(60)鍛冶だとか指名依頼だとか、日々は雑多な寄せ集めで出来ているのです。

 次の日になりました。

 漸く待ちに待った念願の鍛冶祭りですよ♪

 なんてなんて、思っていたりもしたのですけれど、例によって例の如く、思い掛けもしない事なんてものは、いつもの様にやって来るものなのです。


 まぁ、悪い事では有りません。

 まずは金床も鎚も落ち着いて、見様によっては鉄色にも紅玉色にも見える、そんな有り様になっていました。そこへまだ少し手を加えられるとの直感に従って、更に金床の外周や、鎚の要所に輝石を埋め込んで、ささっと完成させたのが始まりです。

 そしておもむろに取り出したるは、鍛えの途中の毛虫殺し。

 この半端な状態に置かれているのは、毛虫素材の恐ろしさに気が付いたあの日、焦燥に駆られつつも、秘密基地では鍛冶を続ける事が出来なくなってしまったというのも有るのですが、まぁ、仕方が無いというものなのです。

 ――床が砕けてしまう予感。

 たとえ床に「活力」を与えて熔かし固め直したとしても、それまで以上の力を込めて鍛冶仕事をする事は、もう出来る話では有りませんでした。

 只でさえ、無意識の内に鎚に合わせて魔力でカウンターを入れていたのですから、床下に空間の有る石造りの床の上では、初めから無理が有ったのでしょう。

 それだけに、待ち惚けを食らわされていたのは、毛虫殺しだけでは無くて私も同じ。だからこそ、万全に万全を期して、準備に準備を重ねていたのですけれど……。

 ……どうやら少しやり過ぎてしまったようですね?


 築炉のお兄さんお薦めの周りを囲った火床で熱せられ、金色に輝く毛虫殺しに満を持しての一鎚。


 ――みぎゃぁあああ!!!!


 一晩休んですっかり回復した私の魔力を、鎚の先までしっかり籠めて、魂を込めたもう一鎚。


 ――ぎにゃぁあああ!!!!


 ……?

 頭の中に響き渡るは、毛虫殺しの絶叫です。

 むぎゅうと呻くは公演用の性格付けですけれど、態々それに合わせなくてもいいのですよ? なんて言いたいところですけど、どうにもそんな雰囲気では有りません。

 天火に灼かれる神話の霊獣ランビアムスの様に、慟哭の果ての転変を望むのでしょうか。

 どうにも私は、その絶望にも似た感情の中に、喜悦が混じるのが気になるのですが……。

 おかしな趣味に目覚めてしまったりはしませんよね?


 熱湯を浴びせられながら祈祷を続けるが如き毛虫殺しへと、「頑張れ! 頑張れ!」と声を掛けつつも、毛虫殺し自身が望む以上は容赦無く。

 私は鎚を振るい続けたのです。


 それにしても、床へ気を遣わなくてもいい鍛冶仕事は楽し過ぎますね。金床からのカウンターも当てていない訳では有りませんが、それは床を守る為のものでは有りません。ただ、毛虫殺しを鍛えるが為のわざなのです。

 ですけど振るう鎚も昨日までとはまた別物で、一打ち一打ちに神経が削られます。多分、金床と鎚も鍛冶道具としては特級に達しているのでしょう。特に埋め込んだ輝石。これが思った以上の効果を及ぼしている様でした。


 魔石と同じく輝石も固体化した魔力です。そして何故か魔力は固体化すると、それ自身が魔力で有るにも拘わらず、その内に固体化していない魔力を溜め込む性質が有るのです。

 魔術師が杖や腕輪に魔石を仕込むのもそれを見込んでの事ですし、魔石病を経て魔石を得たら強くなるというのもその辺りが関係していると聞きました。

 更に魔石は魔力の増幅もすると聞きますけれど……これについては良く分かりません。魔術師が魔法を使うその時に合わせて、溜め込んだ魔力を放出するなりするのが増幅させている様に見えるのではなんて思っていますけれど、本当のところはどうなんでしょう?

 加えて言うなら、私の場合、私の体を通すよりも、私の魔石を通した方が魔力の通りが良かったので、魔力の通し易さという点でも優れています。これが輝石になると、更に抵抗が全く有りませんから、その分魔法の威力だって上がるのでしょう。

 そんな輝石がぐるっと取り囲む様に埋められた金床と鎚。それ故に、一打ちする度に毛虫殺しの中を私の魔力が蹂躙し、そして毛虫殺しは絶叫するのです。


 今の毛虫殺しは魔物の鉄を取り込んだが為に、大剣の十本分かそこらの物量が有ります。にも拘わらず、毛虫の魔石に黒い魔石擬き、私の輝石に角の髄まで注ぎ込んで、二ヶ月掛かると踏んでいた鍛えの段階までが僅かに一日。そしてその次の日からは、別の何かが始まるのです。

 結局、素材としての毛虫殺しを鍛え終わったのが五日目です。ここから短刀や刀の形を作っていくのですけれど……。


を開けた方が良いですね?)


