり復讐したりなんて分野の作品も、結構な数が有るのです。
でも、流石に王様の無関心が因果応報に巡り巡って、王様自身を苦境に立たせる様な作品には覚えが有りませんよ?
そして弱った感じで視線を投げ掛ける王様は、この上無く珍しいのでは無いでしょうかね?
譬え後ろめたい何かがあったとしても、王様は堂々とした姿で立っていると思うのですよ。
「済まぬが、ディジーも来て貰えるか? 他の者は此処で待て」
口にする言葉も弱気です。いつもなら「お主も同行せよ」で終わりです。
意気軒昂に国の膿を処罰するつもりで、そこに私達も巻き込んで裏付け込みでしっかりと後始末をするつもりでしたでしょうに、王様自らの過去の振る舞いで以てそれらが全て王様に返って来てしまっているのですから。消沈するのも致し方無しです。
まぁ、私は当然の様に同行しましたけどね?
そして其処でまたしても酷い物を見てしまいました。
「――ハァ……ハァ……ハァ……ぐ、ぅぐ……あ、あ、あ、あ、あ、ぅぁあああああ、はぁ、はぁ、はぁ、ぐああああああああ!! 何だこれは!! 何だこれは!! 謂れの無い罪で私を貶め、この様な書物で笑い物にしようなどと!! 陛下!! 陛下!! 生き恥を曝させるくらいならば死を!! 魔術の大家として生きたフォボスオル家の為にも名誉有る粛清を!! フォボスオルの献身を無意味な物としないで下され!! 愚か者では無く罪人として死なせて下され!! ぐぅううううう!! がぁあああああああ!! ――」
始めに見た魔導師長は、魔術講義の時に一瞬だけ垣間見た不貞不貞しい姿。
しかし王様に促されて私が魔術教本を渡してからは、ただ虚無と慟哭。
延々と続く、慟哭。慟哭。慟哭。そして慟哭!
流石の王様も顔を手で覆って、深い深い溜め息を吐いていたのです。
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