第112話森林火災




アメリカのカリフォルニア州南部では森林火災で荒れ狂う炎に見舞われている。

動物は逃げだして街まで姿をあらわしている。

20年以上暮らしている住民も火災避難区域に指定されて逃げだすしかない。


あたかもカリフォルニア州全体が燃えているかのようだ。

山火事シーズンはまだ数カ月残っているにもかかわらず、今年だけで既に記録的な300万エーカー(東京の6倍近い面積)が焼失している。

州消防当局は「全ての山火事に対処するには人手が足らない」と警告している。


「火災避難区域の住民は、全て避難させたか!」


「避難完了の連絡がきました」


「そうか・・・これ以上被害者を出したくないな・・・しかし、これでは本当にカリフォルニア州が燃えてしまうぞ」


「隊長、日本から購入した消防重力機1台が向かっていると連絡がありました」


「なんてややこしい名だ・・・そんな物で消せるレベルではないぞ・・・何を考えているんだ」


「・・・・・・」


「隊長!あれが消防重力機です」


「なんでだ・・・あんな形で空を飛べるんだ。それに放水が・・・」


「もう見える範囲は消えてるぞ。なんて凄い消火能力だ」


「あんな物が存在してたのか・・・」


「隊長、海外のニュースを見るべきですよ」


「そうだな・・・あれがあれば・・・どれだけの火事での損失を防げるか計り知れないな」


輸入された消防重力機1台が火災を消しとめたニュースは、アメリカ全土を騒がせた。

議会では、消防重力機購入に向けて予算10億ドルが議決される。


2023年1月19日の為替レート:1米ドル=128.87円 

10億ドル×128.87=1288.7憶円

1288.7憶円÷2.5憶円=515台





「社長、まだ完成できてないのですか・・・肝心な重力魔法陣がないと未完成な在庫を抱える事に・・・」


「むちゃを言うな・・・こっちも必死に作ってるのが分からないのか・・・こっちの身になって注文を受けろ。今は俺しか重力魔法陣は作れないし量産化も無理だ。それ程に複雑な物なんだ」


「折角の量産化で営業部が勝手に受注したのは、わたしの責任ではありまさんよ。文句があるのなら営業部に言って下さい。アメリカから更に515台の注文も受けてますよ」


「何を考えてる。俺を殺す気か! ・・・信じられん・・・」


「それにしてもカリフォルニア州の山火事は凄いですね・・・なぜあんなに燃え広がるのか信じられません」


「あそこは春に雨が多く降って雑草や低木が多く育つ場所だ。暑い夏が来て雑草や低木が乾燥して山火事の燃料になってるのが原因だよ。地を這って燃えやすい状況になるんだ。タバコ1本の吸殻で燃え広がるのも速いよ」


「社長は、よく知ってますね」


「ネットで読んだ」


「・・・・・・」


「それで田中研究員が開発した携帯けいたい型放水はどうなっている」


「順調に生産されてますよ。ハルさんの努力のおかげです」


「あまり無理させるなよ」





ハルは、神須鍛冶工房で黙々と風の魔法陣に魔力を込めている。


「師匠、師匠の師匠は来ないですね・・・」


「そうね・・・新しくできた会社で、わたしみたいに黙々と魔法陣を作ってると思うわ」


「師匠は、寂しくないですか・・・」


「寂しくないと言えば嘘ね・・・」


「それなら隣に座って手伝いますよ」


「それはダメよ。その席はあの人の席だから・・・」


「師匠・・・」



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