第115話鉱山での出来事




ドワーフの鉱山へ行くとゴーレムモドキ達が今も堀り続けている光景が見える。

なんと健気なゴーレムモドキ。

鉱石を運び出す方法は、背負子から1輪車に変わってるな・・・


「今見るとぎこちない動きが目立つな・・・」


『ならば作り直せばいい』


え!急にアルが割り込んで来たぞ。


「何故急に話しかける」


『暇で話しかけただけだな』


そうか、暇で話しかけたのか・・・ちょっと疑問は残るがスルーしよう。

最初に作ったゴーレムだから愛着もある。だからアルの意見は無視だ。


それなのに突然、ゴーレムモドキの頭上に魔法陣が現れたぞ。

【魔法解除の指輪】で解除を試みる。


解除は成功・・・『なぜ邪魔をする』


「お前には、作った物に愛着が無いのか・・・」


『ない』


あ!なんて無感情な一言だ。


「勝手に作り変えるのは止めてくれ。頼むから・・・」


『わかった』


そんな俺に近づく者が・・・


「よくいらっしゃいました」


あ!鉱山の責任者のロジじいさんだ。


「ロジさん、オリハルコンはあるかな・・・」


「大量に埋まった場所を掘り当てて、全てを倉庫にしまっております」


「それは本当か・・・助かったよ。もう在庫が無くなって困ってたんだ」



これが倉庫なのか・・・

体育館程の倉庫だ。いつの間にこんなのを作った。

それも木造で・・・なんてでかい木造建築なんだよ~。

あ!そうか俺が【木造建築の継手と仕口しくち(釘を使わないで木を接合するやり方)】の本を置き忘れたのを参考にして建てたのか・・・

日本の伝統の建築のたくみの技が、こと細かく図入りで書いてあった。

日本語を読めなくても見て技法を真似たのか・・・なんてこった。


様々な方法で木を継手で1本のようにしっかり頑丈にしてる・・・

あれは【地獄ほぞ】だ・・・こっちは超簡単な【ダボ継ぎ】だ。

たしかドワーフの家具を作った時に、俺が使ったやつだ。

ダボ継は、板にドリルで丸穴をあけて木のダボを入れてもう一方の丸穴に差込むだけだ。

本に書いてあった複雑な継手なんか俺には無利。


あれはあり組か・・・それに尻挟み継ぎ・・・

天井なんて凄いの一言だな・・・まさに芸術品だ。



そんな風に感心しながらオリハルコンを回収。

純度の低いのも大量あったぞ。


ロジじいさんは、口を開けて唖然と見てた。

じいさんに回収するのをはじめて見せた事を思い出す。



そしてドワーフの協力を得て、鉱山用の運搬重力機を30台を作る。

決まったルートをボタン1つで鉱山から倉庫まで動く。

手動に切り換えれば、手動でも動くよにしたぞ。


いつの間にドワーフ全員がいて、動く運搬重力機に群がって触りまくる。


「シサム様、これはどのようなルーンを使用してるのですか」


「重力を操る事ができるルーンだよ」


「重力とは・・・なんですか」


ああ、そこから教える必要があるのか・・・


地面にあった石を拾い「これは、石だ。手を放すとどうなる」


「下に落ちるに決まってますな・・・」


「何故、下に落ちるんだ。そこを考えた事があるか」


「え!落ちるから落ちるのでは・・・」


「重力は、全てのものに等しく働くんだ。万有引力の法則と言うんだ。重さは質量に比例するが、重力が運動に与える影響は質量には関係しない。空気抵抗がなければ、高い所から軽い羽と重い鉄を同時に放すと同時に落ちるんだ」


ダメだ・・・頭が追いついてないぞ。


「まあ、重力を操れば重い物も軽く運べるって事だな」


「ああ、それなら分かります」


今は、これでいい。




重力魔法陣は、ドワーフ達でも作れなかった。

重力の知識が不十分で、成功する者は現れない。


それでも俺が作った重力魔法陣を使って、あの3輪バギーにかわる重力運搬機を作った。


「こりゃいいぞ・・・スムーズに方向転換ができるぞ」


やっぱり速度制限を施して正解だったぞ。

60キロが最高速度で、アクセル全開で走りまわりドワーフ。


ああ、やってしまったぞ。

急にブレーキをかけたから後方の重力運搬機がオカマを掘ったぞ。

頑丈なドワーフも気を失うほどの衝突だ。


俺は駆け寄って光魔法で癒す。


「イサム様、ご迷惑をかけて申し訳ありません」


「スピードはほどほどにな・・・3つの急はするな」


「3つの急とは・・・」


「1つ急ブレーキ、2つ急スピード、3つ急ハンドルだ」


「成る程・・・」



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