 毛虫殺しが呆けてしまっていて、ちょっと落ち着くのを待った方が良さそうです。

 それに今日は、二回目の研究所の会合が有る日です。今はまた、何日か徹夜した朝の時間。これからお風呂に入って出向きますが――ええ、今日も早速時告の魔道具が役に立っているのですよ?


「では少し出掛けてきます。私も気に掛けておきますけど、毛虫殺しの事はお願いしますね?」


 何と言っても、私の輝石が大量に有るこの鍛冶場の中は、どれだけ離れていても私の知るところに有るのですけれど、毛虫殺しを心配してずっと鍛冶場に付き添っていた瑠璃色狼に、ここはお願いしておくのです。



 領城の会議室に着けば、今日もオルドさん達が先に集まっていました。

 私は昼からとしか聞いていませんが、本当はいつから打ち合わせているのでしょうね?


「…………ふ~、今日は真面な格好だな」


 オルドさんの許容範囲が分かりません。今日の私は、指輪に付け髭は有りませんが、折角作った山高帽も上流コートも身に着けて、ステッキだって持ってきてます。

 次の機会にはお淑やかドレスでも着てきましょうかね? 案外慌てるオルドさんを見れるかも知れません?


「ほうほう……ちゃんと私の部屋と、仮眠室も有りますね……宿舎とお風呂も有りますので、私は言う事有りませんよ?」

「本当に仮眠室なんて要るんけ? 宿舎に帰った方が休めそうだがよぉ?」

「二日も徹夜すれば、直ぐ其処に仮眠室が無いと、部屋の隅ででも丸まりますよ?」

「それはお前だけだ! ……と言いたいところだが、所長がこれだからなぁ。似た者ばかりが集まってきそうで何とも言えんな」


 今日は棟梁も居て、わいわい言いながら図面を見た後には、獣車に乗って実際の予定地まで出向きます。

 街の北門を出て、畑が広がる其処を突き抜けた向こう。街道をちょっと外れた平地が向かう場所です。


 歩測しながら歩いて回って、整地と基礎で力を借りたいからまた二日後と約束をして、オルドさんからも五日後に公開での大猪鹿狩りとの打診を受けて、これもまた了解しました。

 結構飛び入りで予定が詰まりますね。


 予定地からの帰り道で、学園に寄って王都学院の入学に必要な書類を受け取ります。

 そのまま屋台でご飯を適当に食べて家へと帰ります。

 家へと帰れば鍛冶の続き。

 毛虫殺しはまだそっとしておきますし、今から瑠璃色狼に手を付けたら五日後の狩りに間に合いません。なのでここは剥ぎ取りナイフに手を入れましょう。


 そう思って手に取った、二時間後には六本全て終わってしまいました。

 え? 六本の内訳ですか? そうですね、毛虫殺しの分身の剥ぎ取りナイフは、今や毛虫殺しと一緒に鍛えていましたので有りません。瑠璃色狼の剥ぎ取りナイフも、瑠璃色狼と鍛え直す予定なので除外です。他には私の魔力の剥ぎ取りナイフが二本と、芋虫、森犬デリガウル大森蜘蛛デリチチュル歪蚯蚓ワームがそれぞれ一本ずつですが、強化に必要な魔石は森犬の魔石が小袋一つと、大森蜘蛛が同じく小袋一つ。森犬は大量に討伐したのに、魔石を持っている個体が少ない上に小さいので、これだけしか有りません。

 ですから少々私の魔力を継ぎ足した他は、ささっと仕上げて終わりです。まぁ、剥ぎ取りナイフですしね? 下手をすると使い捨てにする投げナイフにもするつもりですから、そこまで強化するつもりも有りません。

 剥ぎ取りナイフの中で特別なのは、毛虫殺しと瑠璃色狼の分身と、私の魔力を注ぎ込んだ二本だけ。でも、その二本も輝石が出来た今となっては型落ちですので、普段遣いの二本の他に、それこそ輝石で仕上げた二本を作ってもいいところです。それぞれ私の魔力の色そのままと、色を抜いたのとで二本作ってみたら、色有りと色無しの違いが何か分かるでしょうか。

 次に手を付けた二代目採取ナイフにも、サルカムという名前が付いていると分かった宝晶石擬きを叩き込んで、さくっと仕上げてしまいました。宝晶石サルカムはまだまだ残っていますので、植物用の剥ぎ取りナイフを造ってみるのもいいかも知れませんね。


 ですが、次は角タールです。

 毛虫殺しを鍛え直したその後に、必要になるのは鞘です。その材料となる角タールの改良も、必須事項と言えました。

 そして角タールと言えば、竜毛虫の角が一番です。毛虫や大毛虫、黒毛虫と比べても、硬さや重さが全く違います。タールを束ねる歪がより緻密というだけかも知れませんけれど、上等なのはやはり竜毛虫の角でしょう。

 竜毛虫の角は二本。大きく鋭い角が一本と、毛色が違う小さな角。小さな角と言いながら、両手で抱えないといけない大きさがありますが、こちらはどうやら普通の角と違って魔力を通すようですね?

 気が付かなければ混ぜてしまうところでしたが、これは中々使い勝手が良さそうです。


 まずは大きな角を、歪を解いてタールにして、器へと空けてしまいます。除いた歪みは適当に残った角へと絡めておきます。

 角タールに魔力を通して不要な成分を選り分けると、毛虫の蔕タールとは純度が違うのか、分離される量が少なめです。

 そんな茶色いどろどろは捨ててしまう事にして、残った漆黒の角タールを軽く歪擬きで纏めます。今なら歪擬きがあるのですから、態々歪は使いませんよ?

 そうして固まった角タールは、鉄と同じ様に金床の上へ。火床で熱したりはしませんが、鎚で叩いて私の魔力で不純物を灼き尽くすのです。


 そして出来上がったのが次の日の夜。一先ず毛虫殺しの鞘の分と思って選り分けたのを先に仕上げてしまいましたけれど、一打ちする度に漆黒が抜けて、私の輝石を練り込んだ今は丸で紅玉ルビーの様な出来上がりです。魔力を通さないはずの角タールが、私の魔力は通す様になってしまって、毛色の違う角との比較が難しそうですよ?

 瑠璃色狼に紅色の鞘は似合いませんので、そちらには色を抜いた輝石を使わないといけませんねと思いつつ、次の日は朝に北門に集合ですから、早めにベッドに潜りました。



 さて、次の日。歩いて行ける距離ですけど、北門で黒岩豚の獣車に乗って研究所予定地へと向かいます。


「この杭を打ってる内側のな、表土をちぃとそっちへ避けてくれや。で、向こうの瓦礫で埋めた後で熔かし固めて欲しいんだが、出来っけ?」


 早速棟梁は、私の工法を取り入れようとしていますけれど、他の人達が置いてけ堀になってますよ?

 今は態々裸足にならなくても、輝石を飛ばせば同じ事が出来そうですが、草の感触が気持ちいいので、敢えてここは裸足になって、指定された場所の上を歩きます。

 歩きながら浸透させた私の魔力が表土を飛ばし、これも言われた土置き場に小山を作りながら、ぐるっと一週回る頃には土は剥げて、瓦礫の下地が見えています。

 今度は用意されていた瓦礫の山の上に立って、其処から表土を剥いだ予定地へと瓦礫を飛ばし、予定地の上には寧ろ盛り上がった状態にしてしまいます。

 最後にそんな盛り上げた瓦礫の上を、裸足になっててくてくてく。今度はうろうろ行ったり来たりで満遍無く魔力を行き渡らせてから、じわっと「活力」を与えて熔かし込み、熔けた分だけ沈んだ上をならしながらも更にてくてくてくてくてく。


「おでれぇた……何を無茶を言ってんかと思ったがぁ、本に英雄は英雄なでぁ」

「うはははは、俺っちの所でも早いとこ『火魔法』使いを雇いてぇんだが、誰かいい奴はおらんかね?」

「流石に、こんな事が出来る奴は、いねぇんでねえがぁ?」


 棟梁が無茶を言っていますね?

 これは『火魔法』で無くて『根源魔術』ですし、そんなに簡単に『根源魔術』の遣い手が見つかっては、『儀式魔法』の使えない私の立場が有りません。


「だよなぁ……」


 まぁ、そこは棟梁も分かっている様では有りましたけれど。


 基礎を冷やすのに抜いた「活力」が勿体無いので、そんな棟梁達に声を掛けてから、外壁の造成に移ります。

 高さはドルムさんが手を上げたのより少し高いくらいですけど、外側には掘を造って、掘も合わせれば大毛虫でも乗り越える事は出来無いくらいに。内側は二段にすれば、防衛にも便利ですかね?

