第84話治療
俺は学園の大会議でリモート会議をする為に来ていた。
巨大モニターには、各国の代表が映し出されている。
ヴァンパイアのマリア討伐を報告するのをすっかり忘れてたのが原因。
討伐後の領地開発であれこれやってたから、忘れても仕方なと思わないか・・・
「君の言動はけしからんぞ。わしを誰だと思っている」
それなのに俺に対してやいのやいのと文句を垂れるのだ。
その筆頭が政治家や公安だ。
「君の報告の遅れで何もかも手遅れになってるのが分からないのかね。吸血鬼、いや違う。人類に対しても重大なミスを犯したと思わないのかね・・・」
俺はカチンッときたぞ。
「あなたは頭デッカチですか・・・あなたが所属する公安が対処できないマリアをワザワザ倒したと言うのに、
「まあまあまあ、ここは日本ギルドマスターの私に免じて許してやってくれ。谷崎も分かったな」
「・・・・・・」
「吸血鬼のトップがいなくなった今が、吸血鬼絶滅の絶好のチャンスです」
急に野党の政治家が得意顔で言い出したよ。
フランス「それで具体的に何をするのかね・・・いい作戦でもあるのかね・・・なにも無ければ、そんな曖昧な言い方をするな!わがフランスは、吸血鬼討伐でわが国は人的被害と経済被害を被っているのだよ」
あああ、フランスが怒り出したぞ。
フランスか・・・たしか経済界のトップ5人が吸血鬼と分かって討伐に甚大な被害をだした。
そして株価暴落で経済もガタガタに落ち込んで輸入額が輸出額を大幅に上回る状況。
フランスの過去に類を見ない速度で経済悪化した国に転落したとニュースで言ってたな。
吸血鬼に対して1番の被害国かも知れないぞ。
そりゃー怒るな・・・
佐々木「わたしから重要な情報があります。まだ確証が得られてませんが発表してもよろしいでしょうか?」
「君が言う事だから間違いないと思うが、どんな内容かね」
佐々木「吸血鬼を治療して人間に戻す方法です」
それぞでの画面では、立上がる者や怒鳴り散らす者までさまざまだ。
それ程の衝撃を与える情報で、手を合わして祈る者までいる。
佐々木「最近発表されてルーンナイフをご存知でしょうか・・・そのルーン文字を複数を使いプログラム的に魔法陣として発動。その光を浴びれば吸血鬼が人間に戻れると提出レポートには書かれてます」
「書いた人物は誰だ!そして、その情報源は・・・何処から手に入れたのだ!」
佐々木「皆様が冒頭から攻めた人物です。マリアを討伐した神須ダンジョンで突如、天の
「完成の予定はいつだね!」
「ここバカバカしい会議が無ければ、数日には完成すると本人は言ってます」
「日本の政府は何をやっているんだ!! わがフランスを破滅させる積もりなのか・・・このまま済むと思うなよ!!」
「アメリカ政府も強い
「意義なし!」
もう公安や日本の政治家が各国から厳しく問いただされ吊るし上げを喰らっているぞ。
俺は、スッキリした気分で会議室を出た。
『その位置では発動しない可能性82%。右に0.002、上に0.4、文字を左に1度傾ければ正常に作動する可能性能99%。早く指示通りに行ないたまえ』
「やけに細かすぎないか・・・適当に配置しても発動すると思うけど・・・」
『このおろか者が!魔法陣の魔も知らぬとは・・・情けないぞ』
「分かったよ。言われた通りにするからやいのやいの言うな」
しまった!集中して人が見てたのを忘れてたぞ。
独り言にしては、変人と呼ばれたっておかしくない状況だぞ。
気が付いたら周りの連中が怪しむ顔をして見てた。
佐々木もいれば大木も見てる。
そんな連中を気にしないで、となりではハルが頼んだルーン文字を黙って打ち続ける姿が目にはいった。
そんな気配で気付いたのか、打ち上げるハンマーを止めてニコッと笑うハルだった。
学園の地下研究。
その厳重にセキュリティ対策された試験場で、吸血鬼の女が拘束された状態で寝かされている。
手足や胴も幾重に固定。
ガンガンに見開いた眼だけが抵抗し続けている。
頭部もしっかり固定されてるから眼しか動かせない。
「治療の実験を開始する。時間は13時30分で照射開始だ」
「時間まで10、9、8、7、6,5,4,3,2、照射」
女の眼が更に飛び出すぐらいに盛り上がった。
急におとなしくなってピクリとも動かない。
「心電図に反応あり!成功です」
「照射時間5秒で
「5秒で治療完治と考えていいのかな・・・」
「もっとデータが欲しいですね・・・」
医者が駆け寄り手で脈を確かめた。
ドクン、ドクンと脈が指先に伝わっている。
「生きてます。人間として生きてます」
「後はぐっすり寝かせて意識が回復すれば、治療の完了だな」
「24時間寝たら目覚めるって本当ですかね」
「俺は最長の話で、吸血鬼になった期間が短ければ、もっと短くなるらしい・・・」
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