第95話ラテン砂糖




この異世界での砂糖は、現代の砂糖とまるで違ってた。

この国で使われるのがラテンの野菜で、大根に似てるが葉っぱが全然違う。

そのラテンを細長く切って、蒸して絞った汁が砂糖代わりに家庭で使われている。


保存が出来るように鍋でゆでる。決まって焦げ易いので黒い固形物になる。

なので焦げ味と野菜独特に苦味も残るのだ。


だから、ここでのスイーツは、独特の味でなれないと食べれない。

それでも子供に人気のサトウパンは、甘苦くて固いのが特徴。

全てのパンが固いのだ。中には固過ぎて歯が折れると思う物もあるのでビックリしたよ。

これを改善する為に新たな砂糖工場を建てたぞ。



新たに開墾かいこんしたラテン畑では、ラテンの葉っぱを切ってジャブジャブと水洗いして出荷だ。



【ラテン砂糖工場】


「オライオライ、ストップ!」


3輪バギーから降りた運転手も手伝って、ベルトコンベアへラテンを載せる。

ベルトコンベアは、ラテンを載せたまま奥へとおもしろいように移動してゆく。


「便利な物ができたな・・・」


「そうだな、前の加工業の仕事は辛かったな」


「そんなに辛いのか」


「辛くて辞める者が1番の仕事だよ」


○洗い

原料のラテンには、何が付着してるかわからない。

以前の加工業者でも洗っているが雑で、砂糖の中にジャリとする場合もある。


だから徹底的に洗い落とすことにしたぞ。

回転ドラムみたいにして水をぶっかけて、洗う工程を2回ほど繰り返す。

別の回転ドラムに入れて最後の洗いをやって終わりだ。

なので固いかわも勝手にけてしまう。


○切断

切断機を使って切断だ。

回転ドラムの外側に刃が付いていて、回転するとシャシャシャと切れてポテトチップのように切れる。

それを回収してベルトコンベアが運ぶ途中で、もう1つの切断機の刃がダダダダダと縦方向に切ってゆく。


○茹でる

65℃~75℃の温水で茹でる。

ラテンが茹でられて糖分がジャンジャン出てくる。

付着した微生物もこれで死滅だ。


○圧縮と脱水

圧縮して脱水機に投入して脱水。

残った絞りカスは、乾燥させて牛モドキの飼料にする。

まだまだ甘みが残ってるから牛モドキの好物だ。牛モドキも牛乳の為に飼いだした。


○清浄

ここで小型魔法陣の登場。

まだまだ残った不純物をきれいサッパリに除去する。

甘みを壊さないように時間をかけての除去だ。


○分離と乾燥

水分と砂糖の分離をする。

高いタンクの上から糖分液を噴霧状ふんむじょうにして落とす。

途中で魔法陣によって水分が抜き取られる。

あれよあれよと結晶に・・・


下に落ちた時には、サラサラの砂糖が出来上がりだぞ。



売り出されたラテン砂糖もバカ売れだ。

白くて甘い砂糖だからかな。





それに合わせて新築のパン屋がオープン。

日本から持って来たドライイーストが役にたったようだぞ。

そしてお手軽パン作りの本で、発酵時間から二次発酵まで真似て作ったのだ。

焼き上がったパンは、やわらかいパンで歯に優しい。

それでもってバカ売れ。



あっちこっちのパン屋で、30分待ちの列が出来ていた。


「なんだよこの列は」


「お前は知らないのか・・・やわらかパンだよ。スープに漬け込んで食べなくても食べれるやわらかいパンを・・・」


ちょうどその時だ。2人の知り合いが紙袋を持ってパン屋から出てきた。


「トム、パンを買ったのか」


「結構並んで買ったよ。家に帰って食いまくるだ」


「1つをトッドにわけてくれないかな。トッドはやわらかいパンを知らないんだよ」


「なにーー!!知らないのか・・・仕方ない。このふわふわしたシュークリームをやるよ。俺も食べたことがないので感想を聞かせてくれ」


不思議そうに一口食べた。


「なんじゃーーこれーー!中の黄色い物が旨すぎだぞーー!」


後の2人も分け合って食べた。


「旨過ぎーー」




パン屋の中では、様々なパンが売り出されている。


さつま芋を詰めたさつまパン。

焼きそばを入れた焼きそばパン。

食パンも一きん、2斤、と売れて、そのままカブリつく連中もいるぞ。


クリームパン、シュークリーム、生クリーム入りのシュークリームなどなど。

プリンの販売も開始したよ。


パン屋は、旧パン屋さんだった人たちを集めて、俺がレクチャーして教え込んだ。

元々パン屋だ。覚えるのも早い。

なので魔道パン焼き機を格安で売って、店の改築も手伝った。





俺は、新たに建てた倉庫にいた。

大量に買った胡椒。

1缶10キロだ。長期保存なら缶がいいと思って缶にした。


販売価格:39,138円(税込)

賞味期間:1080日(開封前)


ブラックペッパーとホワイトペッパーをバランス良くブレンドした香り立ちの良いコショーらしい。

それを1万缶も買った。



【ウスターソース 食堂用】


販売価格:4,900円(税込)

内容量 :1缶(18L)



【トマトケチャップ】


販売価格:5,900円(税込)

内容量 :1缶(18L)



あっちの棚には、袋ラーメンセットが一杯だ。


【袋ラーメン6種類30食詰め合わせ】


販売価格:2,980円(税込)

醤油、塩、とんこつ、みそ、塩とんこつ、坦々麺



【カップ醤油ラーメン1箱】


販売価格:1,386円(税込)

数量  :117g×12個



倉庫の中は、気ままに買った物で溢れてる。


そろそろ、あの店にも醤油を卸す必要がありそうだぞ。

たしかこの辺りだ。あ、あった醤油の缶がズラリと並んでいる。


【業務用醤油】


販売価格:5,389円(税込)

内容量 :1缶(18L)


その数1万缶。


ぼちぼち醤油の工場も建てる頃合かな・・・

醤油を作るなら味噌工場もありだな。

それにしても、よく入ったものだ。

亜空間ってどれだけ入るのか、今でもようわからん。



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