第20話 もしかしたら洞窟より汚いかもしれない
今回短いです。
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俺はまず自身の身体が動けるようにしないといけない。
あんたら掃除舐めんなよ!
掃除はめちゃくちゃ筋肉使うんだからな!
特にこう言ったゴミ屋敷並みに汚い所は!
「…………レオンさんが酷い事を考えていそうですが、私のせいなので何も言えません……」
敏感に俺の考えを読んで自分で落ち込むシンシア様。
そう言うのは口に出さないのっ!
心の中に留めておきなさい!
と言うか勝手に心読んで勝手に落ち込まないでもらいたい。
俺は落ち込んでいるシンシア様を放っておいて魔法を発動させる。
「【封印】《対象・痛み》」
これは闇魔法の【封印】と言うデバフなのだが、使いようによっては優秀なバフとなる。
今回は俺に痛みというものを封印したので、どんな事をされても痛くない。
まぁ痛みがなくなったわけじゃないから時間が来ると強烈な痛みが再び襲ってくるけど。
だが未来のことは未来の俺に任せる。
まぁ俺はそれで大抵痛い目見るのだが、今回は大丈夫だと思う。
勿論勘だけど。
俺は物凄く軽くなった体を起こしてシンシア様に告げる。
「よし、それじゃあ始めるぞ。まずこの散乱した服を何とかしよう」
俺は部屋に所狭しと散らばっている服に目を向ける。
もうこの家の床なんてほとんど見えてない。
…………どうやったらここまで汚くなるんだ……?
俺が初めて一人暮らしをした時ですらここまで酷くなかったぞ?
まぁ【クリーン】とか使ったのもあるんだけど。
いや現実逃避はここまでにしてまずこの衣服類を全部集めるところから始めるか。
「シンシア様、今から俺が衣服を集めようと思うんだけど、その時に触っても文句言わないでね」
「え? は、はい、分かりました。でも私はそれじゃあ何をすればいいのですか?」
「シンシア様は分別だな。いる物と要らないものに分けといてくれ。要らないものは俺が一気に焼却してやるから」
「え、焼却?」
「ん? 焼却だぞ? 何かおかしいこと言ったか?」
「い、いえ……私はこの服は何処かで売るのかと……」
…………あー。
俺はポンっと手を叩く。
なるほど……確かにシンシア様の服は王族なだけあってどれも高そうだし、売れたらめちゃくちゃ高くなるかもな。
俺が燃やしてたのは平民が着る服だったし。
うーむ……その方がいいかもな。
「…………売るか」
「そうしましょう! きっとお金になるはずです! 自分で言うのもあれですが、私の衣服はどれも高いので! お父様が大体下さるので」
「なら人から貰ったものを投げ捨てるなよな……」
「うっ……返す言葉もありません……」
そう言って縮こまるシンシア様。
この前から思っていたことだけど、シンシア様って感情表現豊かなだよな。
勿論いい意味でだよ?
決して騙されやすそうな人だなぁとか思ってないからね?
決して、全く、1ミリも思ってないよ?
「…………レオンさんがまた私のことを何か考えている気がします……そして私を褒めている感じがしません……」
「よし! それじゃあ俺は2階から集めてきまぁぁぁす!」
俺はこれ以上追及されないように二階へと駆け上がる。
俺の周りの女性は何で何奴も此奴も俺の心が読めるのさぁ!
お陰で考えるのすら自制しないといけないなんて地獄じゃんか!
しかも何年も一緒だったカレン達はまだしも、何でそこまで交流がなかったシンシア様まで分かるのよ!
…………はぁ……今度心を読まれない対処法をムキムキモンスターに教えてもらおうかなぁ……。
いや……あいつは使えないか。
だって脳筋だし。
よし、もうこれは考えるのやめてちゃんと掃除しよ。
俺はまだ2階には来たことがなかったので、取り敢えず一回りしてみることにした。
<><><>
3分後
2階の全てを見終わった俺は、階段に腰掛け一言。
「…………これは酷い」
これが俺の率直な感想だった。
と言うよりもこれ以外の感想が出てこない。
いや本当に酷かった。
2階だから一階よりもまだマシかなぁ、なんて淡い期待をしていた俺が馬鹿だったと痛感させられた瞬間だったぜ……。
2階は最早足の踏み場すらなく、そもそも部屋に体が入るスペースすらなかった。
最初は寝室として使っていたのであろう部屋は物置へと成り代わっており、他の部屋も同じく物置になっている。
その中の一つにぬいぐるみの部屋があったのはシンシア様には言わないでおこう。
少し可哀想だし。
それじゃあ全部運び出すとしましょうかね、ぬいぐるみ以外。
「《飲み込め》【アイテムボックス】」
俺は一気に持ち出すために全てのものを吸い込み始めた。
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