第48話王立図書館




部屋でギルドマスターは、お土産のショートケーキをほうばりながら食べていた。


「なんて甘くて美味しいんだ。こんなの食べたのは初めてだ」


「それは良かった。それでテイマーについて教えてくれませんか・・・」


「教えてやりたいが、わたしもよくは知らない分野だ。王都の国立図書館に行けば、魔人関係の本もあるだろう」


「それは本当ですか・・・本を見せてくれるでしょうか」


「・・・」


「これを王都の門番に見せれば入れるはずだ。この紹介状も持って行くといいぞ。しばらく会えなくなるな」


銀のメダルと紹介状を受取った。

メダルはギルドマークと裏には番号が刻印された物だ。


「ありがとう御座います」


やはり王都へ行くしかない。





だだっ広い草原に、有人ドローンを出した。

4人乗りで価格は、1億4千万円だ。自動操縦装置を備えた電動式マルチドローンだ。


ダンジョンでは魔石暴走する魔石電池も、この異世界では暴走しない事は4輪バギーで証明済みだ。

ダンジョン内は、狭い空間だ。だから暴走すると俺は考えている。



ボタンを押すと浮上して、設定した高度まで上がるとピタッと止まった。


ええっとどれだ・・・タッチパネルで方向の入力は、この地図を信じるなら南西だ。

距離は100キロでいいか、時速も200キロまで出せるが外の景色で確認するから100キロでいいだろう。

後は、モード選択を半自動運転モードでスタートだ。


スピードがドンドン加速して時速100キロをキープした状態で飛び続けているぞ。


このドローンは、周りをセンサーやカメラで監視して安全に飛行するタイプだ。

山があれば高度自動に上げて進むから楽でいいぞ。


あ!あんな所に大きな湖が見えてきたぞ・・・なんてきれいな湖だ。

地図で見るとここら辺か・・・


あ!湖沿いに馬車が何台も連なって移動中だ。


このドローン、静音性が高いから全然気付いてないぞ。


あああ、もう馬車も見え無くなった。



幾つも都市を通過してやっと見えて来た。

どでかい城壁に守られた城だ。ヨーロッパでも見ない城だ。


「あれがアルバーンの城か・・・ならば近くでひと気のないあの場所なら安全そうだ」


半自動運転を手動モードに切り替えた。

親指を使ってゲーム感覚で、たどり着いた場所にゆっくりと着地だ。


そしてドローンを回収。




なんだよ、正門近くに来たら行列で一杯だ。

荷馬車が大半で、俺みたいに歩いて来た人間は少ないぞ。

仕方なく最後尾に並んでみた。


いつまで待たせるんだ。もう並んで2時間だぞ。


1ヶ月は掛かる長旅を、6時間で来たのに・・・ここで2時間も待ちぼうけをくらうとは・・・



やっと俺の番だ。


「お前、何処どこから来た者だ」


俺は、紹介状とメダルを見せた。


「いいだろう。通ってヨシ」


すんなりと通れた。もう日が暮れかかり淡い照明が付きだしている。

急いで宿屋を探し回った。


1軒目は、満室だ。

2軒目は、貴族御用達で追い返された。


「1人だけど泊めてくれるかな」


「1人か・・・丁度1部屋空いてるよ」


一泊が銀貨1枚だ。やはり王都は物価が高過ぎだ。

まあベッドは快適なふわふわだからいいか。

そのまま寝転がっていたら、夕食もとらずに寝てしまった。




目覚めてたら腹が「グーゥ」と鳴きだしたぞ。

そのまま階段を下りて、食堂に入った。

食堂はまばらだ。やはり王都の食堂で椅子やテーブルは、凝った彫刻が彫られている。


「ご注文は、お決まりでしょうか」


「早くできるやつを頼むよ」


「かしこまりました」


後で知った事だが、夕食と朝食込みのセット料金だった。


まあけち臭い事で悩んでも仕方ない。

味はしっかりしてまあまあだ。食事を済ませて宿屋を出た。




広い王都で王立図書館を探すのも大変だ。

知ってる人が少ないのが原因だ。そして遠回りしてようやく探し当てた。


ここが王立図書館か・・・でかくてしっかりした建物で威厳いげんを感じるぞ。


又も紹介状とメダルを見せた。


「観覧料は、金貨1枚です」


言われるまま支払った。ギルドマスターから高いって聞いてたから助かった。

もうちょっとで「高い」と言いそうになった。


「魔人関係の本を見たいので、何処にありますか?」


「この1番奥の左の棚にあります」


「ありがとう」


結構な広さで天井まで本がぎっしりと並んで置いてあった。

そして図書館独特な匂いがしてた。

ここの左か・・・


手にとった本を鑑定した。

脳内に知識としてドバッと入ってきた。

なんと魔人と人間の恋の話の本だ。


魔人と結婚した女は、しだいに年老いてゆくが魔人の男は若いままだ。

悲観した年老いた女は湖に身を沈めて死んでしまった。


子が授からなかったのも原因だ。


あれ!こっちの本も男女が入替わったが、同じような話だ。

それに子供が出来ないのも同じだ。


魔人と人間のハーフは無いのか・・・ますます疑問だらけだ。



あ!この本だ。

背表紙にしっかりと【テイマー】と書いてある。

テイマーにもビーストテイマー(猛獣使い)、ドラゴンテイマー(ドラゴン使い)、などがあるらしい。

この2種類が、テイマーの代表らしい。


テイムした魔物と絆を築き上げる事で、魔物の攻撃アップが計れるのもテイマーの特色らしいぞ。


するとハルは、一般的なテイマーで今後頑張ればドラゴンも飼い慣らせるまで成長するかも・・・


人間もテイマーに挑んだらしい。

その時の事がこと細かく書かれてた。100人以上が挑戦して魔物に食い殺されるのが結末だ。

どんなに可愛がっても、急に本性を表して襲われる。

油断した人間はひとたまりもない。


やはり魔人しかテイマーは、いない事がはっきりとした。



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