第117話怪物




それは銀河号が大気圏を降下して、更に降下してオーストラリアが見えた時である。

艦内にけたたましく警告音が鳴り響いたのだ。


「オーストラリアから鳥の怪物が接近してます。警戒レベル4を発動します。大きく揺れるのでベルト着用か物をしっかり持って下さい」


俺は部屋から飛び出す。

定員オーバーのこの船で、大揺れすれば怪我をするぞ。

向かった先は操舵室。


操舵室に入った瞬間に「どんな怪物だ!」と怒鳴どなった。


モニターに映し出された映像には、ワライカワセミが無数に飛んでるぞ。

それも普通ではない。翼が4枚で全長は5メートルもあるぞ。

あ、足も4本だ。まさに怪物だ。


俺は、結界装置が作動している事を確認。

その結界に1羽が激突。それを皮切りに何度も激突してくるぞ。

激突後は、そのまま落下だ。


「死が怖くないのか・・・」と船長の一言が、船員に恐怖を与える。


「船長!秘密のボタンを押せ」


船長は、鍵でフタを開けると赤いボタンを全て押した。

銀河号から5メートルのキューブがが打出される。その数40。


「キューブ、全て怪物を殲滅せんめつしろ」


キューブは、攻撃モードの赤に変化してワライカワセミにぶち当たる。

逃げるワライカワセミには、挟み撃ちにしてぺしゃんこにしている。


全てのワライカワセミを殲滅するのに5分もかからない。


「1000羽以上もいたのに・・・」


「船長、キューブは攻撃と防御の2つの使い方があるから今後も緊急時には使ってくれ」


「そうですか・・・分かりました」




それにしても異常だ。

ワライカワセミは、オーストラリアに生息する大型のカワセミの仲間だ。

人が大笑いしているような「ウワハハハハ……」と聞こえる独特の大声でさえずることからこの名がついた。

全長は40-47センチ。


鑑定した結果は・・・


キメラによって、強制的に複合と巨大化されらたのが原因だ。

巨大化させるには、人間の命を奪って生体エネルギーを使って細胞を増殖させる。

複合は、通常に進化と違う亜種的な進化と言ってもいい。




「シドニーから連絡がありました。シドニーに作戦本部があると言ってます。ニューサウスウェールズ州とビクトリア州とクイーンズランド州のみが人間地域だと・・・南オーストラリア州で怪物と戦って欲しい言ってます。銀河号は救出船としてアメリカへ向かって欲しいみたいですね」


いつの間にか来てた自衛官とギルド職員が話し合って、オーストラリアの要望を受けた。

俺らが向かう先は、アデレード。


港に着陸した時も大変だった。

前線基地に食料を運んでる最中に、「ウォンバットが来たぞ!」


象の大きさまで成長したウォンバットに襲われたのだ。

足は8本もあって、ムカデみたに向かって来た。

その数50。なんて速いスピードだ。


ウォンバットは、絶滅危惧種ぜつめつきぐしゅだからここで全滅させたら絶滅が間違いないだろう。


「距離1キロ!魔法を放てる奴は放て」


遠距離から魔法を放つ魔法士。

1キロも離れたウォンバットを外す事無く当てる魔法士は熟練者。

ウォンバットを爆発によって宙に舞い上げる。無残に引き裂かれた肉片が宙を舞う。

風魔法士が狙いさだめて放った斬が、ウォンバットを真っ二つ切り分ける。れ


土煙から現れたウォンバットは、16頭。


土魔法士が用意した穴に6頭が落下。

その上をウォンバットが飛び越える。象なら不可能な動きだ。

穴の中では、ウォンバットに土が生きてるように襲い狂う。それでもあがなうウォンバット。

しかし力つきて生きたまま埋没まいぼつしてしまい終わりだ。


残った10頭は、10メートル先まで迫って来ているぞ。

1人の覚醒者が勢いよく走りだす。


「俺に任せろ!魔法は中止だ!後はスキル覚醒者に任せろ」


ル-ンナイフに魔力が伝わり2頭を切裂く。

それでも向かってくるウォンバット。

後は出遅れた覚醒者によって、もうタコ殴りされるウォンバットであった。


ここでウォンバットの絶滅が決まった。



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