第133話100階層へ




「また何か起きたのか・・・」


目の前には、あわてたようすの高田専務が社長室に入ってきた。

秘書が止めようと後を追い駆けていた。


俺は、そんな秘書に戻るように目で合図した。

出来た秘書は、すぐにサッチしてドアを閉めながら退出していった。


「それで、何があったんだ」


怒り狂った頭を整理するように、高田専務は深呼吸をして落ち着かせようと頑張ってる。


「そ、それが神下があっちこっちの国を代表する覚醒者たちを無断でクランへ引き込んだようです」


聞くとフランス、ドイツ、イタリア、アメリカなどに混じってカメルーンの出稼ぎ覚醒者まで引き込んでいた。

そして、苦情の内容までしゃべりだす。


今まで暗黙のルールで国同士で引き抜き行為はなかった。

それなのに・・・その暗黙のルールを破ってどうする積もりだ。

もう国際問題だよ。


電話が鳴って出ると「社長、総理大臣の秘書官の方がお見えになりました」


「とうしなさい」


秘書官が入るなり「総理は大変にお困りになってます。これは国際問題です・・・」


責任問題がどうやらこうやら2時間近くも言われて、どうにか帰ってもらった。


「大変な事になりました」そう言って入ってきたのは山田専務だ。


「アメリカが船の入港を拒否すると言ってきてます。理由はクランがルールを破るならこっちもルール破りも仕方ないと・・・」


「神下の所在は分かってるのか」


「それが全然分かりません。スマホも電源を切ってるようで自宅にもいません」


「社長、宮下ダンジョンに神殺しのシュプレのメンバーが総出で入ったと連絡がきました」


あっちに行ったのか・・・考えればそうなる。


「ギルド支部には、何と言って入った」


「100階層を攻略すると言ったそうです」


そんな時に、俺のスマホが鳴りだした。それも個人用の方のスマホが・・・


あ!ハルからだ。


「師匠!大変です。国宝級の武器が盗まれました。こんな事は言いたくありませんが神下さんが犯人です」


「どんな武器が盗まれた」


「そんなの軽々しく言えません」と言って切ってしまった。


これは、100階層への攻略が嘘ではない証拠だ。

クラン設立から2年経過して、こんな事になるなんて思いもしなかったぞ。

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