 まだまだ物資も運んで来ないといけませんから、邪魔にならない南側から。

 気が付けば南の一面張り終えたその頃に、再び棟梁達に呼ばれたのです。


「んじゃ、墨打った所に柱立てっから、真っ直ぐ一尋掘ってくれ」

「棟梁さんの腕で一尋ですか?」

「おう、そうでぇ! これだけ掘ってくれや」


 両手を広げた棟梁さんを見ながら、一尋分を掘り下げます。

 そこまで終われば、取り敢えずは御役御免。次は建屋が建ってからと、私は一人、獣車で街へと戻ったのです。



 家へと戻る途中で、本屋に寄ります。

 家を建てて、色々と設備も充実させたのですけれど、ちょっとした不満も有るのですよ。

 世の中の魔道具が、鬼族の魔石に頼っている以上仕方の無い事かも知れませんけれど、私には鬼族の魔石が崩れた後に残る、残り滓がどうにも気持ちが悪いのです。

 気が付いた時には「活力」で灼き尽くしたり、気で消滅させたりしていますけれど、私の輝石が使えるなら、補充や何かを考えてもそれが一番なんですよね。

 でも、私の輝石から魔力を取り出すなんて出来そうにも思いませんし、期待しないまでも何か情報が無いかと来たのですけれど……。


「おや、『ブラウ村のステラコ爺』の新刊が出てますね? ……買ってしまいましょう」


 目当ての情報は有りませんでしたが、まぁ、収獲が無かった訳では有りません。



 次は三日後に大猪鹿狩りです。

 それまでは、ただ只管ひたすらに、毛虫殺しを叩いて延ばして形を作って。

 そんな事をしていたら、直ぐに時間は過ぎていったのです。



「よーし、集まったな? 行くぞ!」


 と、オルドさんが声を掛けたのは、街の北門です。

 他の冒険者達は普段通りに南門から湖へ向かってますので、私もそうしたかったところですけれど、今日は主催者側との事でオルドさんと一緒に北門で集合だったのです。

 そこに有るのは協会の獣車が三台と、街の有力者が乗っている獣車が一台、黒岩豚に乗った騎士達も二個小隊二十人近くが集まっています。

 湖には先行している部隊も居るそうですから、随分と大掛かりになってしまいました。

 非番の騎士や、冒険者を護衛に見物に行く街の人まで居るのですから、ちょっとしたお祭りですけど、これでは流石の大猪鹿も逃げてしまったりしませんでしょうかね?


「よし、では行くか。言われた通りに角とたらいを持ってきたが、これでいいのか?」

「角と突起を保存するのは一頭目だけなので、これだけ有れば充分です」


 一頭目だけは全身保存で王都へと送りますので、角タールで保護しておかないと、きっと王都に着く頃には魔力が散って角も突起も形を無くしてしまっているに違い有りません。

 冒険者協会の地下に放置していたという大量の毛虫の蔕を、盥に一杯分程持ってきて貰いましたけれど、これが有ればそんな事態は防げますし、しんば防げなかったとしても角や突起の形を残す事は出来るでしょう。


 私は獣車の荷台の上で、盥の蔕角をタールに戻して不純物を選り分けてとしながら、湖へと向けて揺られていくのでした。

 そんな様子を見ながらオルドさんが、「『根源魔術』か」とか呟いていましたけれど、そうです『根源魔術』有りきです。

 こんなに便利な力なのに、世の中には『儀式魔法』ばかりが持て囃されて、中々儘ならないものですね。


 湖へと着く頃には、角タールもすっかり精製し終わって、再び歪を絡めて盥に嵌まった一塊ひとかたまりにしてしまいます。


「……確かにお前が扱い易い素材と言うのも分かるが。これを用意した理由は何だ?」

「この状態の角タールは魔力を通さないのですよ。角と突起は魔力を直ぐ放出してしまいますので、これで覆って留めるのです。失敗しても、形だけは分かりますからね」


 なんてオルドさんの問いに答えてしまいますけれど、角タールを剥がす人の苦労だとかは知りません。まぁ、きっと何とかするのでしょう。


「はぁ、王都の研究所にも伝えねばならんか。そう言えば、結局王都には行く事にしたのか?」

「ええ。秋になる前には着く様にしたいですね! 夏の余り月に入るちょっと前には出発しないといけなそうです」

「獣車で一月も、お前なら十日で余裕かも知れんがな。だが、王都の宿は何だ彼だと長期の客が多いからな。しかも秋は収穫祭の他にも催し物が多い。暫く居着くつもりなら、家を借りた方がいいかも知れんぞ? 早めに行って契約してしまうのを勧めるがな」

「……余り月に入る前に着いた方がいいですかねぇ。今一つよく分かっていないのですよ」

「スカーチル達が帰って来てから聞けばいい。だが、王都の壁を、ここと同じ調子で飛び越えるなよ」


 そんな事を言われながら、私は湖の畔に降り立ったのでした。



 それにしても、オルドさんも他の人も、腰の毛虫殺し改には一言も言及が有りません。

 何となく、元毛虫殺しへ意識を向けようとして、そこから逸らしている感じから考えてみると、気が付いていないのでは無くて、気が付かなかった事にされている様にも思えます。つまり、恐らくはこのかつて毛虫殺しだった物の仕業です。


