第127話損傷




67階層は、別格だ。


ファイアバード、サンダーバード、ウォーターバード以外にもいた。

ウインドバードだ。


空を自由に飛びまわって、俺の魔法攻撃をかわし続ける。

当たったと確信したのに、幻のようにカミナリが通り抜ける。


それにまして見え難いウインドカッターを放ってくる。

俺もかわすも追尾してきやがった。右肩がパカッと切れて出血がひどい。


更に後方へ逃げる。それなの背中に激痛が走る。


そして、ようやく分かった。ウインドバードは、風の層で蜃気楼を作っていた。

分かれば目標に近い全てに攻撃すればいい。

蜃気楼は光の屈折だ。近場にいるはずだ。


火球を連続に発生させ続けて、連続で放ち続ける。

あ!1つが命中。翼を怪我してるウインドバードを発見。

続けざまに放ち続ける。頭が飛び散り翼はげ飛ぶ。

胴は無残に穴だらけのまま消滅してしまう。


傷ついた体が回復してゆくぞ。

勝ったのか・・・



その時だ。地面に微かな揺れを感じた。

俺は、フライで空へ逃れる。


俺が居た場所に、大きな4つの爪が生えて襲ってるぞ。

「ジャキン、ジャキン」と音がして地面を切裂く。

あそこに居たら切裂かれていただろう。


あ!手応えがなかったから顔を出したぞ。

モグラだ。鼻をヒクヒクされて臭いを嗅いでる。


あ!地面に潜った。

探索を発動。10メートル下まで潜られて見失う。

やっかいだな・・・空に飛んでれば被害はないだろ・・・


亜空間から様々な材料を取り出して、俺の人形を作る。


ちょっと不細工だがモグラには分からないだろう。

体重もピッタリにして無魔法で操って地面を歩かせる。

慎重に歩かせて臭い付きの人形だ。


爪が飛び出してきたぞ。

用意していた複数の魔法攻撃を人形に放つ。

地面がピカッと光、大爆発が起きる。


人形はバラバラに吹飛び、モグラもバラバラに吹飛んだぞ。



え!なにか違和感が・・・とっさに逃げる。

俺の左腕が吹飛んでいるぞ。

もうスローモウションのように腕が粉々に・・・飛び散るのをただ見ている。


今度は左足が・・・爆風を発動して地面に体を叩き付ける。

激痛だらけだが我慢して隠蔽いんぺいを発動。

放たれた方向からここは、ちょうど岩の影だ。


あれ以降の攻撃はない・・・


探索を発動して探る。

なんと1キロ先に変な植物が生えていた。

この植物が犯人だ。あまりにも離れているので鑑定は無理だろう。

やってみたが無理だった。


光魔法で体を回復させる。

無くなった手足が再生するぞ。

血管や神経が伸びて筋肉も再生する。なんともグロテスクな光景だ。


再生された手足を見ながら、どうしようか考える。



そうだ・・・モグラみたいに穴を掘って下から攻撃すればいい。

あの植物は地面に根が張って動けない状態だ。

それに訳も分からない攻撃も、美しく咲く花から攻撃してると俺は思っている。

唯一動くのが花や葉や茎だからだ。



だから10メートル下に穴を掘って行く。


たまに掘り始めた所に戻って、花と掘り進めた穴の位置を確認して再度掘り続ける。


「なんだよ・・・後100メートルなのに5メートルも右にずれたぞ」


左に5メートル掘って再開すればいいだろう。


とうとう花の真下だ。探索したらビンビンと反応がする。

レイザー光線を真上に発射。


ぽっかりと穴が開いてる。その穴から空が見えるぞ。

そして、花の気配はない。


勝ったのだ。



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