第107話ウニ




63階層の通路を歩いていた時に、嫌な予感を感じてしまう。

あわてて遠くを注意して見る。

あれは何だ・・・更に集中して見るとウニのようにトゲを生やしてるぞ。


そのトゲは黒くて痛々しいのだ。


トゲの長さは1メートルから1.5はあるかな・・・

そのウニがふわりふわりと浮遊している。


あ!ピッタッと止まって中心部が赤く点滅したぞ。

何かヤバイと思った俺は、土魔法の頑丈な壁を出現させる。

その一瞬にウニが猛スピードで向かってきていた。




1メートルの厚さの壁が呆気なく破壊されて、破壊された壁が俺を吹き飛ばす。

頑丈になった体だ。これしきなら大丈夫と思ったが違っていた。

俺の・・俺の左腕にトゲが刺さっているだ。

もう腕の感覚が無く、ぶらっと肩に付いている感覚だ。


右手で抜こうとしてもトゲには、ギザギザの返しがあって抜く度に出血が激しい。

それでも一気に抜き切った。感覚が無いのは助かったが、出血がひど過ぎる。

血だまりの量が半端無いぞ。


それでも腕の開いた穴も塞がりだしている。

失った血の代わりにポーションをがぶ飲みだ。

からからの体が癒される・・・


手術中での心停止の原因の約3分の1が出血による死だと聞いている。

だからやばかった。見た感じは1リットルぐらいの出血だろう。

もうちょっとで死んでいたのか・・・



【自爆とげ


敵を発見すると飛んで自爆する

トゲには麻痺効果がある



なんて奴だ。自爆するなんて・・・


そうだ・・・左腕が麻痺したままだ。

麻痺を治す為に光魔法を発動。腕が淡く光って麻痺が解除。

それと一緒に体にも癒しの光を発動。



「あ!ウニだ!」


今度は3メートルの厚みの壁を出現させる。

更に風の盾も発動。


凄い衝撃が壁に激突。壁が1メートルも押し込まれたのは驚きだ。

なんとかトゲ攻撃にも耐えた壁を消し去る。

壁に埋まっていたトゲが落下。その数30を超えていて天井や壁もトゲだらけだぞ。


あ!魔石だ。

ちょっと大きめな魔石だ。

あ!向こうにも1個が・・・


これって発表されてない大きさだから、どれぐらいに売れるかな・・・



あ!緊急警報が鳴ったぞ。前後に壁を発動。


なんと両方の壁が衝撃を受けた。

壁と壁の間は1メートル、危うくぺしゃんこになりかけたぞ。


その壁に手を付いて無魔法のエナジーショットを発動。

衝撃を与えて4メートルまでぶっ飛ばす。


又もウニが来たら面倒だ。探索を発動して辺りを調べる。


10メートル、30メートルまで範囲を広げて安全を確認。

あの2体が30メートル内の残りだっだのか・・・



「アル、手伝ってくれ。この壁を浮かせて自由に動かすことは可能か?」


『可能だ・・・』


急に壁が浮き出した。


『これで無魔法でコントロールすれば自由に動くだろう』


あ、本当だ。

無魔法で動かせるぞ。

天井近くまで浮かせるのも簡単だ。

ならば壁も強化させてしまえ・・・グググッと少しだけ縮小。

密度の高い防御壁2つが完成。




もうウニ相手に無双だ。

見つけた瞬間に防御壁を突撃させて、遠い位置での自爆で消滅させる。

それだけで楽勝だ。



通路が終わり、広い空間だぞ。

探索した結果は50も浮遊してるぞ。


『心配するな、数を5つに増やして追尾機能を付与すれば解決するだろう』


「え!そうなの・・・」


『計算上は十分に対処できるぞ』


ならば数をアルが言うまま5つに増やした。

そして追尾機能も付与したぜ。


出来立ての防御壁3つがアルによって浮き出した。


「お前は俺を守れ!4つは、奴らをボコボコにしろ!」


広い空間を凄い勢いで飛んでゆき、爆発も平気で突き進み防御壁。

1つだけが俺の周りを警戒して遊撃しては帰って来ている。


終わった時間は5分。



そして5つの防御壁の魔改造の始まりだ。

ゴーレムモドキのようにカメラを埋め込む。

当たる瞬間は、奥深くに収納して壊れないように工夫だ。

そしてコントロールチップも埋め込んで、魔石も埋め込む。


自立追尾攻撃壁3つと、自立防御壁2つに分けた。


「攻撃壁、あのウニを全滅させて来い」


言った途端に飛んで行ったぞ。

探索でも撃破される数が増えてるぞ。


1時間足らずで帰って来たぞ。

あ!魔石の回収を忘れてたぞ。


ゴーレムモドキ5体を出して。


「魔石の回収をして来い」


機敏に走りだすゴーレムモドキ・・・



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