第61話新たな無魔法




俺は、無魔法を使っての魔法改善を試みる事にした。


何故、そうさせたのか・・・オーガと魔物の戦い方を見てしまってからだ。

オーガは、魔法を一切使えない種族だ。

しかし、力強化、素早さ強化、体力回復って魔法に似てないか・・・そう思った。

力と素早さで魔物を圧倒して、戦いに勝利している。


だから魔法とスキルの違いってなんだ。


魔法は、自身の魔力を使って周りのマナに干渉して魔法を行使する。

だから威力のある魔法が使える。

そして外へ魔法を放出できる。


スキルは、自分自身の魔力を自分の肉体に行使して使う。

それが力アップであったり、素早さアップなのだ。

俺は、そんな風に考えるようになった。


そのスキルに使う魔法って、何の属性だろうと考えた。

俺が取得した魔法は、火、雷、亜空間、光、風、水、植物、土、氷などだ。

それって自身の体に使うって無理があって、あえて使うなら光属性だ。

しかし、光って特殊だ。


唯一ゆいいつ、誰にも使えて無害そうなのが無魔法。

無魔法なら自身の体に使えるかなって、論理つけて思うようになった。


神須流剣術の秘伝の【縮地しゅくち】って無魔法って考えれば、なんとなく納得。


それ以外のエナジーショット、アトラクト、コンプレッション、隠蔽って体の外に放出して使う。

ならば、体に使って能力アップを出来ないかと思いついた。



いざ身体強化だと考えたが、何をどうすればいいんだ。


素早さ強化なら運動神経だ。神経に無魔法を流してみよう。


「う~ん、う~ん、う~ん」なんか神経伝達が良くなったような・・・



じゃあー反復横とびを20秒間で何回できるかやってみるか。


「はあ、はあ、はあ」


162回も横とびが出来たぞ。それもパワーがあり過ぎてめちゃくちゃライン超えだ。

え!スマホで確認したら65回越えで10点だ・・・

だけど異常過ぎる結果だ。


ああ、そうだった。俺は魔物から能力を奪ったから、普通の体力測定に向いてないぞ。

そうだよな、俺自身能力って上がり過ぎてたんだ。

考えはいいんだけどな・・・このままだともったいないぞ。


これは誰かに試す価値がありそうだ。



あれ!鑑定スキルは、見て鑑定するから放出系か・・・いやそれは違うだろう。

空気中のマナを通して見てるんだ。

神田じいさんがダンジョン内で鑑定するのも、鑑定しやすいからだ。

つまり地上ではマナが少ない、しかしダンジョン内は多い。


絶対にそうに違いないぞ。


今の神須村は、ダンジョンの出現でマナが漏れだしている状態だ。


あの大雪山でのヒドラの戦いだが、レーザー光線は弱かった気がしたんだ。

異世界のドラゴン退治に使用したレーザー光線の方が、断然に威力が半端なかった。


あの地上最強の生き物を倒す程の威力は、神をもしのぐと思ったぐらいだ。



俺は、ダンジョンに広がるマナを使って、1つのアイデアを思いついたぞ。

ちょうどスライムが出現したから試してみるか・・・


よし!スライムを見続けてロックオンだ。

90度横に向いて、エナジーショットを放った。

凄い勢いで曲がったぞ。

振向いた瞬間には、スライムが壁に飛ばされてぶつかった後だ。


スライムは地面に落ちて「ぷにゅぷにゅ」っと何事も無かったように動いてる。


大成功だ。

エナジーショットにホーミング(自動追尾)機能が備わったぞ。


今度は110度向いてエナジーショットだ。

ダメか・・・途中であらぬ方向へ行ってしまった。

100度ではどうだ・・・目標近くまで行ったが、やっぱりダメだ。

あまりにも無茶な方向は、ダメらしい。

これで1つは確かめられた。



今度は、火球をメラメラと燃やした状態で、俺は走りだした。

そして大きくジャンプして、スライムに当たれとスライムが居るだろう方向に放った。

燃え広がる炎からスライムが出てきたぞ。


『もう、ええかげんにせい』って感じで怒ってる。



まだまだ応用がありそうだ。


又も火球をボッと出現させて、1メートル先にとどめた。

その火球に隠蔽で隠してみた。お!こんな感じで火球が消えるのか。

壁に放った。当たる瞬間には隠蔽を解除だ。


タイミングが合わない。

「バン!!」と爆風だ。解除するのが遅かった。


何度か練習が必要だな。


それにしてもクソが! 爆風で右の目もとや肩までも傷を負ったぞ。

あ!そうか・・・無魔法で治せないか・・・


体の回復力を上げればいいはずだ。

肩に無魔法を発動。

なんか、めちゃめちゃ傷がうずくぞ。


肩が30分も掛かったが、深さ1センチの傷がふさがった事には驚きだ。

ダメもとで、やってみるもんだ。

ちょっと傷跡が残ったが、痛みも出血もないからありがたい。


ここで癒しの光を発動。

残っていた傷もきれいに消えたぞ。やはり光魔法は優れてる。




これがスキル覚醒者と魔法覚醒者が使用できたら、ダンジョン攻略もはかどるはずだ。


癒しの光みたいに、きれいな回復ではないが使える。

こりゃーいい発見だ。

スキル覚醒者が喜んで飛び付くだろう。そして新たな能力になるだろう。



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