第15話 雰囲気
「おはようございます、エリザ様」
「おはよう、私のゾーイ」
「別にゾーイ様はあなたのものではありませんけれどね」
週末前になり、今日が終われば明日からお休みになるので割とウキウキな日だ。前世で言うところの金曜日である。
「あぁ、そういえばペアが発表されていましたわ。ゾーイは確認しましたか?」
「いえ、まだしていません」
「正直、優勝はどうせ私かゾーイかの二択でしょうから見る必要もないと思うのですけれど」
「分かりませんよ?僕たち以外の人が優勝できる可能性だって大いにありますから」
「ゾーイ様には負けてしまうでしょうけれど、そこの何も考えがないエリザという皇女様にだけは負けないでしょうね」
「犬が必死に吠えてて、うるさいですわね」
エリザ様とアリスの喧嘩を収めつつ、誰とペアになったのか教室の前に張り出されている紙を見る。
僕とペアの子はEクラスのニケという女の子みたいだ。
どんな子なのか楽しみだな。
今日も授業を無事に終えることができた放課後。
お昼休みには、いつものようにフリーハグをしたのだけれどいつものネコミミの女の子が今日はいなくて何だかソワソワしながら午後の授業を過ごしていた。
また来てくれるようになるといいんだけれど。
そう思いつつ、今日の放課後は少しやりたいことがある。
ペアとなるニケっていう女の子に一度会ってみて仲を深めたいなって思っているのだ。
週明けに一度顔合わせをする機会があったりもするけれどそれよりも先に、会って話していた方がより親密になれるだろうし大会でもフルに近い力を発揮できるんじゃないかと思い、僕は今Eクラスのほうへと向かっているわけだ。
帰りのショートホームルームが終わってからすぐに、向かっているからまだ教室にいてくれると助かるんだけれど。
Eクラスの教室まで着くと何か少し様子がおかしいことに気が付く。
中を少し覗くような形で見てみると、一人の女の子と数名の女子が喧嘩?というか険悪な雰囲気となっていた。
何か大事な話とかなのかもしれないし、今日はやめておいた方がいいのかもとも思ったがもしかしたら苛めかもしれないと思うとその場を離れることができなかった。
折角、神様からこんなに魔法ができる体をもらったのだ。虐められているのなら助けるくらいはしなければならないと思うし、ここで見逃してのちに事が大きくなったらなぜあの時........って思うのも嫌だ。
そして何より一人の女の子というのがあのネコミミの可愛い女の子だから。
まだこの雰囲気の全貌がつかめていない為、ここで出て行っても意味がないことくらいは理解しているため、事を見守っているとEクラスの一人の女の子が僕の存在に気付き、他の子も続々と僕の存在に気付き始め、全員が気づいてしまった。
まぁ、廊下にも僕が何をしているのか伺っている女子たちが沢山いたから、ばれるのは仕方がないけれどもう少し後が良かったかもしれない。
ばれてしまったので、Eクラスの中へと入る。
「ごめんね。少し聞きたいことがあってEクラスまで来たんだけれど」
「「「何?」」」
「僕のペアのニケっていう子は誰かな?」
そう問いかけると、何故か気まずそうな顔をされるので不思議に思っているとおずおずと出てきたのは、ネコミミの女の子だった。
「わ、私がニケです」
「え!?君が?」
「は、はい」
まさか気になっていたネコミミの女の子が僕とペアなんて。
すっごく楽しみになってきた。
「この後って、少し時間あるかな?」
「えっと........ご、ごめんなさい」
周りの様子........特に先ほどまで険悪な雰囲気の女子たちのほうをちらりと見てそう言って行ってしまうので話すこともできなかった。
来週の顔合わせの時には話せるといいんだけれど。
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