(37)ダイジェスト化 其の一なのですよ!!

    採取ナイフと打ちしが、いざ命名したり毛虫殺し



 お求めに依りまして、毛虫殺し人ディジーリアの一席を申し上げます。


(ディジーリア、背負い鞄の横手から、金床変わりの鉄板の余りを取り出し二つに割って、拍子木代わりに打ち鳴らす)


 ――チチン♪


(「おい、こら、俺は、いつもの・・・・、とは言ってねぇぞ!」

「しぃ! あたしゃ通しで聞いたこと無いんだから、大人しく聞くんだよ!」)


 今や毛虫殺し人と言えばディジーリア、ディジーリアと言えば毛虫殺し人と称せられるが如しでは有りますが、その始まりには毛虫のケの字の欠片も有りません。

 古今東西世の中に流布する冒険者と何変わりなく、花畑へ行きては薬草を摘み、森を歩けば木の実を捥ぎ、時に動物魔物の類を狩りながら、気が向けば旅に出る。そんな冒険者を目指して街をけては黒岩豚の解体に、花屋の店員、鍛冶場の手伝いと雑用仕事を重ねる子供で有りました。

 そして数々の現場を渡り歩いては、自らの装備に使う黒岩豚の革やちょっとした手入れの薬、端切れに屑鉄何でもござれと手に入れて、いずれ冒険者として立つ日を夢見てとんてんかんてん自らの装備を作って日々を過ごしていたのです。


 ――チチン♪


 しかし世の中、そうは問屋が卸しません。これもまた世の常の通り、親と子が反目するは世の習い。冒険者など以ての外とこの冒険者の街で声を大きくする親父殿に阻まれて、幼少より剣にも触れ得ず、親父殿の冒険者協会への殴り込み、果ては手造りし装備をごみと捨てられようとした段になって、漸くディジーリアも決意したので有りました。


「むむむ、ここにいては冒険者として大成する事は叶わぬ。しからば一人身を隠し、闇に紛れて這い上がるのみ」


 しかしてディジーリアが出奔したのは秋も半ば。街の南の片隅にひっそり隠れ家を作っては、冬に備えて東奔西走。集めた木切れにサシャ草鉄屑光石てつくずひかりいし。砂鉄拾いに反物乾物たんものかんぶつ仕入れては、やっとこ寝床も調えて、しかしそこまでが我慢の限界。


「ええい! 目の前に鉄も鎚も金床も用意してあるというのに丸で終わらぬ、忌々しい! 善い事よ! 求めし時間は山とある。今は我が望みを成就すべし!」


 然うと決めたら直ぐ様火床に火を入れて、ざらりと熔かした砂鉄の山よ。頼り無き生まれる前の記憶を頼りに、結局幾日掛かったのか。打ちに打っては到頭一本のナイフを造り上げた途端、ディジーリアばたりと倒れてきゅうと動かなく成ってしまいました。


(「おい、なんか想像と違やしねぇか」

「は! どうせ脚色に塗れてるさ」

「……まぁ、聞こうぜ」)


 その時造り上げたのが、後の毛虫殺し人ディジーリアの相棒となる、初代採取ナイフでございます。その大きさは、ディジーリアの手の大きさで刃の長さが一尺三寸。硬く硬く仕上げられたそのナイフには並の砥石は歯が立たず、僅かに縁を研ぎ上げた、見た目はナイフの形の平鑢。街の酒場で出会った凄腕おっぱい冒険者ガズン――


(「おいこら!」

「しーっ!」)


 ――に到っては、


「ぐはははは! 何とも笑えるなまくらよ! どれ、山芋を擂るのに丁度良い」


 等とがね代わりにしようと手を延ばすので、慌ててふところに引っ込める始末。


「ぐぬぬぬ……このおっぱい冒険者め! 山芋なぞに塗れては、要らぬ祝福が付くでは無いか!」

「ぐはははははは! おっぱいー!」


(「おい! こら、止めるな……くぉらじーさんめぇ!」)


 ガズン殺すにゃ弓矢は要らぬ、ディナおっぱいが在ればいい、と唄にも謳われたおっぱいガズンでは有りましたが、流石に街一番の冒険者。飲むも食うも気前良く、飢え細ったディジーリアにも分け与えては、その命を繋ぐのに大きな役割を果たしたのです。

 憎まれ口を利いていてもそこは流石にディジーリア、この恩は何時か返すべしと心に決めていたのでございました。


(「くぁああああ! ぇえい! もどかしい!」

「ディジーのあれは自業自得さね?」

「ふむ、どういうことじゃな?」

「おっと、将軍。――ふ、彼奴は食う物が無い訳では無く、食うのを忘れるだけなのさ」

「へろへろの時に限って、何だかんだと作品を持ってきてねぇ」

「俺らも好き勝手に口を出したが。くくく……あれは職人は職人でも、駄目な天才という奴だぜ」)


 そんなディジーリアにも転機が訪れます。

 冒険者を取り仕切る協会の大女御リダリダが、未だ燻る冒険者の卵ディジーリアに、沙汰を申し渡したのでございます。


「ぐふふふふ……冒険者となろうというものを、父御ててご一つ説き伏せられぬとは片腹痛し! 父御の許しを得るまでは、外の依頼を受けること罷り成らぬと心得よ!」


(「酷ぇ……」

「おい、憶えたか? 一言一句違えず告げ口してやろうぜ」

「おお、紙、紙は何処だ――」)


 こうも言われてはディジーリアも引けません。

 三月みつきを掛けて嘗ての我が家へ忍び込み、親父殿を見付けてそこで一喝。


「冒険者に成るぞ!」

「う、む!?」


 困惑した親父殿が、「う」と「む」の音を発した途端、用は済んだとどろんと姿を消しました。有無を言わせずではなく、「う」と「む」だけ言わせたのは、ディジーリアの作戦勝ちというものです。

 斯くしてディジーリアは冒険者として、広大な街の外へと繰り出す事になるのでございます。


 ――チチン♪


(「お? 何やこれは、森に誰もおらん様なった思たら、えらいこんな集まりよって」

「あれはディジーか? おかしいな。ディジーの話をこれだけが大人しく聞いてるなんて訳が分からん」

「…………――!! おおいっ! おっさん、あれ! あれは何や!」

「何か有ったか!?」

「ディジーが乗っとるあれや! あれ!」

「うおっ! え!? ええっ!?!?」)


 さて、いざ外の依頼と張り切ったところで、始めに受けられる依頼等というものは、高が知れているものでございます。

 まずは道中草の原。草原鼬や草原兎、草苺に野鳥の卵。しかしそれは街の住人でも出来る片手間作業。小遣い稼ぎにしかなりません。

 家を出て暮らすディジーリアに必要なのは、森の薬草集めが最低限の仕事で有りました。


 しかしそこはそれ、成り立ての冒険者にも救済というものは用意されているものでございます。

 森の縁の花畑は、黄蜂に守られた薬草園として、冒険者には広く知られていたのです。

 だが、どうにも様子がおかしいと、首を傾げるディジーリア。見れば花畑には無骨な城が打ち建てられて、不遜な様子の若衆冒険者達が、肩風切って伸し歩いておりました。


「ここは儂らの島じゃ! 主ゃらが近付くことは適わぬと知れ!」


(「……ちっ」

「仕方が無いよ。僕らがあの子に意地悪をしたのは間違いが無いんだから……」)


 声掛ける間も無く、石持て追われて森の中。やれやれとディジーリア、息を吐きつつも見渡せば、森の中にも変わらず薬草は生えておりました。

 これは得たりと飛び跳ねて、薬草が手に入れば問題無しと喜び勇んでシダリ草フクチナ草と掻き集めておりましたが、そこに現れたのが全身毛むくじゃらの珍妙な生き物でございます。


「見付けたり。見付けたり」


 延々「見付けたり」と騒ぐその生き物が何をしているものかと見てみれば、見付けた端から汚い足で薬草の群生地を踏み躙り、時には唾吐き小便撒き散らかして、片っ端から汚して回っておりました。


