第87話G7と立方体




特別生態治療機が日本開催のG7サミットに間にあったぞ。

完成した数135。主要国は手土産みたいに持ち帰る手はずになっている。


これで総理大臣のメンツがたもたれるとボーナスをもらって浮かれてたよ。


会議では、何処の国に特別生態治療機を渡すのかで、めに揉めたよ


いろいろの経過を経て落ち着いた最後の結末は・・・

国でなく地図で平均して区切って、特別生態治療機を設置して吸血鬼をそこに送り込む事で決まった。

設置する国も民主主義で治安がいい国と決められた。



中国とロシアは、すでに結論は出てた。


最近調子に乗りすぎた中国とロシアは、特別生態治療機で政治利用されるらしい。

だから今回のサミットから弾かれてしまっている。


それでも特別生態治療機をよこせとうるさいのだ。



「中国としては遺憾いかんです」


ネクタイの色が合ってないおっさんが、曖昧あいまいな言葉でテレビニュースで発言してたよ。

ロシアでは、日本大使を呼びだして抗議してたな。



区割りした結果、4つ足らないってなって・・・そんなバカな・・・


徹夜でハンマーを叩く。


「師匠、サヤも頑張ってるみたいなので10時には間に合いますよ」


「そうであって欲しいな・・・」


テレビで、それも生放送で特別生態治療機を設置する国の発表と国旗を立てるイベントがあるのだ。

それもG7の代表が交代しながら国旗立てのイベントが・・・

何処の国も欲しい治療器だから、今か今かと見てるだろう。

誰が考えたんだよ。





「師匠!国旗立てのイベントが始まりますよ」


「おいおい寝かせてくれよ。5時まで叩き続けたんだぞ」


「知ってますよ。わたしも叩いていたので」


「ピンポン、ピンポン」誰か来たようだ。


「待ってたわよ。汚い所だけど」


「それは知ってます師匠」


なんだ、その言い草は・・・

サヤは気まずそうに、ちょこんと俺にお辞儀してテレビ前で2人して座って笑ってるぞ。


総理大臣がつまづいて転んでるシーンが映ってたからだ。

あわてて立ち上がり何食わぬ顔で歩き出しだぞ。

大勢の人々がテレビの前で見てるのに。


もうハルとサヤは爆笑だ。


「師匠、ルーン文字をまだまだ叩き続けなくてはいけませんか」


「そうね・・・飽きてきたわね」


2人して俺の方を見てるぞ。

そんな事を言っても・・・俺も飽きてるぞ。


『飽きてるなら、研究所のように自動化すれば良いではないか』


なんだよ・・・急に割り込んだな。

そんなに容易たやすく出来ないから俺らがやってるのが分からないのか・・・


『わたしが手を貸そう。ネットで仔細な設計図も送れるぞ』


それは本当か・・・おやじに電話してみるから。


「もしもし・・・俺だけどおやじいるかな・・・元気にやってるよ・・・相談なんだけど・・・うん・・・うん・・・ルーン文字をおやじの会社で作らないかなって・・・設計図も送るから・・・うん・・・」


『なにをやってるPCの前へゆけ』


PCの電源を入れて立ち上がったら、バラバラバラバラと画面一杯に文字が・・・


『会社をみたぞ』


え!みたぞって・・・メールを送ってないのかよ。


『送るにも記憶する容量や計算処理能力の諸々のスペックが低過ぎだぞ。あれではダメだな』


どんな物があれば良いんだよ。


『最低でもスパコンぐらいは欲しいな』


何を言ってるんだよ。スーパーコンピュータって開発に1300億円もかけたらしいぞ。そんなの無理だよ。



『仕方ないな。スパコン以上の物を作るぞ。何してる鍛冶場へ行くぞ』


え!今から行くのかよ・・・





俺がこっそり溜め込んだオリハルコンを全て使い切りやがったぞ。

純度99.9%のオリハルコンのかたまりだ。


ダイヤの研磨剤やダイヤ切削工具を使っても、傷1つも付かなかったのに・・・


輝く魔法陣を使って立法体キューブに変えやがった。


俺は小型の魔法陣を作るのに、汗だくだ。


『まだ出来ないのか、こっちは出来たぞ』と急がせやがったぞ。


細かい作業に、指がブルブル震える。

これが最後のルーン文字だ。


「どうだ!出来たぞ!!」


オリハルコン製の立方体が小型魔法陣の上に浮かんだ状態でゆっくりと回ってるぞ。

キラキラと輝くこれがスパコン以上なのか・・・


『スパコンと比較して演算処理1万倍が現状での限界だな。妥協だきょうかたまりだよ』


それはアルの無念のなげきだった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る