第82話邪蛇




スライム討伐から開放されて、神須ダンジョンの深い階層まで下りてきている。

この地下50階は、歩き進む通路には魔物は居ない。

魔物が居るのは、野球場程のバトルエリアだ。

長さ5メートルもあるヘビが凄い動きで襲ってくるのだ。


大きく口を開けて飲み込む勢いだ。

それを風防御の盾でいなしながら回避だ。



今度は尻尾だけでムチのように振って叩きつけてきた。

ヘビに向かって素早いジャンプして暗黒吸刀で斬りつきる。


見事に2つに斬り分けた。なのに再生して2匹のヘビに増えやがった。

嘘だ・・・反則だぞ。

急いで鑑定。


邪蛇ジャジャ


再生 強


脳天が弱点



コイツの再生力は尋常じんじょうではない。

切断は不利だ。


なんと2匹によるムチ攻撃が激し過ぎる。

ジャンプしての回避もままならない。

後方への逃げる回避をしいられた状態が続いてしまったぞ。


もう壁だ後方へは逃げられない。


火魔法と風魔法の爆風をぶちかました。2匹は遠くまで吹き飛ぶ。


これで時間稼ぎが出来た。暗黒吸刀に火魔法で極強ごくきょうの炎をまとわせる。


1匹が早くもやって来たぞ。


脳天を狙うふりをして素早くジャンプ。

やはり怖いのか頭を避けた。


すれ違いざまに首をねる。

切断面が焼きただれて再生できずに、胴体だけがもだえ苦しみ死にやがった。


頭は恨めしそうに俺を見てるぞ。なんという執念しゅうねんだ。


おっと!もう1匹に風盾を巻き取られたぞ。


ならば火魔法と風魔法の融合魔法。

炎の竜巻で燃やし尽くすだけだ。


炎の竜巻がまとわりつくように、ヘビを燃やしだした。

いくら転げ回っても炎は消えないぞ。

とうとう力尽きて動かない。それでも炎は燃えたままだ。




「なんて広い空間だ」


殺気を感じて飛んだ。


地面を突き破ってヘビが飛び出しているぞ。

半分しか出てないのに7メートルにも達している。

顔や体には、飛び散った石で傷ついている。癒しの光で急いで治した。


あ!スルスルと地面に引っ込んだぞ。


地面下では探索サーチは無理だ。


もう勘だけが頼りだ。


来たか・・・後方へ飛んだ。

地面を突き破ったヘビは、俺を追うように向かって来た。


それを見越して炎の竜巻を発動。


その炎の竜巻をまといながらもやって来やがった。

フライで空中高くに回避だ。



ヘビは又も地面に潜ったぞ。


「何処へ行った」


シーンと静まり返って10分が経過。それでも現れない。奴は逃げたか・・・

お前が感じた事がない苦しみを味あわせてやる。



かすかに音が反射的に高速移動をしていた。

天井を突き破って襲ってきた。


いい考えだが逃げられた後まで考えていないようだな。


用意していた劫火ごうかの炎を地面に魔法陣として発動。

ルーン文字が円状に広がって、優美に赤く輝きだした。


ヘビは自重でどうする事も出来ずに、劫火の炎に飲み込まれた。


この魔法陣は、凄過ぎる。

アルから教わった魔法陣でダントツなのだ。

だから仏の言葉で世界を焼き尽くしてしまう大火の劫火の炎と命名した。



「ああ、なんて熱さだ」


このヘビの再生は更に強かったが、それが仇となって2分も苦しんで死んだぞ。

その苦しみを与える為に、劫火の炎を弱めたからだ。

本来なら一瞬で死ぬ運命だった。


大邪蛇ダイジャジャ


再生 極強


究極の苦しみ状態



苦しむ間に鑑定した結果だ。


魔法陣解除!!


あ!ドロドロの地面に魔石だ。


「アトラクト」


吸い寄せられた魔石が手に入った。


「アチチチ・・・なんて熱さだ」


このまま魔石を収納だ。


ヘビの再生能力でただれた手も、あっという間に再生されている。

あの熱い痛さはなんなんだ。



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