(「ほんまに何やこれは? いや、毛虫は喋らんやろ」

小鬼ゴブリンも喋らんな。つーか、誰か……お! ガズンガルがおるな!」

「何やて!? ガズンさん帰って来たんか!?」

「ちょお、行ってくるわ」

「待てやおっさん! 俺も行くで!」)


「おのれ毛虫共め! 何の故有っての横暴か!」


 さても烈火の如く怒りに髪を真っ赤に染めたディジーリア。鑢が如き有り様では、採取には使えぬと使わずにいた採取ナイフを思わず手に取って一突き。毛むくじゃらの毛虫の首に採取ナイフは柄まで埋まり、どうとばかりに斃してしまったのでございます。


「これはしまった! 毛虫を殺した採取ナイフは最早採取ナイフに非ず。然る後は毛虫を殺す【名刀】毛虫殺しとして鍛え上げようぞ!」


 これが毛虫殺し人ディジーリアとその【愛刀】毛虫殺しの始まりであり、今から思えば街を揺るがす毛虫禍の始まりなのでございます。


(「ちょいと御免よ、通らして貰うぜぇっと」

「あ? ゾイか。相変わらずだな」

「あん? ああ、此奴こいつか。中々見所の有る奴だぜ?」

「あ、ガズンさんご無沙汰してます。えらいごつい獲物やわ。流石ガズンさんですわ」

「…………」

「? 何を上を指差して……」

「……え!? マジか!? 嘘やろっ!! ディジーがやったんか!?!?」)


 ――チチチチチチチチチ、チン♪




    三つ巴の抗争と思えばにょろり! 何と毛虫共の陰謀か!?



「ぐふふふ……毛虫とな? 毛虫だろうとて森の生き物ならば、腹掻っ捌けば魔石の一つも見つかろうて」


 何処で聞きつけたか大女御リダリダ。或る日ディジーリアへと一つ助言を致しました。

 如何に冒険者として立ったといえども、未だ薬草のみで食い繋いでいたディジーリア。聞き逃す訳にはいきません。

 時同じくしておっぱい冒険者ガズンからも一つ勝負を持ち掛けられます。


「魔石と来たら武具の強化よ! ぐはははは、なまくらと馬鹿にされたままで居たく無くば、この俺を満足させる代物に育て上げて見せるが良いわ!! ぐはははははは! おっぱいー!」


(「うがーっ!」)


 それを聞いたディジーリア、慌てて森へと駆け出します。

 然も有りなん。ディジーリアが仕留めし毛虫共はこの時点で百を数え、まだまだ数を増やしていたのでございます。森の中には毛虫共の死骸が溢れ渡り、まだ見ぬ魔石は今もそこに。


(「百匹!? 百匹は無いよなぁ?」

「いやぁ、分からんぞ? 氾濫が表沙汰になるまで、アイツ一人で何とかしてたのかも知れん」

「いや、百匹はなぁ……」)


「これは迂闊。見す見す飯の種を見逃すとは!」


 一足飛びに森の中へと駆け付けて、いざ毛虫共の腹の中を検めればごろり、中から小さな魔石が転がり出てきました。

 小さくとも魔石は魔石。武具の強化は言うに及ばず、余れば何にでも使えましょう。砂も積もれば小山の如く、片っ端から集めてみれば、袋の一つが一杯に膨れ上がってそれは丸で蹴鞠の如し。


「ふむ、頭と胸のは別の魔石か? 色も大きさも異なりよる。頭の蔕にも魔力の気配、まぁ、何れも毛虫殺しの糧となれ!」


 と、ディジーリアが集め終わったそれそこに、「ぎゃー!」と怪鳥けちょうの如き悲鳴が響き渡ります。

 はて、何事か起こりたるかと、ディジーリア覗き見れば、花畑は今、抗争の真っ直中へと転がり落ちていたのでした。


 ――チチン♪


「おうおう、殊勝な心掛けじゃ!」

「儂らにこないな城を捧げてくれようとは」

「中々に分かっておるのう!」


 と、城の中より見下すのは、赤い法被に鋭き短刀、殺しを屁とも思わぬ赤蜂組。否、寧ろ屁で殺すとばかりにおけつに短刀仕込んで突撃する、森に潜む危ない輩。


(「まてやこら」

「ディジーも時々えらいところに突っ込んでくるなぁ」)


