第101話独裁者




ミサイル駆逐艦くちくかんの内部に重力魔法陣を設置完了。


「船長、やってくれ」


「かしこまりました。機関室!重力魔法陣を作動しろ」


『船長、了解しました』


う!・・・浮遊感を感じるぞ。

俺は急いで外を見た。浮いてるぞ・・・この重いミサイル駆逐艦が呆気なく浮いてる。

もう1つか2つの重力魔法陣が必要かと思っていたのに・・・成功するなんて・・・


「わたしの言った事に間違いなかったでしょ」


「ああ、間違いないな。それでロシン帝国の空飛ぶ乗り物ってどんな乗り物なんだ」


「わたし達が乗って来たのと同じタイプよ」


「え!あのボートは全長10メートルしかないのに・・・あれより大きいのは無いのか? このミサイル駆逐艦以上のものは」


「無いわよ。必要も無かったのよ」


競合する相手がないと、折角の物を発展させる考えもしなかったのか・・・

そうか・・・ルーン文字災害で懲りてしまって、発展を放棄したのかよ。

発展させないことが安全だと考える程に、暴走災害を恐れてるのか・・・絶対にそうに違いない。


「それで数はどれくらいだ」


「1万2千ぐらい・・・だったと思うわ」


ちょっとあやふやな数だがゴーレム01が1万だから勝算ありだな。



「さあ、南大陸のロシン帝国へ攻めて、わたしの娘を皇帝の座につかせて・・・きっとあなたには後悔させない身分を与ええます」


身分・・・それより情報をくれよ・・・敵を知らないとボロ負けするぞ。


「ちょっと待ってくれ・・・向こうの情報を調べる必要があるぞ。王妃の味方になる人物は居ないのか?」


「オーエル将軍とマークレなら助けてくれるかも・・・」


「分かった。忍者ゴーレムに状況を調べさせるから待ってくれ・・・」


なんやかんや聞き出して調べることにした。

10人の忍者ゴーレムが飛んでいったぞ。





この10人の忍者ゴーレムは、数少ないカメラ付だ。

そのカメラから10台のモニターに数分遅れの映像が送られて来ている。


1台のモニターを見て王妃が悔しがっている。何かあったんだ・・・

モニターには、立体映像で処刑風景が民衆に見せられている場面であった。

でかい斧で縛り付けられた人々を、次々に首を斬ってるのだ。

頭が下に置いているおけから跳ね落ちている。

そのアップが映し出される


「オーエル将軍!」目をらして泣きだす王妃。



それにしても見てる民衆は、さまざま人種が居るぞ。


2メートル以上の長身の人種。反対に1.5メートルの身長で顔中には刺青だらけの人種など様々だ。

あれ!ネコ耳も居るぞ。アニメぽくってかわいいではないか。


「処刑告示でオーエル将軍とマークレが処刑されたらしい・・・父は何を考えているの」


王妃の沈む声が聞こえた。


もう独裁者へ向かって突き進んでる感じだな。

王妃の父アベルには後が無いのだろう。それにやり手のようだぞ。


処刑告知には、皇帝暗殺の首謀者として処刑されている。

そして見方にならない者を早い段階で共謀者として処刑。



これってソ連のスターリン時代を思いだすぞ。

ナチスドイツとの戦いで、ソ連のリーダーとして戦争を勝利へと導いた人物。

その一方で、国民の生活はかえりみず、国内では食料の枯渇こかつを招き多くの餓死者をだす。

権力の座に着く過程では、強引にライバルたちを排除し権力者になる過程が似過ぎだぞ。


俺らが戦う予定だから、ドイツのように負ける訳にはいかない。

絶対に勝って見せるぜ。



モニター越しに「空飛ぶボートの数を調べろ」と命令。

その結果、ロシン帝都での数は4000ぐらいで、3000は物流関係。

残りの1000が帝都を守ってるみたいだ。

守ると言っても警察みたいに犯罪者を捕まえるのが主な仕事らしい。

それも帝国に対して暴言を言った者を捕まえるのが大半だ。



「あ!帝都から1番近い都市で何かが起きたぞ。なんとライオン男や猫耳の男女がいるぞ」


「あれは住民の多くが獣人族のジュウ都市だわ。昔から戦いで活躍してくれた獣人で何かあったの」


あ!虎男が連行されてるぞ。

周囲の声には、「我らのリーダに何をするんだ」と言う声が・・・


「あの虎男は知ってるわ。父の腹心だったミエルよ。それなのに・・・どうして」


「あの虎男のミエルを追い続けろ」


忍者ゴーレルは、言われるまま追い続けた。



あのボートに乗せられて都市の外へ連れ出されたぞ。

そして静か森に下りた。


「さあ、降りろ!」


「わたしをアベル様の腹心と知ってやってるのか・・・今なら許してやるぞ」


「何を寝言を言ってるんだ。そのアベル様の命令だ。アベル様は、お前を怖がっているが分からないのか」


「そんな・・・」


拘束された状態で囲まれている。魔法士が呪文を唱えだす。

頭上には火球が現れだしている。



「忍者!ミエルを助けろ」


それは一瞬だった。虎男を取り巻く10人の兵士が眉間を打ち抜かれている。


「何が起きたのだ!」



「王妃、あのミエルをこっち側に引き込むんだ。それによって勝率が上がるはずだ」


「分かったは・・・やってみる」



忍者ゴーレムがステルスモードを解除。

姿を現した忍者ゴーレムに、驚き警戒もしている。


「ミエル、わたしよ。王妃のロレッタよ」


「ロレッタ様ですか・・・死んだと聞いてますが」


今までの現状を話して、どうにか納得させたようだぞ。


「わたしも裏切られた身です。王妃を助けます・・・しかし、わたしを裏切る事は許しませんぞ。裏切れば必ず殺します」


ミエルにも思うものがあるのだろう。最後の言葉には憎しみがこもっているぞ。


「分かりました。絶対に裏切らないは・・・だから娘の為に・・・」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る