第46話テイマー
スライムを討伐して、6階の討伐の帰りだ。
なにげにハルを鑑定してみた。
【水上春16歳】
水魔法
火魔法
スキル
テイマー
そんな・・・なんでテイマーなんだ。
これって魔人のスキルのはずだ。異世界の人間には、テイマーは存在しない。
ギルドマスターには、そう教わった。それなのに・・・
「ハル、・・・ハルには、新たにテイマーのスキル表示が出てるぞ」
「え!なんですか・・・テイマーって」
「魔物をテイムする。つまりこの場合は手懐ける、飼い慣らすなどの意味だ」
「わたしが・・・魔物を飼い慣らせるのですか」
「そうだ。魔物を気絶や大ダメージを与えて、誰が主人か魔物に分からせる必要があるんだが・・・」
「それじゃーリザードマンをテイムした方がいいですね」
「いやいやそれはダメだ。リザードマンを地上に連れ出して家で飼うのか、飼うとしても・・・それはトラブルになる予感しかしないぞ」
「それもそうですね。今は学園の寮住まいでリザードマンが寝てる横で寝るのも・・・」
ハルはようやく理解したようだ。
「上でギルドに報告してから考えてもいいと思うぞ」
「そうですよね」
佐々木部長は、学園の園長代理を務めていた。
豪華な椅子に座って両腕を組んで、俺らを見てた。
「あなたらが持って来た問題を本部に知らせたわ。もうすぐ返事がくるまで話をしましょう」
「師匠、あな事を言ってますよ」
あ!ハルの考えが丸見えだ。
『この年増ババ、こっちを
「俺は、スライムが適当だと思うぞ。ハルも何回も見て知ってるし、あのグール相手に生き残ってた。それだけの潜在能力があると思うな」
「そうですか・・・ハルさんはどう思いますか?」
「そうですね・・・スライムも悪くないかも・・・ペット用キャリーバッグで簡単に持ち運びができそうでいいかも」
「しかし、スライムを弱らせる必要があるのでは、今ではスライム退治は神須さんだけですよ」
「ダンジョン内の魔石電池使用は禁止されてるのは知ってますよね」
「ええ、よく知ってます。ダンジョン内の魔力と反応して使用した途端に魔石暴走で爆発する事実は・・・」
「昔あったスタンガンを探しだして下さい。電池も一緒に。今使ってるスマホは、探索者専用のスマホで昔の電池がそのまま使われるから技術は廃れてないはずだ」
「成る程、あれなら使えるかもしれませんね・・・スライムを気絶させるには、いい道具だわ・・・ならスライム撃退道具として使用もできますね」
あれ!どこかに連絡し出した。
「はい、佐々木です・・・はい・・・スタンガンを急いで作れない・・・そうそう旧式電池を使った・・・スライム撃退に使う予定よ・・・え!牛追い棒・・・そうね・・・あなたに任せるわ」
タブレットを操作して、画面を見せてきた。
「それが牛追い棒よ。先端を当てて電機ショックを与えるからスライムから離れて使えるから便利だと思うわ」
こんな形状の物があったのか、ハルにタブレットを手渡した。
ハルは食い入るように見て感心してる。
次の日だ。
撮影スタッフを引き連れて、2階層へやって来た。
ハルの手には、牛追い棒が握られていた。
「あそこに居るぞ」
「どこですか・・・どこ」
俺は指差して「2メートル先の左壁にへばり付いてるから注意しろ。下から50センチのところだ。そこ以外にスライムが居ないから安心して撮影するといいぞ」
「佐藤、聞いたかあそこだ」
カメラマンは、いいポジションに陣取った。
カメラをズームさせて、必死にピント合わせだ。
「ピントが合いました。いつでもOKです」
皆の注目を浴びたハルは、牛追い棒のスイッチを入れて近づいた。そして突き刺した。
「バチ」と鳴ってスライムは、壁から落ちた。
「俺の鑑定では、弱った状態と表示だからテイムにバッチしだ
「我が主なるぞ。我に従え」
ハルよ・・・そんな言葉をここで言うのか・・・
スライムが淡く光った。
鑑定結果もテイムされたと出てた。
「テイムは成功だ」
「本当ですか・・・お前の名は、アルシャ・ペポだ」
「なんだその名は・・・」
「昨日から考え抜いた名前です」
もう自慢顔だ。
そんなハルに俺から何も言う事はない。
3階層でペポは無双だ。
コボルト向かって飛び跳ねて、腹に強い一撃を受けたコボルトは気絶状態だ。
そんなコボルトに、かぶさって首を「ボキッ」とひねった。
横合いからコボルトの剣が振り下ろされた。
「プヨン」と剣を跳ね返されて、バランスを崩した
ペポは、飛び跳ねてコボルトの顔に
もがきながら
そして崩れるように倒れた。
カメラマンは、その光景を撮り続けてOKサインを見せた。
「凄い戦い方ですね・・・スライムってこんなに強いのか・・・」
ペポは、魔石を回収してハルの前に来て、吐き出した。
合計7つ魔石だ。
「アルシャ・ペポ、よくやった」そう言って体をなでていた。
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