第14話 ネコミミ
「おはようございます、私の友達のゾーイ。今日はいい朝ですわね」
「おはようございます、エリザ様」
「シャー!!」
教室に入ると、エリザ様が機嫌がよさそうに挨拶をしてくるので僕も返す。アリスは相変わらずの様子だけれど、エリザ様はアリスの事を一瞥して鼻を鳴らして僕の方を見る。
それがアリスの癪に障ったのかまたジッと殺気を隠さずにエリザ様へとぶつける。
エリザ様とアリスの仲を改善するためにはまだかなりの時間がかかりそうだ。
「おはようございます、ゾーイ君。......あら、何時からエリザ様と親しくなったので?昨日何かがあったことは存じていますが......」
「これは、ヴィクトリア様。ご機嫌麗しゅう。私、ゾーイとお友達になりましたの」
「......あら、そうなんですか。ゾーイ君もエリザ様とお友達になれてさぞ嬉しいでしょうね。ゾーイ君は私のお友達でもありますからこれからご一緒の機会が増えるでしょう。この学校は身分関係はなく実力主義とはいえ元々エリザ様とはお国同士の中ですから、これからも末永くよろしくお願いしますね」
「えぇ、そうですね。こちらからもよろしくお願いいたしますわ」
二人がニコニコと会話をしているけれど、その目は真偽を問いただすような鋭い眼光でお互いの事を見ている。
ヴィクトリア様のこういう姿を拝見する機会が無いから、新鮮だな。いつもは僕にハグを迫って来たり、結婚を申し込もうとしてきたりするお茶目な姿しか見てこなかったから。
ヴィクトリア様、アリスにそれにエリザ様が加わり他愛もない話などをしてショートホームルームを待っていると講義室の扉が開き。ドロシー先生がいつものように小さい体で一生懸命僕の方へと走って来るので抱きとめてあげると無表情の顔が少し綻んで物凄く可愛い。
僕だけに見せてくれる笑顔だと思うとさらにかわいく思える。
「おはよ、ゾーイ」
「おはようございます、ドロシー先生。昨日はよく眠れましたか?」
「昨日は.............魔導書を解読してて徹夜。すっごく疲れたから癒して」
「はい、でももうすぐでショートホームルームの時間ですから其れまでですよ」
「うん」
コクコクと頷いてくれたので、疲れた体を癒せるように優しく疲れが溶けるような感じで頭を撫でてあげたり、思いを込めて強く抱きしめてあげると「はぅ...」と極上のマッサージを受けた時のような嬌声に似たような声を上げるので、隣にいたエリザ様、ヴィクトリア様だけでなく、教室中にいた女の子全員がこちらをジィっと興味津々で見つめて居たり、頬を染めて居たりしている。
「ゾーイ様は、ドロシー教授に昔から甘いところがありますよね。ずるいと思います」
「ごめんね。ドロシー先生は僕の先生だしそれにこんな小さい体でいつも頑張っているんだって思うとついね」
「小さくない。私はエルフだからこれからが成長時」
と講義するような視線を送って来るが、頭ナデナデによってリラックス状態なので全然威厳が無い。
丁度そこでチャイムが鳴ったため、ドロシー先生を離す。
名残惜しそうにしていたが、また後でとそう言うと頷いて教壇に立った。
「欠席者は.............ゼロ。連絡事項は.....あぁ、あった。来週末に学年で大会のようなものが開かれる。それだけ。じゃあ、また講義で」
大会ってなんだろう?
そう思っていると隣にいたヴィクトリア様が補足してくれた。
どうやら、来週末に入学早々現時点での実力を試すことも兼ねて近くの魔獣が出る森へと行くみたいだ。
魔物が出ると言っても深くまで行かなければそこまで脅威のあるものが出現することは無いし、結界を貼っておくため奥には進めないようになっているそうだ。監視であるドロシー先生や他の教師もいるため万が一にも備えているため安全みたいだ。
ペアで行動するみたいで魔物をより多く狩ったペアが優勝だけれど、それではSクラスの人たちがペアを作って仕舞えば当然勝つので、Sクラスのものは一番下のクラスの人とペアを組むことに成っている。
つまり、SクラスはEクラスとの人と。AはDの人と、BはCの人とペアになるという訳だ。
今週末にはペアが発表されるみたいなので今から少し楽しみだ。
授業が進み、お昼休みとなった。
いつも通りに広場へと行くと既に何人もの女生徒が列を作って待機している。その様は軍隊のようにも見える。
ちなむと、いつ僕たちが昼食を取っているかというと休み時間の合間に食べている。出来る限り、並んでくれた人たちの相手をしたいって思うから。
僕が姿を現すと目に見えて喜んでくれるので嬉しい。
「今からフリーハグをしまーす。誰か僕とハグしてくれる人ー」
「「「御願いします!!」」」
様々な女の子が僕とハグを希望してくれる。
同学年の子はもちろんだけれど、先生とか高学年の先輩までも僕とハグをしてくれる。お昼休みの貴重な時間を使ってまで僕とハグしてくれようと思ってくれているんだから、精一杯しないと。
思いを込めてハグしていると、一人の女の子と目が合う。
前にも一度だけ目を合わせたことがあったあのケモミミの女の子だ。
最近あの子はよくここに来てくれてはいるのだけれど、列には並ばず僕を観察するようにジィっと見ている。
気になってはいるけれど、僕が近づこうとすれば逃げてしまう様な感じだったので喋ろうと思っても喋ることが出来ない。
いつかは必ずあの猫耳をモフってみせる!!
そんなことを思いつつ、しっかりとみんなを癒していくのだった。
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