「何をほざくかこの盗人共め!」

「我らが城にようも空き巣に入りよったな! 頭かち割ってくれるからそこを動くな、ど腐れめ!!」


 対する若衆組。口ばかりは威勢が宜しくとも、へっぴり腰で逃げ回るその様子には威厳も面目も有りません。


(「くそっ!」

「……でも、なんであの子がそんなことを知っているんだろう?」)


 ディジーリア、さても何事が起きているのかと、今も花々の世話をしている花畑の園丁、黄蜂衆へと声を掛けます。


「これ、そこの黄蜂殿。この有様は一体全体どうした事だ?」

「ふへー、儂らに聞かれても分かりゃあしません。花畑の雑草を抜いてくれる有り難いお手伝いさんかと思うておれば、こんところ儂らの花を踏み荒らす者まで出てきおってからに。――ぶはー!! あ奴、今なんをした!! 腐れ赤蜂共を引き込むのみならず、儂らの仲間に手を出して、そのまま帰れるなどとは思うなし!!」


 うわんうわんと耳鳴りの様な鬨の声を上げながら、そこに黄蜂衆までもが参戦したのでございます。

 元よりこの黄蜂衆、園丁の手伝いをする様なら偶に美味しい蜜を分けてくれる善き隣人ではありましたが、別に下働きの下男という訳ではありません。黄蜂衆からしてみれば、若衆組の採取する薬草は花畑の栄養を掠め取る雑草が如し。ご褒美目当てに雑草抜きの手伝いをする若衆組なんてものは、中々よく躾けられたわらし共というところで有りましたが、昨今の増長振りは礼儀も知らぬ糞わっぱが如くにて、苛立ちを募らせていたのでございます。

 そこへ無粋な牙城を建てて、しかし見張りも立てずの間抜けを晒し、だが其処までならば子供のする事と尻拭いも仕方無しと覚悟をしていましたが、仲間への狼藉ばかりは見逃せません。

 喩え一人二人が犠牲になろうが、不心得者への報復を躊躇う理由にはならぬとばかりに、一斉に襲い掛かったものだから堪りません。若衆組は散り散りに逃げ惑うばかりです。


 その中の一人、今も盲滅法に剣を振り回す小僧が一人倒れたのを見て、ディジーリア、これはいかぬと駆け出しました。

 黄蜂衆だけならば悪くて地獄の苦しみを味わってそれでも死ねぬというところだが、そこに赤蜂組が混じると話が変わってしまいます。

 今も若衆組や黄蜂衆を、食い物を見る目で見ている気狂い赤蜂組ですから、黄蜂衆に昏倒させられた若衆組等というものは、目の前に差し出されたご馳走でしか有りません。

 現に今も、悠々と打ち眺めながらも、涎を垂らすままにする始末。


「くははは、蜜団子までが儂らに肉団子を捧げよる」

「笑いが止まらんわ! どれ一之助、そろそろ腹が減ったとは思わんか?」


 語る言葉からも、既に食うだけの心積もりと見て取れます。

 このディジーリア、石持て追われた事有れど、流石に同じ街の住人を見捨てる程に薄情ではございません。そこでこっそり近付いて、頭を討てばこの抗争も収まるまいかと思えども、さても妖しきは赤蜂組の血走りぎょろ目。「何奴」とばかりに見つかりてしまいましたのでございます。