 私の腰に有るのは、その毛虫殺しが進化した何か。黒いとも赤いとも赤黒いとも見える刀身には、やはり血管の様な紋様が蠢いています。それを包み込む角タールの鞘も、透明な紅玉の姿を顕して、神聖なのか禍々しいのか分からない有り様です。

 特筆すべきはその形。基本は今腰に有るナイフの形をしていますけど、短刀、短剣、刀、剣、鑓、戦鎚、戦斧と来た上に、普段は飲み込んでいる分の鉄も含めて全てを使った常識外れの長刀なががたなと、毛虫殺しが望んだのはこれまた常識外れの大剣です。

 何でしょうね? 適当に思い付いた幼女剣筆フクロマクラの創作に、感化されてしまったのでしょうかね?


 兎にも角にも、出来上がったそのナイフ。色々と毛虫の血肉を吸って太り気味だったところを削ぎ落として、私の一番遣い易い形にした物ですけれど、既に毛虫を殺す程度とは格が違ってしまっています。

 毛虫程度はいざ知らず、一度ひとたび振るえば昏い森の黒い魔力さえ斬り裂きそうな佇まい。

 ならば黒殺しか、黒斬りか、なんて思いもするのですけど、中々良いが決まりません。

 取り敢えず、銘は元毛虫殺しにも考えて貰う事にして、取り急ぎは「黒」と呼ぶ事にしましたけれど、これも早々に決めてしまわないといけないのですよ。


「よしよし、集まってるな! では、これから移動するぞ!」


 お祭り会場そのものな湖の畔で、オルドさんが声を張り上げましたけれど、私はちょっと困った顔でそれを止めざるを得ませんでした。


「……移動しなくても、そこに居ますよ?」


 湖に着いて、念の為に瑠璃色狼の剥ぎ取りナイフに魔力を通して調べてみたら、まさかとは思いましたが、群衆の中に見覚えの有る青い魔力の塊が有ります。


「ん? ああ!? 何だと!?」

「えー、そこの橙の髪の人の周りを、十尋くらい空けて下さい?」


 何だ何だと移動を始めて空いた空隙に潜り込み、そこを指差して宣言します。


「此処に居ますよ?」


 でも、当然の事ながら、誰も反応は有りません。

 その間に、青い魔力の僅かな動きで頭の位置を見定めます。


「どうしましょう? 一頭目はさくっと行きますか?」

「おいおいおい、本当に其処に居るのか!? 全然分からんぞ!? おい! 誰か分かる奴は居るか!」

「結構気合いを入れる必要が有るので、そちらは道を空けて下さいね。斬撃が飛ぶかも知れませんので!」

「正直全く分からんが、居ると言うなら証拠を見せてくれ。ほらお前ら、言われた通りに道を空けろ! 腕が飛んでも知らんぞ!」


 と、まぁ、いつでも良さそうでしたので、瑠璃色狼を鞘から抜いて、大猪鹿の魔力を「活性化」して、魔力と“気”を込めながら振り抜くと、さくっと手応えが残ります。

 血糊も付かない瑠璃色狼を鞘に納めるその頃に、本日最初の一頭目が、忽然と首を落としながら現れたのでした。


「「「「「ぅうおおおおおおおお!!!!」」」」」


 響めきが轟きますね。

 首から噴き出す血飛沫を、「流れ」で操り水球にして浮かせます。寧ろそのまま「流れ」で血抜きをしてしまいますが、今回ばかりは私もそれ以上の手は出せません。

 何と言ってもその為に、協会の解体要員が一緒に此処まで来ているのです。

 そう思ってオルドさんを見上げてみたのですけれど――


「――っは!? お、おお!? あ、か、解体班! 王都向けの解体を急げ!」


 流石のオルドさんも、動揺から直ぐには抜け出せなかった様です?

 用意された樽に浮かせていた水球の血を収めたら、角タールの用意をして出番を待ちます。

 ざわざわとした雰囲気の中で思うのは、やっぱり人に指示を出して動かすなんて事は、まぁ、するものでは無いですね、とか、そんな事でした。

 オルドさんは索敵に優れた冒険者や、火力特化の冒険者達に指示を出して集めていたりしますけれど、どうにも私には居心地が悪いです。

 こんなので所長なんてやれるとも思えませんけど、そこは所長代理にお任せという事なのでしょう。


 そんな事を思いながら見ている内に、角と背中の突起が外されました。透かさず近寄って角タールでくるんでしまえば、今日の仕事の中でも面倒な物は終わりです。


「本当にもう! 何でも無い様な顔してとんでもない事をしているけれど、分かっているのかしら?」


 聞いた様な声に顔を上げると、御披露目に来てくれていたお婆さ――いえ、老婦人です。

 確か商業組合の取り纏めをしているラルカ婆でしたでしょうか。困った様な顔して眺められてしまっていますけれど、何の用でしょうかね?


