第21話 うーん、この人家事全般できないのね
「やっと終わった……」
「本当にありがとうございました! 私じゃどうすればいいか全くわからないままだったので……。それにご飯まで作ってくださって……」
俺たちはその後、俺のアイテムボックスに入れた物達をシンシア様に分けてもらい、要らないものは全部古着屋やその他諸々の店で買い取ってもらった。
うん、売っただけで軽くそこいらの貴族の年収より多くなったね。
お陰でめちゃくちゃ店を回ることになったよ。
何処もかしこもそんな大金払えませんって言われたからね。
まぁその通りだと思うよ。
大体こんなに効果なものをポンっと投げているシンシア様がおかしいんだ。
公爵家でもそんなことないぞ。
その後は家に戻って俺が有り余る魔力を使って【クリーン】を掛けまくった。
いや初めて【クリーン】を2桁使ったぞ。
俺が初めて一人暮らしをした時ですら2回で十分だったのに。
しかも【クリーン】って1回発動したら、アイテムボックス10回分も魔力使うんだ。
お陰で俺の魔力は総量の5%くらいなくなったぞ。
まぁそれで何とか掃除は終わった。
しかもそれだけでは終わりじゃなかった。
このお姫様、ご飯も碌に作れなかったのだ。
ほんとこの人何で一人暮らしなんてしたんだよ!?
せめてメイドを1人くらい連れてこいよ!?
ってマジで言いたかった。
まぁ勿論言ってないけど。
だって俺、女の子にツッコめるほとコミュ強じゃないもん。
あ、カレンは別ね。
カレンはもう慣れたの。
だってあの人ほどツッコミ所満載な人もいないよ?
まぁもしかしたらシンシア様もカレンと同等くらいにツッコミ所満載かもだけど。
それで今俺はそろそろ封印の終わる時間が切れそうになってハラハラしながらご飯を作ってる。
正直めちゃくちゃ怖い。
もしお湯を持ってるときに痛みが戻ったら全てを被る自信が俺にはあるね。
それどころか全ての物をひっくり返すすらあり得る。
そんなことを危惧して俺は今人生で1番の速度でご飯を作っている。
だからか知らないけどシンシア様はキッチンが見えるソファーから『ふわぁぁぁ凄いですぅぅぅ』なんて言葉を漏らして口を半開きにしてた。
女の子がそんな間抜けな顔をしてはいけません! と言いたいところだけど、それすらも美しいと思わせれるシンシア様は凄いと思います。
流石超絶美少女ですね。
まぁでもこの世で1番可愛いのはウチの
これだけは妹を溺愛するお兄ちゃんとして絶対に譲れない。
しかしあんな間抜けな顔を俺がしてたら『何気持ち悪い顔してるのよ。ぶん殴るわよ』って言われるぞ。
主にカレンと母さんに。
あの2人は辛辣だからね。
我が妹と弟なら『そんな顔のお兄ちゃんもカッコいい~~~!!』って言ってくれるけどね。
本当に我が
おっと、話がズレた。
そんなことをしている内に料理もそろそろ終盤だ。
因みに今俺が作っているのはカレーだ。
カレーは店でルウを買っていれば意外とすぐに作れるから良いんだよね。
野菜も肉も取れて栄養バランスもいいからさ。
そう言えば、始めにシンシア様に目玉焼きを作ってもらおうと思ったんだ。
目玉焼きなら失敗しても黄身が硬くなるとか爆発するとかしかないし。
でもシンシア様のはそんな次元じゃなかった。
そもそも卵を割れん。
そしてやっと割れたと思ったら何故か灰になってた。
……うん、もうよく分かんない。
一体どうやったら灰になるんだろうね。
俺の足りない頭じゃ想像できないよ。
「うっ……本当にすいませんでした……私が卵を灰にしたばっかりに……」
「ねぇ、なんで俺の頭の中が分かるの? 俺今1ミリも卵のこと話してなかったよね?」
まぁ心の中ではめちゃくちゃ言ってたんだけど。
するとシンシア様はキョトンとして何でもない風に言ってきた。
「え? それくらい分かりますよね? だって聞こえてきません?」
「何馬鹿なこと言ってんだい聞こえてくるわけないだろうが!」
「ええっ!?」
「『ええっ!?』じゃないわ! 何処の人間が人の心を覗けるんだよ!」
「ここに居ますよ! 私シンシアが!」
「お前は異例じゃボケェぇぇ!!」
カレンですら『アンタと何年もいるからよ』ってマトモな答えが返ってきたのに、このダメダメお姫と来たら、頭のおかしい答えを返しやがって……。
もう頭が痛くなってきたよ俺。
だったら今まで俺が考えていたことがシンシア様に筒抜けだったってことでしょ?
いやまぁ心の中を覗かれるのは結構慣れてるからいいんだけどさ。
出来たら早く言ってほしかったよね。
「本当にごめんなさい……」
「そうやってしれっと心を読まない」
はぁ……何かシンシア様が奇妙な生き物に見えてきたよ……。
まぁ不思議ちゃん系美少女も大好きだけどね。
「はぅっ!?」
「…………」
そう言えば心を常に覗かれてたんだったね。
さっきの事なのにすっかり忘れてたよ。
やっぱり俺ってみんなが言うように馬鹿なのかもしれない。
俺はそんなことを思ったことな…………くもないな。
はぁ……もうムキムキモンスターを馬鹿呼ばわりできなくなるのか……。
何かアイツと同程度ってめちゃくちゃ嫌だな。
俺は落ち込みながらカレーの仕上げを始めた。
—————————————————————————
読者の皆様へ
この作品が面白かった、続きが気になると思ってくださった方は、☆☆☆→★★★にしてくださると嬉しいです。
それとフォローもよろしくお願いします。
今後人気が出れば更新を続けようと思っています。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます