第124話百足




65階層では、長い通路を歩き続ける。

魔物の気配は微塵みじんもないぞ。これって広い空間に出るまで無いのか・・・


それにしても天井などに穴ぼこが規則正しく開いてるぞ。

これって何か訳があるのか・・・


そんな通路に微風だが風が吹き抜ける。

あ!風は、こっちの通路からだ。気になるので進むと広い空間が・・・そこにあった。


緊張が走る。



探索しても何の反応もない。少しためらったが意を決して入る。

入った瞬間に襲われると思ったが大丈夫だ。



空間の中央に来た時だ。「ドンッ」と音がした。

振返った俺が見たものは、入ってきた通路が無くなってる事だった。


「シュアーー!」と頭上から音が・・・


なんと巨大なムカデだ。それも赤ぐろくうねりながら空中を漂っているぞ。

そして奴の目は俺を見続ける。

「お前は、俺の獲物だ」と言っているような・・・



最初に動いたのは俺だ。

火球を一瞬で10発も放った。次々に大爆発が起きる。


ムカデの体が飛び散って、地面に落ちる。


え!終わったのか・・・呆気ない。



「ゴソゴソ」と音が・・・


なんと地面に落ちたムカデが動き出したのだ。

それも2本の足を使って、互いの関節部分をくっつきだす。

あの爆発でバラバラになってなかった。間接部分を切り離して爆発の衝撃を逃したのだ。

そして、とうとう巨大なムカデが戻りやがった。


そして口から液を吹きかけてきたぞ。

とっさに横っ飛びをしてかわす。俺がいた場所は、無残に溶けているぞ。

俺はフライを使って上空に飛んだ。地上にいたら狙われだけだ。


奴は、俺を巻きつこうと向かって来たが隠蔽いんぺいで姿を消す。

ムカデ野郎は、見失った事に怒り狂ってるぞ。

そして口から液を吐き散らかす。


どれだけ吐くのだ。

もうあっちこっちが溶けてるぞ。


遠くに風に刃を出現させて命中させるが傷一つもないぞ。


なんとか逃げまくったが液が少しかかってしまう。

隠蔽は、呆気なく強制解除に・・・体にはかかっていなかった。


どうやら液も底をついたのか、俺に向かって噛み付いてきたぞ。

爆風を発生させて吹飛ばす。


又も間接部を離すが、俺はその瞬間を待っていた。

暗黒吸刀にカミナリをまとわせて、無防備な間接部を突き刺す。

カミナリによって焼きただれる光景は驚きだ。


その瞬間、「ギャーーァ」とムカデが鳴きやがった。

離れていても痛みは共有してるのか・・・


「アトラクト」と唱えてもう1つを引き寄せる。

そのまま突き刺す。又も「ギャーーァ」とムカデが鳴き狂ったぞ。


短くなったムカデに更に爆風を発動。

又もバラバラになるムカデに、「アトラクト」と唱える。


4つも突き刺すことに成功。


奴は俺から逃げるのに必死だ。それでも容赦ようしゃしない俺は、爆風を発動。


「これでもお前も終わりだ!」


何度も何度も突き刺す。とうとう頭のみだ。


奴も決心したのか向かって来た。

その大きく開けた口に暗黒吸刀を突き刺す。

「バリバリバリ」と気合が入ったせいで燃え出す。

そのまま地面へ落下。


頭が燃え尽きたあとには、魔石が・・・


なんと魔石も赤ぐろく輝いていた。


【赤黒魔石】


口から何でも溶かす液をだせる


なんじゃこりゃ!・・・これは、パスだ。

これを取得したら人間を辞めるようなものだ。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る