第29話鑑定して、更に鑑定




もう村長は、毎日が大忙しだ。

バスでやって来る鑑定依頼者を、ダンジョン内で鑑定しまくっていた。


鑑定料は、神谷弁護士を交えて10万円に決まった。

当初のギルド側は難色を示した。


「覚醒者には、本気度が必要だと思いませんか・・・遊び半分で鑑定をしてもいいのですか」その一言で決まった。


なので10秒間で鑑定時間が終わっても、クレームを入れない契約書にサインしてからの鑑定だ。

なので単純計算で1時間で360人で3600万円だ。



弁護士費用は、その5%で180万円が毎回も振り込まれる仕組みだ。

もう弁護士は、ウハウハだ。


ギルド側も手数料として5%が支払われる予定だ。



村長はケロッとしたもので、午前中に2時間の鑑定をして午後にも3時間の鑑定をするのが本業になった。

なので村長役と農業を息子に託した。


なので今は、村長選で賑わってる。

息子夫婦と孫も村に戻って来た。今は豪邸が建設中だ。



そんな鑑定が進んだおかげで、魔法学園に併設されるかたちでスキル学園が開校。

魔法士12人に対して200人のスキル保持者が在学している始末だ。


生徒たちは、日夜ダンジョンへ行って訓練を繰り返す日々らしい。


神須ギルド支部は24時間体制へと移行した。

牧田のおばさんは、正式に支部長へ昇格。職員が数人が配属なった。

それでも受付をするおばさんだ。


「これがわたしの生きがいなんだよ」と譲らない。




「パラパラパラパラ」とけたたましくヘリの音だ。

見上げた空には、アメリカの軍用ヘリ2機が我が家をかすめて飛んでいた。

その窓から、愛らしい顔が俺を見てた。

それが学園の方に着陸態勢に入った。



俺は気になって駆け出していた。


降りて来たのは、金髪の美女だ。

あ!覚えがあるぞ。アメリカのトップランカーの姉妹だ。

それにもう1機からガラの悪そうな4人の男が降りて来た。


もう学園の代表のような佐々木部長が、握手を交わしながら話していた。


そして俺の所へやって来た。

なんと・・・佐々木は英語がペラペラだ。


「こちらの6人を鑑定してもらえるとありがたいんだけど・・・もちろん料金は、2倍も払うわ」


そんな事を言われたら嫌だと言えない。


神須ダンジョンへ向かう途中で、村長と出会った。


「こっちは、午後の鑑定が終わったが、あの連中は・・・」


「アメリカもトップランカーだよ。鑑定に来たらしいね。それも俺が指名らしいよ」


「まあ頑張れや・・・」





2階層のスライムの棲家で、雷魔法を「バチ、バチ、バチ」と放った。

もうスライムの殲滅せんめつも慣れたものだ。


同行したアメリカの撮影班が、動き回って撮影中だ。


「撮らせて良いのか・・・」


「ギルド本部も諦めたみたいね。だから気にしないで」


気にしないでと言われても・・・俺が気にするよ・・・もうどうにでもなれだ。


「今度は鑑定をお願いね」


言われるまま鑑定した。



【ベリー・ムーア 34歳】


スキル

力アップ


-  -  -  -  -


【ロバート・テイラー 33歳】


スキル

素早さアップ


-  -  -  -  -


【ニック・グリフィン 40歳】


スキル

力アップ

素早さアップ


-  -  -  -  -


【カイ・ナイト 27歳】


スキル

力アップ+


力アップ+は、力アップの1.5倍だ。


-  -  -  -  -


【シアン・ノア 22歳】


風魔法


-  -  -  -  -


【アンリ・ノア 20歳】


火魔法



ノア姉妹は、2人とも魔法士だ。


アメリカのトップランカーは、100%の確率で覚醒者となった。




「この場で、魔法を教えてあげて・・・」


「それで良いんだな・・・」


「ギルド上層部が決めた事だから、わたしには逆らえないのよ」


「撮影も続行なのか・・・」


「それもお願いね。わたしに言っても仕方ないから」




スキル持ちの連中は、佐々木の指導でスキルを使って楽しんでいた。


発動の切っ掛けさえ掴めば簡単だ。


中には「パワー」と叫んで使う奴まで現れた。

自前の大剣を「ブン」と振り回して叫ぶ姿は、更に凄さ増していた。



それとは対象的に、座った2人に瞑想させていた。

瞑想最中には、俺の手が背中に触っている。

魔力を意識させる為だ。もう慣れたもので相手の魔力を掴んで上手くコントロールしている。

お!シアンに手応えを感じるぞ。



急にアンリが立上がった。


そして「ファイヤー」と叫んだ。

え!なにが起きるんだ。


炎が燃え上がり、しだいに回転して高速回転して放たれた。

壁に当たって燃え広がる光景に、アメリカ勢は唖然として見てた。


俺も立上がって、その光景を見てた。

今までにない速い習得だ。とっさに振返った。


あれ!シアンの瞳の奥底にキラッと光った。

何をするんだと俺は見てた。

シアンも立上がった。


「shoot the wind」と叫んだ。


周りから風が集まって、風の球となって撃ちだされた。

壁に「ダン」と当たり、「バラバラバラ」と壁が崩れた。

そこには、でかい穴が開いていた。


「わたしより威力があるわ・・・どうして」佐々木のつぶやきだ。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る