第18話
「あぁ、久しぶりに私の天使様に会えるのですね。あぁ、早くあなた様に会ってその硬い胸板で私を抱きしめて優しく頭を撫でて欲しいです」
最近、孤児の子達に色々したり、教会でのお仕事、他国の聖女の人との交流など忙しくてゾーイ様に会う時間が無くなってしまっていた。
ゾーイ様の教師役の任期はもう終わってしまいましたが、これからもお家に行っても良いと言ってくれましたのでその言葉に甘えて会いに行こうと思います。
孤児の子達と触れ合ったり、癒すことは好きですし子供たちの事も愛していますから苦ではないですが、やはり心身的に負担がかかるのは仕方が無いことだと思います。
...........こんなことを思っていますが、本当はただあの方に会いたいだけです。
あの方の甘い甘い匂いにただ誘われている蝶なのです。あの方は薬物のような方です。あの方はインキュバスのような方です。
一度それにハマってしまえば二度と逃げ出すことなんて叶いません。そもそも彼から逃げようだなんて気が起きませんが。
あれだけの美貌を持ち、女性に対し優しく接するどころか受け入れて甘く溶かしてしまうのです。あれだけの美貌を持っていたら女性なんてぞんざいに扱いそうなものですが、あの方ははっきり異常です。
女性を抱きしめて優しく頭を撫でてくれることなど、無いでしょうから。
あぁ、早くあの方に会いたいです。
最後の授業の時に何故か、気まずそうな顔をしていたのは謎ですが。
いつもの場所に転移し、勝手ながらゾーイ様を探すといつもの場所にはおらずゾーイ様の妹様にお聞きします。
「そういえば、お兄様は言わずに行ったんだっけ?」
「行った?ゾーイ様はどこかへお出かけに?」
「あー...........まぁでもここで言わなくても聖女様はどうせ意地でも探し出すだろうし...........」
言い渋っている妹様からどうにか聞き出すと何と、ゾーイ様は私に何もおっしゃらず学園へと入学しそこでなんとフリーハグというものをしているらしいです。
あぁ...........なんということでしょう?
きっとゾーイ様の事ですから、男性と触れ合えない女性のためを思ってそういうことをしているのでしょう。
そのことについてはまぁ、あのお方ですからと理解はできます。心の奥底から沸々と何でしょうこの感情は。怒りとも違う不快感が沸き上がりますがそれも飲み込みましょう。
黙って行ったことも、私に止められるかも知れないと懸念してでしょう。きっとあの申し訳なさそうな顔は知らせず行くことに対しての申しわけなさでしょう。
こちらは全然怒りも何も湧きません。私に対して申しわけなさを感じてくれているというだけで愛おしさを感じます。
どうしても許せないのは、あの学校にはあの教授がいることですね。
あの教授だけが毎日のようにゾーイ様に抱きしめられ優しく撫でてもらっていると思うと腹が立って仕方がありません。
私もあの方に抱きしめてもらいたいです、この枯れた心をあの方の優しさで埋めて欲しいです。
待っていてください、今すぐそちらへ行きますから。
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