「実を言うとねぇ、私達もディジーリアさんに指名依頼を出したいと思っていたところなの」


 そんな言葉で始まった商談は、商業組合にサルカムの丸太を二本程卸して欲しいという話でした。

 否やは有りませんけれど、サルカムくらいなら私で無くても良さそうなものと思いきや、どうやら鉄より硬いとも言われるサルカムの木を、真面に伐り倒してくる事が出来る冒険者は、思いの外に少なかった様です。

 巧く伐り倒すこつは、水分と魔力を抜いてから『根源魔術』で伐り倒す――なんていうのは、確かに難しいのかも知れませんけれどね?

 こんなに便利な『根源魔術』なのにどうしてでしょうかねぇ? と首を捻っていると、オルドさんに集められた中に居たダニールさんが、


「そりゃあ、『儀式魔法』の方が、何も考えずにぶっ放せるからじゃ無いかねぇ? あたいだって戦ってる時は、『根源魔術』は然う然う使えないよぉ?」


 なんて言うので、そういうものかと思う事にしたのです。


「すまないねぇ。延勘定のべかんじょうだなんて情け無いったらないけどね、しっかり高値を付けさせてみせるから、それで勘弁しておくれ」


 有る時払いでいいというのに、それは商売人として受け容れ難いのか、そんな事を言うラルカ婆に私は困った顔を向けるばかりでした。



「よぉし! 二頭目に行くぞ!」


 二頭目は、湖を西側に回り込んだ先で、今度は取り囲まずに、間を空けて陣取ります。


「この前方の、二十尋程度の範囲に居るのだな?」


 予め、大まかな範囲でと言われていましたので、私はただ「ええ」と返事をするだけです。


「よし、『索敵』でも『察知』でも、何でもいいから調べて見ろ!」

「へぇ~い、へい」

「よし! やるかぁ!」

「……さっぱり分からんがな!」


 ククさんを含む何人もの斥候職の他にも、ダニールさんの様な魔術師達まで参加して、湖と森の間の草原をうろうろと彷徨い歩きます。

 けれど捗々はかばかしくは有りませんね? かする様に歩いた人も、何も気が付いてはいない様です。

 それにしても、探索の技は色々と有って面白いです。

 ククさんなんかは、私と同じく薄く魔力を広げていますので、『根源魔術』の遣い手も居ない訳では無い様です。他には『儀式魔法』で魔力の輪っかを周囲に広げる人も居れば、やっぱり『儀式魔法』で魔力の玉を纏う人も居ます。魔力では無くて“気”を投げ掛けるドルムさんが居れば、逆に全く魔力も“気”も発しないで感じ取る事に集中している人も居ます。

 でも、それでも誰も見付けられません。

 ククさんは途中から、地面に這う様にして目を凝らすばかりですけれど、確かに居ると知ったのなら足跡を探すのも手かも知れませんね。


 ですがそのククさんも、早々に諦めたのか、魔力も収めてしまいました。


「お手上げだぜ。足跡も見付からねぇ、食痕もねぇ、らしい糞もねぇじゃ、此処には居ないって事だぜ? だが実際に居るとなると、何をしに来てるのかも分からねぇぜ」

「だなぁ。案外異界を身に纏う感じで、食いもんの草もそん中に生えてんじゃねぇか? なら界異点の中と同じだ。手が出ねぇわな」


 ドルムさんまでやって来てしまいました。

 ダニールさんはまだ頑張っていましたけれど、ちらちらとこちらへ視線を投げ掛けて来ます。

 少し離れた場所で精神統一していたガズンさんも、こちらに歩いてきて――。

 あ! 結局ダニールさんもこっちに小走りで来てしまいましたよ!?


「あたいを除け者になんてさせやしないよ!」

「誰も除け者になんかしてねぇって」


 ドルムさんが苦笑して、ククさんまで変な顔をしています。


「いよぉ~。駄目だったか?」


 到着したガズンさんが問い掛けるのに、全員肩を竦めて返事としていました。

 そして、その視線が私へと移ります。


「で、何処に居るんだ?」

「んもぉ……あの木と、そこの岩の三分の二の所に居ますよ?」

「…………成る程、分からん」

「見た目何も無い場所で普通『索敵』はしないぜ? したところで反応が無いなら、やっぱり其処には何も居ないんだぜ?」

「見付けられたとしても、攻撃が通らないなら意味がねぇなぁ。ああも群衆と重なって何も無いって事は、物理は完全に摺り抜けるってこったろ? 後は“気”と魔力頼みになるが……」

