第45話元村長の災難と村の災難
村長ら家族は、日本ギルド本部の特別室で長い間の質問を受けている。
「神田さん、本当にどこからどこまで話したか話してくれませんか?」
「何度、同じ話を聞くのですか・・・正直に話しましたよ。どうしたら信用できるのですか」
「それではポリグラフ検査に同意しますか」
「え!ポリグラフ検査ってなんですか?」
「知りませんか・・・別名嘘発見器ですよ」
「ああ・・・嘘発見器でも何でも構いませんからやって下さい」
「ありがとう御座います。それでは準備だ」
関係者がてきぱきと装置を準備して、隣の部屋でモニターを見守っていた。
担当の白髪交じり男性が静かに話しだした。
「質問に対してすべて「いいえ」と返答して下さい」
「・・・・・・」
「この人を見ましたか?」
顔写真を見せられて「はい」と村長はうっかり答えた。
「ダメですよ、すべて「いいえ」です。いいですね」
2時間近くも質問攻めだ。
更に催眠治療で記憶の掘り起しまでされる始末だ。
その結果、吸血鬼に鑑定やスキルの事がこと細かく知れた事は確実だ。
村長も護衛の人には鑑定しなかった。
そして鑑定を誤魔化す手段を手に入れたらしい。
吸血鬼が使用する精神支配(マインドコントロール)だ。
吸血鬼の眼で見詰められて、精神状態を操作して、吸血鬼の都合に合わせた特定の意思決定・行動へと誘導する。
それが精神支配であった。
そんな精神支配下におかれた元村長は、鑑定をしないように操作された。
それに対して俺の鑑定の指輪は、鑑定出来るから特別なのかも知れない。
そんな元村長が、神須ギルドへ現れた。
「あら元村長さん、顔がげっそりだね」
「もう家族からも攻められ、ギルドからも攻められて散々だよ。3日後にようやく開放されたよ」
「あんたもお人よしだから
俺は、2人の会話を聞きつつ、カウンターに青い魔石を袋から出していた。
その隣では、ハルの赤い魔石が装置で仕分けされながら買取価格が表示された。
「ハルちゃんは、15万6千円だよ」
若い職員が笑顔での対応だ。
ニコニコ顔のハルは、カードを受け取りながらポーチへ大事に仕舞っている。
3階や4階と付き合って、討伐した魔石だ。
もう1人でも十分な実力者だ。
もう融合魔法で、霧を充満させて戦う事まで覚えた。
「ハル、仲間を募って潜ったりしないのか・・・」
「わたしが居たらダメですか」
そんな真顔で見られても・・・
「今までのままでいいのなら構わないぞ」
「師匠、よろしくお願いします」
2人して学園の天然温泉へ歩いてる途中で、学園の方がなにやら騒がしいぞ。
「侵入者だ!銃器の使用が許可されたからかまわず撃て!」
そんな声が聞こえてきた。
なんだと・・・物騒な。
あ!コルトMT6400を持った警備職員5人だ。上を警戒してるぞ。
学園内に放送が流れた。
「山に銃を持ったテロが3人居ます。急いで建物内に隠れて下さい。窓からも離れるように」
ハルは、水を高速回転させた物を3つも出して防御体勢を始めた。
「師匠、ここは私に任せて!」
「ハル、上の警戒も
「はい」
4つ目の水防御が頭上に展開し出した。
「あれ!あれは山火事か・・・」
山から黒煙が見えた。
学園警備本部室で警備長は、イライラしながら歩き回っていた。
「こちらアルファ、対象者1人を発見、距離1233メートル撃ちますか?」
「こちら本部、撃ってヨシ」
「こちらアルファ、了解」
「目標周辺、北に微風、それ以外考量する必要なし」
狙撃者は、ゆっくりと引き金を引いた。
「こちらアルファ、対象者狙撃成功」
「こちら本部、C22にてセンサー反応あり、確認出来るか?」
「こちらアルファ、リーダーの
「こちら本部、足を狙えるか?」
「こちらアルファ、狙えます」
「こちら本部、撃ってヨシ」
「こちらアルファ、仲間が現れて助け上げてます」
「こちら本部、そいつを撃って」
「こちらアルファ、任務完了。イータによってリーダーの捕獲確認」
「こちら本部、山火事は燃え広がってる。アルファ、ベータ、ガンマは、火事に注意しながら引き続き警戒を続行されたし」
「こちらアルファ、了解」
「こちらベータ、了解」
「こちらガンマ、了解」
後で知った事だが、警備見回り隊が山で不審者16人を発見。
そのまま撃ち合いなって、3人が逃亡。
逃げる時に山に火を放った。
警備見回り隊は、警備本部に連絡して消火作業を行なった。
さして山火事の経験がない隊員は、消す事もできずに大きな山火事へと発展。
「山火事だ!山火事だ!」と逃げ出した。
ハルが駆け付けて、水魔法であっちに放水こっちに放水して消し止めた。
帰って来た姿は、びしょ濡れとススだらけでぐちゃぐちゃだった。
入国時の顔認識で国籍を調べ上げたら、ばらばらな国籍だった。
銃撃戦で生き残った男女3人とリーダーは、黙り込んだままだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます