第113話侵入者




KAMISU社の本社ビルに隣接する工場の敷地内で夢中で重力魔法陣を作っていた。

それなのに「ビービービー」とけたたましく鳴り響く警報。


「侵入者確保、警戒レベル1で警戒するように」と放送が飛び込む。


ああ、俺の出番だ。

警備室では、数十人に取囲まれる8人の侵入者がいるぞ。

俺が入った途端に睨み付けてきやがった。俺の顔を知ってる証拠だ。


警備員は、ゴーレム01から見た動画を見せて説明。


「進入した場所はここです。もっと強化する必要がありますね・・・」


「そうだな・・・」


なんと地下深くに掘った穴からの侵入だ。

10メートル地下まで分厚き鉄筋コンクリートを埋めているのに、その壁を突破するなんて・・・


それにゴーレム01に対して、グレネードランチャーを放った。

肩に担いでいた強化された盾でなんとか防いだ。

それにりずに11.4mm短機関銃もぶち放ってきた。

弾が無くなるまで放って・・・ようやく諦める。


ゴーレム01には、人を殺すなの命令を守った結果だ。

もし殺した場合は、色々問題もあるし・・・


中には機関銃を振り回すバカもいる。テーザー銃で痛いおもいをして確保。

このテーザー銃も長時間電気を流すと心停止する。

なので弱めの短時間で止まる仕組みだ。

アメリカ製のテーザー銃はやばい。




俺は、8人に向き合って鑑定を発動。

なんとロシアのスパイだ。それも1人がアメリカで殺人まで犯しているぞ。

殺した数は5人。

名もない毒での暗殺であった。名がない毒は検出が不可能。

だから検死結果でも病死扱いになってるはずだ。


そして日本での接触者や行動を鑑定しつつ口頭で伝える。

その口頭を1人がノートパソコンに入力。


その資料と一緒に、警察に引き渡した。



数日後1人は、日本国とアメリカ合衆国との間の犯罪人引渡し条約(略称:米国との犯罪人引渡条約)第5条によって引き渡された。

それもテキサス州に送ったらしい。たしか死刑廃止がなされてない州だと思う。

もしかして司法取引制度を使う積もりか・・・


俺の鑑定は証拠にならないし、殺してから1年も経ってる。

充分な証拠集めも無理に近い。苦肉の策らしい。





そんなある日。


「社長!警察の人が面会に来てますよ」


「なんか悪い事したかな・・・」


「あれです、あれ・・・誘拐ですよ。身代金の1億円を払ったのに子供が帰って来ないと親が泣きついた・・・あらあら、そのニュース知りませんか」


「テレビも見る暇もなかったからな・・・」




名刺には、特殊犯対策係と書かれてた。

そして手渡された紹介状は、日本ギルドマスターからだ。

内容は事件解決に手助けして欲しい・・・


仕方ない。


「出かけてくるから後は頼んだ!」


「いやいや、わたしも行きます」


「なんで・・・」


「わたし田中が社長の助手として参加します」


はは~ん・・・こいつ誘拐に興味がありありだ。引き下がる気配が一切ない。


「仕方ない。ついて来い」


「ありがとう御座います」




誘拐された家に行った。


「豪華な邸宅ですね。社長の家はあのままで良いのですか・・・わたしの親戚にいい業者がいますよ」


「家は、あのままでいいんだ。思い出があるからな・・・」


親にも会ったが無関係だ。俺は刑事に向かって首を振る。



次の日。

大勢の関係者が会議室に集められた。

事件解決の為に集められて、なんの説明もないままだな。

そんな連中の中を歩き回る。


あ!こいつか・・・

会議室を出て刑事に話した。


「担任教師が係わってますね。教師の恋人が主犯で弟に誘拐させたようです。事件後は、恋人にも連絡できないので焦ってるようですよ」


その場で2人の刑事にうながされて、個室でじわじわと遠まわしに責められる教師。


「須藤さん、あなたは小学校の教師だ。それも名門の・・・」


「わたしは何も知りませんよ。そんなわたしに高山君の事を何度聞かれても同じ答えしか出来ません」


「あなたには、恋人がいましたね。最近、連絡ないようですが・・・」


「え!なぜリカの事を・・・」


「そのリカさんの弟が、誘拐現場で目撃されたのを知ってますか・・・」


「そんな・・・誰にも目撃されてないはずだ」


「白状しましたね・・・洗いざらい話してくれますね」


恋人の名は、春日里香かすがりか24歳。

弟、春日雄二かすがゆうじ22歳。


緊急指名手配された。


山の別荘の管理人からの通報で無事に高山文也ふみや君は保護された。

春日姉弟は、小児性愛者で里香が須藤の家で入学式の記念写真を見たのが切っ掛けらしい。

「あの子は、どうしても私の物にしたかった」と供述きょうじゅつ


「社長、凄いですね2日で事件解決ですよ」


「そうか・・・」



田中は、その後に推理小説を書いて自費出版。

内容の登場人物は実名だから、実際に起きた誘拐だと誰もが思った。

しかし推理内容は、脚色だらけの話で最後にどんでん返しでまとめている。


【誘拐犯は誰だ】

ソフトカバー A5

200ページ 1000部


どうにか知り合いの本屋で1200円で売り出す。

それを何処で嗅ぎ付けたのか、売れに売れて増版。

50万部も売れるベストセラーに、そんでもって俺にサイン入り本を贈る程だ。


俺はこっそり教えてやった。税金のお金は残せって・・・



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