「ガズンとダニールの同時最大攻撃で駄目なら打つ手が無いぜ?」


 そして、またその視線が私へと移ります。


「わ、私もこの瑠璃色狼が無いと、見付ける事も斃す事も出来ませんよ?」

「へぇ……でも、その妙な剣も、ディジーが造った剣さね?」

「なら、それも実力のうちだなぁ」

「だが……やっぱ武器も疎かには出来ないって事だぜ。――よし決めたぜ! ディジーさん、俺に対の短剣を打ってくれないか?」

「え? ……ええっ!?」

「御披露目の時に見た包丁から考えていたんだぜ。対価に二百両金と最近の探索分の魔石でどうだ?」


 ククさんの最後の台詞に、ぴくりと反応してしまいました。

 この大猪鹿狩りが終わった直後から始まる瑠璃色狼の鍛え直し。それで必要になるのが大量の魔石です。

 毛虫殺しは毛虫の殺戮で研ぎ澄まされているところが有りましたけれど、どうにも瑠璃色狼は討伐では格を上げません。瑠璃色狼を更なる高みへと導くには、どうしても大量の魔石が必要となるのです。

 何日か掛けた森の探索で、魔獣の魔石と森の木々や植物の魔石を集めないとと思っていましたけれど、頂き物では駄目という訳では有りません。

 そもそも最初の大森狼の魔石自体が協会で買った物なのですから、協会を通じて各地の魔石を送って貰う事も出来るのですよね?

 何でも自分でやらないといけないと直ぐに考えてしまいますけれど、ここは頼った方が良さそうです。


 それはそれとしても、魔石を提供して貰いながらの二百両金は貰い過ぎです。街で暮らしているだけなら、一年掛けても然う然う稼ぐ事が出来ない額です。

 鍛冶に関しては私も気になっていた事が色々と有ったので、此処は実験に付き合って貰う代わりに、お安くするのが道理ですよね?


「あ、手前てめぇ! 最近魔石ばかり欲しがると思ったら!」

「はぁ。確かに、ちょっと前までのやすりみたいなナイフなら考えもしなかったけどねぇ、今のディジーになら幾らでも金も積めば頭も下げるさね。あたいもナイフでも作って貰うかねぇ」

「俺らのは簡単に作ってくれとも言えんからなぁ。大物を打つのはそう簡単にはいかんだろうし、幾ら掛かるかも分からんからなぁ」


 ガズンさん達が何やら言っていますけれど、優先すべきはククさんへの返事です。


「あの包丁も私の魔力を練り込んだ物なので、本当は私専用の包丁なのですよ? と言うより、他の人の為に鍛冶をした事が有りませんので、私では無い人の為の剣を打てるかが分かりません。実験に付き合って貰えるなら、ククさん専用のを作る事も吝かでは無いですよ?」

「実験……実験ってーのは、何をするつもりだ?」

「私の魔力で無くて、ククさんの魔力を使って打てないかとか、色々です。なので暫くはククさんの魔力を搾り取るのに、私のおうちに通って貰いますよ?」

「怖ぇな。が、それだけに期待出来るぜ」


 にやりと笑ったククさんでした。

 ところで思うのですけれど、実験体は一つに限らなくてもいいと思うのです。


「皆さんはどうします?」


 そんな私の言葉に、残るガズンさんとダニールさんとドルムさんも、一度顔を見合わせた後、カクカクと頷いたのでした。



「よーし! 次、行けっ!」


 誰もが『索敵』を諦めた後に、今度は力自慢による腕試しが始まりましたが、誰も大猪鹿に一撃を与える事が出来ていません。

 見えない大猪鹿には、私がその魔力の示す場所に幻を重ねて見える様にしているのですけれど、何処とも知れない空間から引き摺り出すには此処に居る冒険者では力不足の様です。

 時々恨めしそうな視線を投げてくるライラ姫様の斬撃も、タイミングを合わせたガズンさんとダニールさんの最大攻撃も、大猪鹿には届いていません。

 それでも何かを感じない訳では無いのか、攻撃の後に逃げる様に数歩動いただけで、響めきが起こる程なのです。


 でも、それもそろそろ終わりです。ガズンさん達の合わせ技でも通じないのが分かってから、挑戦する人数がガクンと落ちてしまいました。


「もう居ないのか!! ――ふぅ、よし! お前らもっと後ろに離れていろ!!」


 そして最後の最後、オルドさんが見物人達を後ろに下げると、自らも大猪鹿から距離を取って、虚空から異様な雰囲気を発する赤白斑の槍を取り出したのです。

 おお! 『亜空間倉庫』ですかね!?


「出やがった、槍弓だぜ」

「支部長の本気の一撃が見られるか!?」

「久々過ぎて失敗したら、親父を笑ってやるんだがなぁ」

「もうちょっと下がった方が良くないかい?」


 ほうほう、どうやらあれがオルドさんの槍弓の様ですね?

