第109話月へ




あんなにしらけた発表に対して、今日の出航式典は異常だぞ。

各国のテレビ局や報道陣で賑わってるぞ。

乗り込む客も金持ちで、海外の報道陣に囲まれてインタビューに答えてる。


まだ出航1時間前だから仕方ない。


「田中さんは、テスト応募に当選された方です・・・どうですか月までの旅行で月面に一歩を踏みだす感想は・・・」


「日本人として初めての月面着陸ができると思うと・・・喜びで一杯です」


「宇宙服を着ての訓練は、どうでしたか・・・」


「地球上の重さの16.7%になると聞きました。初めて体験であまり覚えてません」


「それで大丈夫ですか・・・」


「意識がしっかりしてたので、合格判定を受けましたので大丈夫だと思います」


『出航30分前です。旅客される方は乗り込んで下さい』


「あ!放送だ。失礼します」


「そうですか・・・頑張って下さい」





『出航します』


「ピリピリピリ」と鳴った瞬間に船体と海に結界が張られ船がゆっくりと浮きだす。


「ご覧下さい!銀河号が浮上しました。真上に浮上し続けてます。山田さん、これはどう言った理由でしょう」


「航空規制に配慮はいりょして真上に飛んでるのでしょう」


「なんとも世知辛いですね~今後、世界各国の国際線が稼動するらしいと聞きました。それは本当ですか」


「本当のようです。24時間の稼動する国際線で貨物運行もされるようです」


「東京国際クルーズターミナルからの実況でした」




大気圏を突破した銀河号は、月に向かって猛スピードで飛んだ。

機内の部屋にいた客に、「ご自由に出歩いて下さい」と放送が響く。


客が向かった先は、展望室。

螺旋階段をのぼった先には、180度が強化ガラスのドーム状で満天に広がる星空が見える。

数分で展望室は満員で、宇宙に心を奪われて見入る状況。


「あなた・・・素晴らしい眺めね・・・宇宙ってこんなに美しいとは思いもしなかったは」


「宇宙より君の方が美しいよ」


「まあ・・・あなた・・・」





月面に銀河号がゆっくりと着地。

船底から伸びた4本の足が、月面をしっかりキャッチ。



「これから月面を歩くので、訓練のように行動して下さい。単独行動は厳禁です」


「Since you will be walking on the moon from now on, please act like you are training. Do not act alone」


もう歩きだすと勝手な行動する者が現れた。

ゴーレム01が重力を操って、勝手な行動する人物を捕まえる。

そして「戻れ!」と命令口調で怒鳴る。





それとは別に、土木ゴーレムが月面で作業中だ。

月面の土が盛り上がって、頑丈な建造物が建ち並ぶ光景は圧巻だ。

その形状は球状で月面に半分が埋まった状態で5つの球体が五角形に並び配置。

外側を見れるように強化ガラスをはめ込む土木ゴーレム。


五角形の真ん中では、結界装置が発動しようとしている。

月面から5つの建造物を取囲んで結界が張られる。


もしもに備えて、5つの球体は連結されたまま浮上する仕掛けだ。



銀河号が月から飛び立つ頃には、発掘が始まりだす。

地質調査を目的の発掘・・・




そして、地球に戻った客達の旅行費用は、基本は20億で客室のグレードでプラスされる。

224名×20億円+120億=4600億円



ちなみに他社の宇宙旅行も参考にしたよ。


【ヴァージン・ギャラクティック社】

費用:1人約5000万円


宇宙空間で約4分間の無重力体験ができる。

帰還は、グライダー飛行での滑走路への着地。



【ブルーオリジン社】

費用:1人2000~3000万円


完全自動操縦で、6人まで乗船できる。着陸はパラシュートで何処に落ちるか不明。



【スペースX社】

費用:1人あたり約80億~120億円

ツアー日数:6日間


月周回旅行。

オプションがあって、月の地平線から地球が登る「地球の出」が見られる。

数ヶ月の訓練が必要。



【スペース・アドベンチャーズ社】

費用:1人あたり約50億(推定)

ツアー日数:13日間


国際宇宙ステーション滞在旅行。

訓練期間100日。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る