第83話ネズミ
地下51階層を歩き進んだ。
向こう気が付いたのか右、左、とジグザグに進路を変更して素早く走ってくる。
向かってくる進路を見極めて暗黒吸刀を振った。
なに!・・・背中が引き裂かれた。凄い量の血が吹き出しただろう。
我慢して横に飛んだ。
なんとか再生が行なわれて血は止まっている。
探索では、壁に向かってジョンプしてクルッと反転して俺に向かってきていた。
大型犬程のネズミだ。大きく開けた口には、鋭い前歯が見えている。
とっさに暗黒吸刀を突き刺す、え!瞬間に消えたぞ。
俺は横に飛びながら
俺が居た場所の後ろからネズミが現れている。ネズミも俺が居ない事に気付き、こっちを見ている。
ネズミ野郎は、瞬間移動しているぞ。
なんてずる賢い奴だ。
今度は、左腕の一部を噛み千切られて、美味そうに喰いやがったぞ。
再生も早いが、悔しくて悔しくてレーザー光線で倒すか・・・
そんな俺をあざ笑うように、目の前で消えた。
俺は隠蔽魔法を発動。
これで時間稼ぎをして、作戦を立てよう。
なにかいい案はないか・・・
「パリン」と隠蔽の壁が壊された。
なんとネズミ野郎は、ニヤリと笑ったぞ。
その顔面に
自前で作った靴の靴底には、撃ルーン文字が込められている。
だから凄い蹴りを喰らったはずだ。
【
高速移動
瞬間移動
脳震とう状態
俺は、暗黒吸刀を振ってネズミの首を
地面に転がるネズミ野郎は、白目をむいてだらしなく舌を出している。
【高速移動習得】
「なんで高速移動なんだ!・・・バカ野郎!」俺は大声で怒鳴っていた。
瞬間移動なら対処できたのに・・・
そうだ!思い出したぞ。
亜空間からお目当てのシューズを取り出した。
今、
小型魔法陣が埋め込まれたシューズで、素早さに特化したシューズなのだ。
履き心地もいいぞ。
【高速移動習得×素早さ】を試した。
10メートルを凄いスピードで走り抜けたぞ。
止まったのは7メートルもオーバーした所だ。
え!ネズミの目がキラリと光った。
「チュ、チュ、チュー」と警戒した鳴き声を発したぞ。
又も右、左、とジグザグに走ってきたぞ。
1回見たからタイミングは知ってるぞ。
もう本番だ。
瞬間移動する前に、俺は走り抜けながら2つに斬り分けてやった。
止まるのも大変だ。
ネズミの
あんなに苦労したのに・・・転がった死骸には憎しみはなかった。
最初のネズミだけが、思い出しただけで憎くて堪らん。
「瞬間移動を取ったぞ!!」
暗黒吸刀を握った手を高らかに上げて叫んだ。
念願の瞬間移動だ。
400のネズミを斬って、ようやく習得できたとは・・・これってレア中のレアなのか。
成る程な、5メートルが瞬間移動の最大距離か・・・使い込めばもっと伸びるのか・・・
とりあえず試すか・・・あ!なんだこの感覚は、言いようがない感覚だぞ。
いい所にネズミが来たぞ。
「危ない!」
慣れないと方向感覚が狂いそうだぞ。
どうにか斬ったが・・・
なんだこのエリアは、出る、出る、ネズミを斬っても斬ってもさいげんなく出るぞ。
400も斬ったのに、まだ出るのか・・・
これで800で打ち止めのようだぞ。
全ての魔石回収も一苦労だよ。
「あ!指輪だ!」
なんて精巧な指輪だ。4匹のネズミがリング状に絡み合っている。
【鼠の指輪】
素早さ 強
なんとシューズより効果は落ちるが、【強】はレア級なアイテムだぞ。
指にはめる「キュウッ」と指のサイズに、フィット感が完璧だぞ。
そして、もう1つの指輪もあった。
【脱出の指輪】
ダンジョンから地上へ脱出できる
脱出の指輪は激レアなアイテムだ。
探索者なら見つけたら感激するお宝で、危険が迫った時に何時でも逃げれるアイテムで何度も使える物なんだよ。
命の掛かった職業だから、命の次に大事しる。
これってオークションにも出ないアイテムで、俺も必死に探したがゲットできなかった。
脱出の指輪を「キュキュ」てこすって「脱出!」と唱えた。
神須ダンジョン入口に俺は立っている。
あっという間だ・・・
「師匠!そんな所で突っ立っていたら邪魔ですよ」
ハルがダンジョンから出てくるところだった。
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