第129話ドリレーション




神下道雄かみしたみちお29歳は、我が社に入って1ヶ月で1つの商品を発表。

安眠用としてアイデアを温めていたらしい。

本人も不眠症で悩み、我が社の整った環境で思い存分の発明ができたと話している。


【ドリレーション】


寝る時に部屋を暗くして、スイッチを入れると淡い七色の光りが心を癒す。

そして心地よい音が脳内に染み込んでくる。

普通の人なら最初の5分で眠りにはいる。極度の不眠患者でも10分で寝息が聞こえるらしい。


医師の観察でも精神的にも肉体的にも異常ないと保障された商品。




そんな商品は、売れに売れて生産が間に合わないくらいだ。


「神下君、君の商品が売れてうれしいが配送が間に合わないくらい忙しいよ」


「専務、その件でお話があります。日本の配送革命と言っていいぐらいの改革です」


「それは興味深い話だね」


2人は専務室で話し合うことになる。




大会議室でプレゼンが行なわれた。

プレゼン担当者は、神下道雄。


高田専務から参加して欲しいと言われて参加してみてビックりだよ。



「今の日本の物流は、大転換期に差し掛かっています。働き改革によるトラック運送が長時間労働を困難にしている現状で、運転手の人材不足まで発生してます。なのでトラックには、トラックの仕事をしてもらいます。その為にも貨物列車の重力運送が欠かせません。線路上空を24時間貨物列車が走り続けます。夜間の騒音も30デシベル(ささやき声)と実験結果が出ております。なので心配なく夜間の運行も可能です。貨物列車は長距離運送を任せて、トラックは拠点での地域配送を担ってもらいます。交通省にも話は通しているので・・・後は我が社がGOサインを出すだけです」


そんな会議室の役員は、俺の方を見てくる。


「いかがでしょうか社長、私にはいい話だと思いますが・・・とりあえず夜間の貨物列車で運行すべきです。もうそれ用にAIによる運転代行開発もGOサイン待ち状態です」


もう根回ししてるようだな・・・


「わかった・・・それで進めてくれ」


大会議室は、拍手で賑わいだす。





夜間0時に貨物列車が上空かゆっくりと下りてきた。

指定された区間にピッタリと着地。

それに連動するようにAIコンテナ積み降ろし重力機かテキパキトとコンテナを降ろす。

そして別のコンテナを掴んで貨物列車に積み込む。


「めちゃくちゃ速いな・・・」


「あ!もう貨物列車が浮かびだしたぞ」


「コンテナを降ろした数は6つで、4つのコンテナを積み込んで13分で作業終了です」


「中々いいな・・・」


「このコンテナ輸送基地も30デシベルは軽く超えてるな・・・もっと抑えられないか」


「防音壁の設置を考えてます。それに貨物やトラックの防音効果も検討中です」


「よろしく頼むよ」



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