第90話
「はぁー、久しぶりー」
僕は約一年ぶりくらいに、学園へと来ていた。勿論、ヴィクトリア様や母様、七聖女の皆さん、そしてドロシー先生に囲まれての登校だけれど。
もう二度と他国に奪われることがないように、厳戒態勢で学園に来ていた。
事の発端は、僕が久しぶりに学園に行きたいと言ったことが始まりだった。母様とヴィクトリア様含め、婚約者たちは全員と言っていいほど渋い顔をしたけれど、最終的には頷いてくれて行けることになった。
その結果がこの大所帯だけれど。
「みんな、久しぶりー」
「久しぶり、寂しかったよゾーイ様ぁ」
とSクラスのみんなは泣いて喜んでくれた。
Sクラスの教室前ではものすごい数の人で溢れかえっていて、僕のことを一目見ようとしてくれているので手を振ってあげると泣いて喜んでくれる。
「むぅ、ゾーイちゃんは私のぞーいちゃんなのに」
「ごめん、母様。久しぶりの学園でテンションが上がっちゃって」
母様がムッとして僕に抱き着いて来るので、抱きしめ返してあげると他の婚約者たちも我先にと僕に抱き着いて来るのでぎゅうぎゅうになってしまう。
婚約者たちにもみくちゃにされていると、久しぶりに聞く声がした。
「ぞ、ゾーイ様、ひ、久しぶりです」
「あ、ニケちゃん。久しぶり」
やってきたのはネコミミのニケちゃんだった。その愛らしい姿に思わずきゅんと来る。
が、僕とニケちゃんの親しそうな様子を見て、抱きしめていた母様は強引に自分のほうへと顔をもっていき、ディープキスをした。
息継ぎもなしに数分してようやく解放されたかと思うと、徐に母様はニケちゃんのほうへと振り返って
「どうも、初めまして。私がゾーイちゃんの母親で、婚約者のエヴァです」
「は、初めまして」
母様の物凄く強気な上から目線な態度にニケちゃんは怖がってしまう。
「母様、ニケちゃんが可哀そうです」
「ぞ、ゾーイちゃんはその子の肩を持つの?」
「違います。そんな高圧的な態度を取られたら誰でも怖がってしまうじゃないですか」
僕は母様の元を離れて、ニケちゃんの頭をゆっくりと撫でてあげる。
久しぶりに触ったネコミミは物凄く触り心地が良くて気持ちよかった。
はぁ...........癒されるぅ
「ネコミミがいいのでしょうか?」
「ゾーイちゃんはネコミミが好きなのね。どうにかしてネコミミを生やせないものかしら。もし生やすことができれば結婚初夜の...........」
「ゾーイはネコミミが好き、なるほど」
婚約者たちが後ろで何かブツブツと言っているが聞かなかったことにしよう。うん。
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