 自作以外の恐らく特級の武器は初めて見ましたけれど、やっぱり特級の名に羞じない雰囲気っていうものが有るのですよ?

 その極太の槍には中程によく分からない把持部分が付いていましたけれど、オルドさんが其処をしっかりと握って槍を頭上に掲げ、矢を番えて打ち起こした後に槍の中から引き出した弦を引き絞ります。


「ぬぅうああああああ!!」


 その状態で高く跳躍したオルドさん。“気”と魔力が注ぎ込まれ輝くばかりの矢を、気合いを籠めて打ち放ちました。


「ぜぇえええええやぁあああああああああ!!!!」


 指程の太さの矢にも拘わらず、光線が迸ったと見えた次の瞬間には、大地が跳ねて土砂が吹き飛ばされ、大穴と放射状の打痕が大地に刻まれました。

 この威力なら、確かに竜鬼竜毛虫も一撃でしょう。竜鬼の頭も吹き飛ぶこの一撃と比べれば、ガズンさん達の合わせ技は大打撃かも知れませんけど致命傷には届きません。

 特級の面目躍如というものです。


「あ!」


 一瞬そんな考えに気を取られてしまいましたけれど、オルドさんの一撃で大猪鹿の隠れる魔力の気配が消えた事に、慌てて声が出てしまいました。

 出来上がった大穴の真上に魔力の腕を伸ばし、さっと引き寄せて宙にぶら下がってみますけれど、やはり大猪鹿の姿は見当たりません。


「大猪鹿はどうなった!?」


 矢を放った反動で後ろに飛ばされ、くるくる回転しながら着地していたオルドさんが、近寄ってきて尋ねて来ましたけれど、どうにも微妙な表情を隠せません。


「え、ええ!? オルドさんの一撃で跳ね上げられて――」

「うむ」

「……で、落ちました」


 そう、一瞬私が捉えたのは、跳び上がった大猪鹿の魔力と、その後落ちた様子です。

 大穴の底に落ちたのかとも思ったのですけれど……。


「落ちた? 何処にだ!?」

「…………えー、地面を擦り抜けてその下、ですかね?」


 何とも微妙な空気になってしまいました。

 大猪鹿の全てを擦り抜けるその力。確かに地面を擦り抜けてもおかしく有りません。

 でも、そうして地面の下に落ちてしまったら、その未来には何が待っているのでしょうか。

 途中でその場に留まろうとしたところで、落ちた高さによっては転落死です。だからと言って落ち続けたなら……何処まで落ちていくのでしょうかねぇ?


「怖っ!? 最強の守りの力と思ったら、どんな罠だ!?」

「死んだと気付かせねぇでるしかねぇって事だぜ?」

「動揺しただけでも落ちそうだからなぁ」

「うひひ、特級でも無理なら諦めがつくってもんさね」


 と、近付いて来ていたガズンさん達。


「これは……親父殿でも無理か?」

「相性に因るのでしょうな。可能性が有るなら姫様でしょう」

「ふん! 本当に其処に居たのかは怪しいものだ」

「……俺は、この力を持っているのが敵性の魔物で無かったってんで、心底安堵しているんだがなぁ」


 これはライラ姫とリリンさんと騎士と冒険者達。


「たく、力業も駄目なら、ディジーしか仕留められんではないか。斬撃特化の特級を呼んでも、見付けられんなら意味が無いぞ? ――まぁ、暫くはディジーへの指名依頼となるだろう。研究所へ送る分にも注意書きが必要だな」


 呆れた様にオルドさんが溢しました。

 まぁ、そんな事が有ったとしても、このお祭りが終わる訳では有りません。

 直ぐに二頭目のお代わりを探し出して、今度はオルドさんの槍技も通じない事を確認したら、余り時間を掛けずに仕留めてしまい、三頭目もその流れで狩りました。

 そこで本当なら予定は終わりだったのですけれど、それで収まらないのは見物人の心情です。

 然も有りなん。見ている側からは何が何やら分からないままに、私が瑠璃色狼を振ると大猪鹿が現れるのを見せ付けられただけなのですから、下手な奇術を見せられるよりも納得なんて出来ません。

 オルドさんはかなり顔を顰めていましたけれど、ここで異例の四頭目。私も自分用のお肉を確保しておきたい気持ちが有ったので、自分用にがっつり確保した残りを大放出なのです。

 見物人も軽く百人以上居ましたが、大猪鹿も大きいので、余裕でしっかり味わえるだけの肉が行き渡り、大猪鹿狩り見学祭りも盛況の内に幕を下ろしたのでした。



 冒険者として身を立てて、指名依頼なんかも貰える様になりましたけれど、そうなると今度はしがらみなんかも纏わり付いてきて、時間も人間関係も気にしないで好きな様に生きるというのも結構難しいものなのですねと、そんな事を考えさせられる今日この頃なのでした。

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