第121話前線基地




俺は、キメラを倒した事を作戦本部に知らせた。


「本部!ダンジョンは正常に戻った。怪物達はどうなってた」


帰ってきた言葉は以外だった。


「Aポイントの怪物との戦いは、今だ継続中。ただし怪物にも混乱は見られる。同じ怪物同士で戦うものまであらわれた」


キメラ討伐で終わりでなかった。


キメラによって作られた怪物が生きたままだ。

キメラがいなくなった事で更に凶暴化しているなんて・・・キメラの統率力は半端ないのか・・・




Aポイントに急いだ俺は、怪物の狂った行動に目を奪われる。

怪物自身の体に喰らいついて喰っている。もう目は正気ではないぞ。

複合生物が仇となったのどろう。

ディンゴは野犬だ。怪物の主人格がディンゴなら普通の動物は捕食対象。

自分自身の体とは認識できないまま喰らってるのだろう。


なんと哀れな・・・

痛いという認識はあるのだが・・・誰かに攻撃されたと認識。

更に喰らいついて死んでいる。



それにしても集まり過ぎだぞ。又もや最大級の雷魔法を放つと「ゴロゴロ」と空が・・・

そしてカミナリが8000以上の怪物を殺す。


ちょっと不利な戦況が一気に逆転。

はやりまとまりが無くなり討伐され続ける怪物達。

最後は逃げ出すが覚醒者は、逃がすはずがない。


「右から魔法攻撃で攻めろ!防御力の高い奴は、左から追い詰めろーー」


俺は、後方へ運ばれた負傷者をまとめて光魔法で治す。

治った事に驚きながら戦線へ戻る覚醒者たち。




そして、西オーストラリア州の戦いは続く。

全てを討伐しないと危険とオーストラリア政府の判断。

オーストラリアとアメリカとカナダとEUは、ノーザンテリトリーをクイーンズランド州から攻める。

1体も逃さない頑張りだ。


空の怪物は、全て俺が討伐。残すと厄介だから・・・

そして、俺の探索で怪物を見つけだしては、討伐隊が組まれ討伐しに向かう。


「A隊が任務完了。まだ余裕があるから次の討伐位置はと聞いてきてます」


「ならオースティン湖へ向かわせろ。数はCクラスだ。余裕で討伐できるだろう」


「了解しました」


「B隊が戻って来ました。休ませて欲しいと言ってます」


「1日の休暇を許す・・・」





「本部から休暇1日をもらったぞ。気兼ねなく休め」


50人構成のメンバーが思い思いの場所に座っているが、1人が愚痴ぐちを言い出す。


「休めって7日も戦わせ続けて・・・まるでブラック企業だぜ」


「そんな愚痴はよせ・・・もうすぐ終わりが見えてきたからな・・・5日後には帰れるって知人からの情報だ」


「そう願いたいね・・・7日目の風呂に入るか」


「あ、俺も行くよ」


海に面したパース。

以前は、209万人以上も住んでいた都市なのに、今は廃墟と化している。

あの超高層ビルが中央から破壊されて地面に散乱。

ぺちゃんこになった遺体は、そのままだ。

なので腐敗臭ふはいしゅうがただよっている。

全て怪物の仕業だ。犠牲者は100万人にも及ぶと言われている。

そんなパースに日本の前線基地が建てられた。


土魔法士が作った巨大な露天風呂。

その風呂の湯を循環して真新しい水に変え循環システムは、KAMISU社製。

循環した湯には、魔石による魔力の回復と体力の回復が同時に作用する効果があった。


「入った瞬間から癒されるな~」


「ホントだな・・・なんでも最新の循環システムらしいぞ」


「おい!見ろよ。傷がきれいに治ったぞ」


「ホントだ・・・コアラに傷つけられた傷だったよな」


「あれ!お前の白髪が黒髪に変わってるぞ」


「そう言うお前のコジワも無くなってるぞ」


2人は洗い場の鏡を見た。


「そんなバカな・・・」


それは、あっという間に覚醒者に広まった。

女性の覚醒者は、24時間の露天風呂を占拠。


「こらーー交代しろーー」


「なに!女性の裸を見たいの!一昨日おとといきなーー」



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