「何奴かと思えば、肉団子から近付いて来るとは」

「ほれ、一之助。儂はもう腹が減って敵わぬぞ?」


 ここに到っても、飯の事しか頭に無いは赤蜂組。

 こんな輩に、毛虫殺しは勿体無いと、ディジーリア、無手のままでございます。


「どおれ、儂がまずは一囓り」


 そこに、赤蜂一之助、「往生せえやぁあ!」とおけつの短刀腰だめに構えて、「いてもうたれや」と突進してきたところをずんばらり。ディジーリアはひょういと横手で短刀掴んで奪い取りながら払いのければ、けつから血反吐を振り撒いて哀れ一之助は黄泉路の旅へところころりん。

 その手際の鮮やかさには躊躇ってもいいものを、流石気狂い「兄いの仇ぃ!」と後に続いた二之助三之助を、猪口才也やとひょういひょういとけつの短刀掻っ攫えば続けてやっぱりころころりん。

 ころりころりと転がして、漸う見苦しき者共も居なくなり、眺めも良くなったものだと思った所に漸く腰を上げた大大赤蜂大親分。


「うちのもんにえろう真似――」


 なんて口上許さず、ディジーリア。目にも留まらず奪った短刀投げ付ければ、赤蜂組のお尻の短刀、見事赤蜂大親分の、頭に柄まで埋まりました。


(「なぁ、何処までが本当かね?」

「……俺は毛虫殺し人が赤蜂を持ち込んだ所を見たぜ。殆どの儘の赤蜂が二十近く」

「おいおい……つまりはマジって事か?」

「さぁな……何処までが本当の事やら」)


 赤蜂組が居なくなれば、後は若衆組と黄蜂衆の間の話。ディジーリア、城の中より狼煙を見付け、街へと知らせてしまったならば、これ以上は要らぬお世話というものです。

 しかし、気になるのはおかしくなった若衆組の不可思議さ。花畑を我が物にしようとしたところで、野盗山賊の如く討滅されるのが関の山。ディジーリア、はてはてと首を傾げながら倒れる二人の若衆組に近付いてみれば、何やらその股座またぐらでもぞもぞと不穏な気配がしたのでございます。


「む、何事ぞ?」


 軽い気持ちで二人の下穿き捲り上げれば、何とその股座に蠢いたるは醜き毛虫。森の毛虫と違い手足も無い毛虫ではございますが、その醜さは一目瞭然。にっくき毛虫に間違いありません。


(「「「ぶふぅーー!!」」」)


「うぬれ醜き糞毛虫。しかし毛虫殺しで刎ねたとして、この若衆共に止めを刺すことに成りはせぬか? ――そうよここはいい機会に違い無い。踏み躙られた薬草の仇は薬草に討たせる事としようぞ」


 一つ頷いたディジーリア。懐から薬草の束を取り出しては、一つに纏めて手早く叩いて擂り潰し、吐き気を催す臭草くさくさ液を作り上げてしまいました。


「おお、臭い!」


 そんな臭草液を序でとばかりに若衆組に塗りたくり、最後の仕上げと股座の毛虫に山と臭草振り掛ければ――


「ぐぎゃーー!!」「ぐぎゃーー!!」


 さてもにっくき糞毛虫。しおしおと萎びれては、ぱーっとその命を散らしたのでございます。


(「あ、あいつめ! あいつめぇ!!」

「……あの子だったんだ。ダズロ、もうしなよ」

「シリアンカ! お前のことも言われているんだぞ!!」

「応急処置が悪ければ、僕らの命も無かったかもって言われたじゃないか。恩人に向ける態度じゃ無いよ」

「くそっ! くそっ! くそぉおお!!」)


 に怖ろしきは人を操りし毛虫のわざ

 そこにどんな怖ろしき陰謀が有るのか、ここに毛虫事変は急転直下の展開を見せたのでございます。


 ――チチチチチチチチチ、チチン♪


(「ぅおおお!! 俺も毛虫に操られてるぜぇ! ラミちゃ~ん♪」

「お、俺の毛虫が大暴れしそうだ、ぐぎゃおー!」

「毛虫が、毛虫が大きくなりやがったぜ! 助けてー!!」

「……おい、止めろや見苦しい」)

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