第32話社長交代

  



俺の父さんは、ようやく釈放された。

神谷弁護士に付き添われて、警察署か出てきた。

母は父に駆け寄り抱きついた。もう何人も報道陣がカメラで撮っているぞ。

それにこっちが恥ずかしいぞ。




朝のニュースで、ドートレ会社の社長逮捕と報じられた。

もうその日から、株価が暴落だ。


会社内で取締会が開かれて、監査報告は警察発表が真実だと報告した。

その場で社長と副社長の取締役の解任要求が出され、議決多数で解任が決まった。

後任の社長は、誰もならなかった。

それ程に会社は、ボロボロだからだ。



俺は、神谷弁護士に頼んで最安値でドートレ会社の株を買うように頼んだ。

3日後には、株を70%を超えた。




株主の俺は、株主総会の目的である理由を書いて提案をした。

緊急株式総会を招集して総会が開かれた。


壇上で俺は話し出した。


「今回の事件でギルドや政府は、ドートレ会社を潰そうとしています。株式市場は、株式上場廃止へと向かってる状態だ。なので私の親を社長として推薦します。ギルドも政府も私には、借りがあるので上手くおさまるでしょう」


会場かどよめいた。そして拍手の数が増えて拍手で埋め尽くされた。

株がただの紙切れになるかの瀬戸際せとぎわだ。だから真剣だった。




そんな会場から女が叫んだ。


「私の主人は、そんな人でなしではないわ」


周りにいた記者が、女を取囲んだ。


「あなたは、三崎社長夫人ですね。今に心境を教えて下さい」


「なによ、あなた達は邪魔をしないで」


「私の入手した話ですとあなたの父親の河野氏は、福井県三方郡で死体となって発見されたようです。ご主人が深く関与してるようです。それでもご主人を擁護ようごするのですか?」


「嘘、嘘よ!!あなた達は悪魔だわ。あっちへ行って」


女は逃げるようにして会場を去った。

一部の記者は追い駆けた。


「ご静粛せいしゅくにお願いします。それでは代表取締役を選定を行ないます」


俺は、前もって他の株主や会社の数人に協力を仰いだ。

内容を聞いた株主と会社側は、こころよく承諾だ。


97%の賛成で、俺の親父を社長(代表取締役)にした。




魔石関係の企業は、多かれ少なかれ探索者と契約して魔石の買取をしている。

その場合は、探索者にも税金は発生する。


企業はそれでも必要に駆られて、税金以上の金を払って買取るのだ。

ギルドから買取る場合は、安定した買取が無理だからだ。

下手した場合は、時価で値上がった価格で購入する場合もあった。


それに対して時価が下がった場合は、一定の基準以下は下がらないシステムだ。

もうギルド優位な市場の話だ。



ドートレ会社にあった魔石は、ギルドよって全てが証拠物として回収された。

ギルドからの買取も中止さた状態だ。


もう倒産は目の前だ。


だから俺の魔石を、いや異世界の魔石をドバッと放出した。

会社の連中は驚きながら、魔石鑑定装置に通して「本物の魔石だ!」と叫んでいた。



異世界の魔石をジャンジャン放出した。


青い魔石で、業界トップに登り詰めるのもすぐだろう。



俺はスマホで連絡した。


「俺だけど、佐々木さんに頼みがある。ドートレ会社は俺が手に入れたから上手く対処してくれると嬉しいんだ」


珍しく「分かったわ」と快く引き受けてくれた。

なんかあっちこっちに手が回ってる感じだ。



次の日には、俺の事がバンバン報道されてた。

それに伴なって、株価は急激に回復して更に上昇した。





昼のニュース番組「ビック報道」でドートレ会社の事が報道されていた。


「どうですか、この急展開のドートレ会社の騒動は・・・」


「凄いと言うしかありませんよ。あんな会社を引き継ぐなんて・・・それも注目された人物の親が代表取締役なるなんて・・・」


「わたしも同感です。それに青い魔石の効果って本当ですかね」


「その噂ならわたしも聞いてます。知人の親がそれで治ったらしいです」


「それはガンですか?」


「詳しく言えませんが、難病である事は間違いありません」


「それは大変な事です・・・皆さん只今、日本政府が正式に青い魔石の効果を発表したようです」


世間の話題は、ドートレ会社の不祥事から青い魔石に移りつつあった。

更に世界の資産家が、日本に訪問して来ていた。



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