第51話

ゾーイさんとの甘い朝のひと時を過ごし、二人で朝食を食べながらゆったりと朝食を楽しんだ後、ゾーイさんの頼みで国を一緒に見て回ることに成りました。


 ゾーイさんは女王である私はきっと公務があるだろうから一人でも大丈夫ですと言っていましたが、私を気遣ってそんなことを言ってくれるゾーイさんに胸がキュンとなりましたし、ゾーイさんを一人で行かせられるわけはありません。


 他の者をつけるという選択肢もなくはないですけれど、胸がイライラとしたので私がゾーイさんに付き合うことにしました。


 私自身が言う者ではないが、私は民とは親しい仲であると自負している。


 勿論公務である場合は厳しい、威厳のある態度で接しはするが通常時の場合は親しみやすい雰囲気で接しているつもりです。


 ゾーイさんと私は一緒に愛の巣から出て、歩いていくとすぐにゾーイさんの事を見つけた子が寄ってきました。


「女王様、この格好いい人は誰なんですか?」

「この方はゾーイさんというのよ」


 一人、また一人といつの間にか人の数は増えていき、ゾーイさんの周りには沢山の人がいました。


 ゾーイさんに人望があって嬉しいと思う反面、何故か物凄く胸がチクチクとして痛みます。


ゾーイさんにペタペタと触り始める愚か者……違います。大切な民なのですから愚か者などでは…。私は何を……。


 兎に角、ゾーイ様が困っていらっしゃるでしょうから助けなければなりませんね。


「皆さん、ゾーイさんが困っているでしょう?それ以上はいけませんよ」

「は、はーい」


 私は出来るだけなるべく言ったつもりですが大丈夫でしょうか?

民は皆、聞き分けの良い子ばかりですから私が優しく言うと、ゾーイさん~離れてくれました。


ちゃんと聞いてくれたみたいで良かったです。


 もし聞かないおバカさんがいるのなら、その時はしっかり教育しなければいけませんね。ゾーイさんに失礼ですから。


「さて、皆さんに改めて紹介します。この人はゾーイさんと言ってこの森に迷い込んでしまった男性です。決して悪い人ではありません。妖精たちもこれの事をとても好いているでしょう?そんな彼に、もし酷い扱いをしたらその者は……ね?」


 としっかり、女王として客人であるゾーイ様に無礼を働かないように改めて言うと、みんなこくこくと頷いてくれる。


 私の民は聞き分けの良い子ばかりで私は、大変うれしいです。


 その後、ゾーイさんは妖精さんの事を民から聞いたり民から質問されて答えたりしています。


 ゾーイさんは女性だからということで、拒否したりせずしっかりと民と話し合ってくれて王女としてはとても嬉しいのですが……何でしょう、このイライラは。


 ゾーイさんが他の女性と喋り、楽しそうにしているところを見ると物凄くイライラしたマグマのような物が腹に溜まっていくのが分かります。


 が、私はそれを留めてゾーイさんに向けて笑顔を送ります。


 私がジィっと見ていることに気づいたのかゾーイさんはこちらを向きました。


 私、変な顔になっていないでしょうかと不安になりましたがゾーイさんはにっこりと微笑んでくれたのです。


 その瞬間、物凄い幸福感に襲われました。


 あぁ、なんて幸せな感覚。


 そうか、私は女性に囲まれながらも私の事をしっかりと見てくれているのが嬉しいんだと気づきます。


 大量の女性に囲まれながらも、私にだけ特別に視線を送ってくれる。


 ゾーイさん、あなたは私の事を特別に思ってくださっていると解釈してもよろしいでしょうか?


 いえ、そうとしかとらえられませんよね?

 

 ねぇ、ゾーイさん?

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