第79話ビールと魔道具
ここのビールって、色々な穀物混ぜた物で、しかも常温で飲むらしい。
長い期間の貯蔵は無理で、腐るのも早いらしい。
腐ったビールを飲んで死ぬ人が居るって聞いて呆れたよ。
作り立てのビールでも
ベテランは腐る直前が旨いって飲んでるらしいぞ。
よく飲めたと感心したよ。
だから現代の知識を使ったビール作りを始めた。
①モルトづくり
大麦を2日間ほど水分を含ませ発芽させる。
これを
もやし状の芽が出たら成功で、大麦のデンプンやタンパク質を分解する酵素が発生。
温風で熱を加えて発芽を止めて、乾燥か焙煎するのが正解らしい。
②仕込み
この麦芽を粗めに
それを
麦汁にホップをくわえて煮立てると香りや苦味を付いてビールらしくなるんだ。
ホップは、つる性の植物で緑色で松かさに似た形なんだ。
ちなみに最初に濾過した麦汁を一番搾りの麦汁。
その後お湯を注いでもう一度
③発酵と熟成
冷ました麦汁を発酵タンクに入れて酵母をくわえて、発酵が起こりアルコールと炭酸ガスができる。
3日~10日で完了。
その後、さらに貯蔵タンクに移して低温発酵させて、2週間~1ヶ月ほどでビールが完成。
ちなみにルーン文字の冷を使って、冷やす魔道具を作り出した。
ルーン文字を手づくりの型抜きで、ハンマーで叩いて打ち抜く。
できた1つのルーン文字を並べて、鉄板を置いてハンマーで「冷」って念じて魔力を込めて叩く。
何回か叩けば出来上がりだ。
温度調整の為に数字のルーンや温度を意味する温ルーンや色々作った。
冷・温・6で6度に冷えたビールが出来るミニプログラムって段取りなんだよ。
魔力は魔石から取り込む仕組みで、色々とアルが手伝ってくれたよ
アルの
アルが言うには、複雑になればなるほど魔法陣の仕組みを知る必要があるって、うるさくて、うるさくて堪らないよ。
もう関数らしい話や専門用語がバンバン飛び出して付いていけないレベルで困り果てたよ。
その冷えたビールを売り出した途端にバカ売れ。
売れに、売れまくった。
「おやじ、とりあえずビール」
「おやじ、分ってるね。この枝豆はたまらんなーー」
「おやじ、こっちにも追加のビールを頼む」
「はい、はい、今、持っていきますよ」
「おやじ、あのメニューの生ビールってなんだ」
「ビールの酵母が生きた状態のビールですよ。保存期間が短いですがフレッシュで美味しいのが特長ですね」
「分った。生で」
「はい、毎度ありーー」
酒場が繁盛しまくってる。
もう王都から買いに来る商人が増えて、領地の収入も上がって上がって笑いが止まらないぜ。
それに温度設定を変えれば、野菜の長距離輸送も簡単だ。
ここで作ったさつま芋やカボチャと大根が、又もバカ売れで困ったものだよ。
俺が話した石焼イモをヒントに、屋台を引いて「石焼ーーイモーー熱くておいしいよ」とねり歩く奴もいる。
それもよく売れたそうだ。
俺は、4輪バギーを指差して説明に必死だ。
「これがアクセル・・・これがブレーキ・・・分かった・・・」
「うん、うん」
「いいか、このアクセルを全快にするな!分かったか」
「うん。分かった」
「ヨシ、乗って運転してみろ」
「分かった」
乗ってしばらくタラタラ走っていたのに、急にアクセル全快してひっくり返ったよ。
全快したくなる気持ちも分らないではないが、やったらダメだろう。
「皆は、はっきり見たな。全快するとああなるからな、分ったか」
「分った、分った」
これで輸送量が増えるだろう。
それにドワーフも呼び寄せた。
「ここが魔道工房なのかね」
「そうだよ、換気の換気扇が回ってるだろう。悪い空気が吸い出される仕組みだよ」
「成る程、成る程」
「これが新しく発見した冷のルーン文字だよ」
「何々、これが冷か・・・ほんに冷たいぞ」
「どれどれワシにも触らせろ。お!冷たい」
魔道旋盤の前では、人だかりができている。
「鉄をこの刃物で削るのか・・・たまげたものだ」
「なるほど、高速回転で削るのか・・・」
「間違っても回転部に触るなよ」
「触ったらどうなる」
「指の1本なら軽く切断だな」
「痛そう!」
魔道工房は、空気の換気も万全。
鉄を焼く為に必要な魔道
鉄をドロドロに溶かす魔道
金属を削って加工する魔道
いたせりつくせりの魔道工房。
そんな環境で鍛冶を仕事にするドワーフは、魔道具作りもすぐにマスターしたよ。
俺が書いた22のルーン文字の説明を見ながら、コツコツと作りだした。
【火剣】炎をまとった剣で鉄の鎧も熱で切裂く威力。
【風剣】風の
【3輪バギー】俺の4輪バギーを見本に、ドワーフなりの工夫で作り上げた。
そんなドワーフも息抜きはビール。
「ワインも美味い酒だが、このビールのシュワシュワがいい」
「この苦さがたまらんなーー」
「そうだ、そうだ」
たらふく飲んだのに・・・
それでも二日酔いしないドワーフに脅かされぜ。
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