第91話

「ゾーイちゃん、ついに明日になったね」

「そうだね」


 ついに明日は、みんなとの結婚式になった。僕も何か手伝いたいなと思ったけれど、どうやら手伝わせてはくれないらしい。


 婚約者たちは僕が何かをしようとするのを極度に嫌っていると言っていい。僕が攫われすぎた弊害だった。そのために僕が監禁部屋から出るときは、五人以上が僕の隣に着いて、お風呂も一緒、さらにはトイレの中まで一緒なのだ。


 プライバシーの侵害どころの騒ぎではないが、これを断ると婚約者たちは不安で震えてしまうのでどうしようもなかった。母様なんて震えて焦点の定まらない瞳ですがるように


「お、お願いゾーイちゃん。ゾーイちゃんに強制なんてしたくはないけれど、お願い。心配で頭がおかしくなってしまいそうなの」


 勿論、母様だけでなくヴィクトリアさん、ドロシー先生も


「ゾーイさん、ごめんなさぃ。ゾーイさんが一人になることがどうしようもなく怖いんですぅ。またいつの間にかいなくなってしまうのではないかと思ってぇ」

「ゾーイ、絶対ダメ。離れないし離さないから。ゾーイはすぐに迷子になっちゃう子だから私のそばにいないと駄目なの」


 とこのような感じで完全に薬をキメているのではないかと思わせるほどの眼光でそう言ってくるため、断ることなんてできないのである。


 なので最近は絶対に一人になることは無い。少なくても二人以上は僕のそばにいる。各々の仕事は大丈夫なのかとそう思ったけれど、どうやら僕のためを思えば物凄い力が湧いてきてすぐに仕事を片付けているらしい。

 

「やっと、ゾーイちゃんと一つになれるんだね」

「ゾーイさんと一つに溶け合うのぉ、とぉーっても楽しみで頭がおかしくなってしまいそうですぅ」

「ゾーイ様に私の純潔をささげられるなんて、夢見たいです。私の人生においてきっと最も幸せな瞬間でしょう」

 

 明日の結婚式のことを思い、婚約者たちは物凄く幸せそうな顔をして僕に抱き着いてきた。目が血走っていて今にも襲ってきそうだけれど、ぎりぎりで踏ん張っているみたいだ。


 僕もお嫁さんたちとそういうことをするのは楽しみでもあるけれど、少しだけ怖いというのが本音である。


 だって、お嫁さん達全員相手にするのですら苦労するのに、その一人一人の性欲がかなり強いから僕一人で耐えられるか分からないのだ。自分のことを限界までヒールしたり、お薬を飲んだりしても全員は満足させられないんじゃないかと思う。


 覚悟を決めないとなぁ。






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