第93話酒




ドワーフが言うままビール工場を建設したぜ。


土魔法なら固い柱や壁もドンッとぶっ建てた。

白い壁で清潔感が感じられる建物の完成だぞ。


同じ材料の大麦を使った酒に、麦焼酎とウイスキーもあった。

酒好きなドワーフには、きっと喜ぶはずだ。


だから麦焼酎の工場とウイスキー工場も、どんな建物がいいのか事前に調べつくした。

スマホには、詳しい内容も保存済みで表示して建てたぞ。

外見も中々いい。


あれ!床面が傾斜がなってなくて水はけが悪そうだな。

これじゃー水が溜まって衛生的でないぞ。

ぶち壊して作りなおすのも・・・


空中で砂やセメントや水を混ぜ込んで、床に生コンを流し込んでやったぞ。


後はこてを使って床をならして傾斜をつければ完成だ。


「ダメだな・・・スジ残ってるぞ」


ちょっと固まった頃に、フライを使った状態に2度目のならし作業だ。


「ジャーー、シャーー、シャーー」


ちょっとは平らになったぞ。



乾きだすと荒い場所が目立ちだした。


もい1回だ。フライで浮いた状態で床面をピッカピッカにならしたぞ。

俺の変なこだりがでてしまったぞ。


カチカチに乾いてから強力防水塗料を塗れば完成かな・・・

そうだ、塗料塗るならほどほどで良かったかも・・・





さあ、酒作りだ。


麦焼酎とウイスキーは、どっちも主原料である大麦を糖化とうかさせて発酵させ、蒸留して貯蔵して造る蒸留酒なんだよ。



蒸留とは・・・

なぜ蒸留するのか・・・蒸留する前のもろみの中の水の沸点ふってんが100℃なのに対して、アルコールの沸点は78℃。

つまり、もろみを熱するとアルコールが先に蒸発し始めるので、その蒸気を冷やして液体に戻すと、原液よりもアルコール度数の高いお酒ができる仕組みというわけ。

しかし、風呂の湯が42℃ぐらいから湯気として蒸発してるから水も少なからず含まるんだよ。


蒸留装置は、いたってシンプルだ。

もろみを入れて加熱する釜があって、上の方から延びているパイプで蒸気を運んでって、その先に冷却器で液化させるって構造だよ。

使うのが銅製の釜がいいだよ。熱伝導率がいいから・・・



麦焼酎とは・・・

何が違うのか糖化させる時にこうじを使うのが麦焼酎で、蒸留も1回だけでアルコール度数は、40~44%なのが一般だ。

蒸留も1回だけにしてるのも麦のいい香りだったり、うまみだったりが残るからなんだ。

麦焼酎は麦のおいしさが残る特長のあるお酒なんだな。



ウイスキーとは・・・

ウイスキーは、糖化に麦芽ばくがを使って、蒸留も2回やるんだ。

1回目でアルコール度数約20%の液を取り出し、それをもう一度蒸留して65~70%というアルコール度数の高い原酒をつくるだよ。

そしてたるの内側を軽く火であぶる。殺菌と木の香りや味を左右する重要な作業なんだ。

その木樽に長期熟成させて生まれる深い琥珀色の液体は、ウイスキーの大きな特徴なんだ。





もう出来上がったビールで乾杯するドワーフ達。

ビールジョッキーも俺手製のジョッキーだ。

ガラスの主成分の珪砂けいしゃと呼ばれる砂がガラスの主原料。

亜空間の中には大量にあった。なんでもかんでも入れてたからな・・・


それを魔道ミニ高炉で溶かして、くるくる回して「フーッ」と吹いて脹らませる。

くるくる回して濡れ紙で形を整えるのが一苦労だよ。

もう汗がだらだらだよ。

取っ手を付けて、魔道加熱庫でゆっくりさます。

急にさますとピキピキとひびが入って割れるもろさがあった。


そんな光景を見せられたドワーフも、勝手に参加して勝手に何かを作り出したぞ。


「成る程な・・・こうやって回すのか・・・おお、そうか、そうか」


中には美術品級のガラス製ドラゴンを作りやがったぞ。


「頭の角が気に入らないな」


そう言ってハンマーで叩き壊したぞ。

え!壊すの・・・


なんて職人気質な奴なんだよ。十分は作品だったぞ。俺なら買うな・・・




夜の宴会が始まったぞ。


「なんて美味いんだよ」


「この冷たさと、喉を通る時にシャワシャワ感が堪らんな」


「乾杯!!」


「乾杯!」


あの乾杯も、俺が教えてやったぞ。

互いの健闘けんとうをたたえる儀式だといったら、喜んで乾杯し合ってるぞ。


「やめろ、やめろ、俺は酒に弱いって」


それなのに無理やり飲まされたぞ。

初めてのビールで酔ったのか、ドワーフ達は横柄な態度だ。


もうヘベレケだ。目が回るし気分は最悪だぞ。

ああああ、睡魔が・・・




俺は、目を覚ました時にはパンツ一丁で寝ていた。

ガバッと起きて周りを見た。


クスクス笑う女子のドワーフ達。


「イサム様は、昨日は羽目を外し過ぎましたよ。ホホホホホ・・・・・・」


なに、その言い方は・・・

なにがあったと言うのだ・・・?

もう俺の頭には、何も記憶が残ってないぞ。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る