第73話相棒




俺は、異世界にやって来た。

師匠が残した本が気になって、鍛冶も手に付かないからだ。


有人ドローンは、順調に飛び続けてる。


ドワーフの住むヒューゴ山を越えて、すでに4時間が経過。

速度を落として、オーガに教わった探索サーチを発動して調べた。


居るわ居るわオークやコボルトが・・・今回は無視だ。


本の最後に師匠が書いた手書きだと、もう見えてもいいのに・・・



あ!反応があったぞ。


「あれか・・・間違いないぞ」



有人ドローンをどうにか着地させて降りた。



山の側面を削ったように、でかい門があった。

片方が半開き状態で、厚みが2メートルあって、高さ8メートルもあった。

両手で押しても全然動く気配がないぞ。


奥深くまでサーチで調べた。やはりここで間違いない。

ただし20メートル先は、探索でもまったく分からないぞ。

何かにはばまれているようだな。


あせる気持ちを抑えて門の中に入った。


20メートル先には水の膜のようなものが広がっている。

これって一体なんだ。触った途端に波紋が広がってゆく。


「えい!入ってやる」


あ!真っ暗な世界だ。


「光よ、照らせ!」


明るくなったそれは、地下都市があった。


もう1つ、光球を出して地下都市に飛ばしてみた。

何処までも飛び続ける光は、都市の全てを照らす事がができない。


それでいて静か過ぎて怖い程だ。


あ!足元に何かがあるぞ。

それはロープだった。師匠が使った物らしい。

もうボロボロでいつ切れてもおかしくないぞ。


ならば風魔法のフライを発動。

ふらりと体が浮かびだした。ちょっと慣れないせいでふら付くなーー。

それでも地下に向かったゆっくりと降下だ。



50メートルも降りて地下に到着。


「なんだ・・・足元がねばつくぞ」


フライで又も浮かび上がる。

「ブチブチブチ」と粘着物をがした。粘着物の正体は青かびのような物だ。

10メートル浮上したまま移動するしかないぞ。


あれが目的地の工房だな、一気にスピード上げる。


そのまま通路に侵入。


あの辺りがよさそうだ。ふわりと着地。

ここには青かびが無くって助かった。


開いていたドアを覗き込んだ。


「あったぞ。これが昔のルーンブレイドなのか・・・」


どれもこれも斬と強のルーンしか付与されてないな。


師匠が書いた開かずの間はどこだ。


「こっちか」


「カツ、カツ、カツ」と俺の足音しか響かない通路にも、終わりがみえた。


「これが開かずの間か・・・成る程、頑丈な扉だ」


俺の鑑定の本領発揮だ。


なんだよ、このセキュリティの世界は、0と1の羅列られつの世界だ。

あ!これは、機械マシン語だ。


よう分からん世界だが、鑑定は看破してるぞ。

幾重にも施されたセキュリティを無魔法でかいくぐって進入に成功。

1つ2つ3つと解除に成功。


「カチ、カチ、ガチャン」


お!開いたぞ。


これって脳なのか・・・でかい脳が中央に浮かんでるぞ。

それも、かすかに生きてる。


「やめてくれ!俺の脳に入るな!!」




あれ!ここは何処どこだ。

思い出したぞ。気絶してたのか・・・目の前の脳は、すでに息絶えている。


なんだこれは・・・・・・ルーン文字が99個も理解が出来てるぞ。

それに・・・ここが、ルーン開発施設だと理解した。


これって中央にあった脳の記憶なのか・・・


100個目のルーンが、世界を支配するルーンらしい。

それも完成間近に、施設全体が機能停止して補助動力であの脳は生きていた。


なにより驚いたのは、ルーン完成間近に実験室でルーン暴走が起きた。

それは工房外にも影響して、一瞬で国が滅んだ。


それにしても何故だ。何故、俺の脳なんだよ。

知識を無理やり押し込んで・・・なんとなくだが使われてない脳に入り込んだようだ。



コイツは、日本語や俺の知識を解析してるのが、手に取るように分かるのが腹立つぜ!


『解析完了。助かったぞ相棒』


「え!お前は話せるのか・・・」


『話せるぞ。気にするな』


「お前は、人工知能なのか・・・」


『そんな、下等な存在ではないぞ。この国の2番目の知能だった存在だ。タメ口は、命の恩人だから許すぞ。それから、イサムの脳は余りにも小さい。その為に知識の最適化と数多あまたのデーター破棄が必要であった。この脳に慣れるまで少し眠るから話しかけるな。それから速くここから立ち去れ!崩壊ほうかいの危機だ。眠くなった』


なんか奴との意識が急にシャットアウトされたぞ。


奴が言った事が正しいければ逃げるしかない。


「フライ!」


浮かんだ状態で、フルスピードで移動だ。


ここは右に回って、ここは左だ。

建物から飛び出した。


あ!地下都市の天井を支えるバリアのような物が崩壊してるぞ。


出口にたどり着いた途端に、魔力切れ寸前だ。

急いで魔石で魔力回復して、駆け出して有人ドローンに乗り込んだ。


上昇ボタンを押した。


あ!間に合った。

有人ドローンが居た大地が崩れて、あの都市も崩れ去っている。



遠く離れてゆく中で、崩れた都市を見続けた。

爆発が起きて閃光せんこうで真っ白だ。


俺は、更に上昇ボタンを押し続けた。


今度も間に合ったぞ。


一瞬だが、ひどい衝撃を有人ドローンは受けている。

大きく傾いて飛ばされたが自動制御が持ち応えてくれて助かったぞ。


もう遠くからも山であった姿が跡形もないぞ。

1つの文明が消えてしまったようだ。



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