第28話スキル




神須ダンジョン2階層。そこでスライムを雷魔法で殲滅せんめつの最中だ。

奥へ逃げたスライムを電撃で倒して終わった。


「凄いですね。わたしの風魔法なんか立ち打ち出来ませんな」


「村上さん、風魔法はどうですか・・・部長からは余りいい話は聞きませんが、もう戦えるようになりましたか?」


そう、村上は魔法を使わずにいた。


「わたしもね、わたしなりに頑張っているのですが・・・佐々木部長の足を引張ってばかりです」


なにやら上手く出来ないのだろう。

1度も見てないから、きっちり見て判断しよう。


「それじゃー、接近戦時に使う魔法を見せるぞ。風のマルノコをイメージして横回転のみに集中させるんだ」


言いながら・・・手から1メートル先に風を回転させて円盤が形成されていた。

それをコントロールして2メートルから3メートルを自由に動かした。

動く度に風きり音が「シャァ、シュゥ」と鳴り響いた。


「いいか、四方から来る魔物に決して近づかせるな。さあやってみろコントロールして来る敵を倒すイメージをしろ」


ハルは、すぐにマスターして水を回転さてあっちこっちに動かした。

佐々木は、風を回転させるだけで動きはのろい。


村上は、更に最悪だ。

風が入り乱れて舞ってるだけだ。


「村上さん、もっと自分を信じるんだ。信じた気持ちのまま風に向き合えば何とかなります」


それでも乱れたままだ。

俺は、背中に回った。両手をついて魔力で村上の魔力に少しだけリンクさせた。

乱れた風をコントロールして、回転するように仕向けた。

簡単に風の高速回転したリングが出来てた。村上の驚きが手に伝わってきた。


徐々にリンクを切り外した。


お!上手く回転した状態が続いてるぞ。

村上の顔を見た。顔はもう必死だ。俺は、その必死さが足りなかったと思った。


「回転してます」


「それをもっと薄くして、そうそう薄くなったよ」


徐々に平べったい風になった。


「今度は壁にぶつけるといい」


マルノコは、壁を「ギュン、ギュン」と深い傷を刻み込んだ。


「これが風魔法なのか・・・成功ですよね」


「成功だな。今度は風球をやってみるといい」


「あ!できました。あんなに苦労しても出来なかったのに・・・」




腕時計を見た。もう頃合いだな。


「ここの訓練も終わりにしよう。ハル、例の魔法を2人に見せるレベルになったか」


「はい、任せて下さい」


耳栓を取り出して配った。

佐々木は、怪訝けげんな顔をしたが大人しく耳栓をした。


俺はハルに合図した。

水球と火球を同時に発生させた。


それを放った。真っすぐに飛んで壁に当たる瞬間に2つは交じりあった。

一気に爆発が起きた。水蒸気爆発だ。


目の前が白く染まったように真っ白だ。

その白さが消えた跡には、大きく崩れた壁があった。

この崩れた壁も、1日が経過すれば修復するからダンジョンの不思議と言われてる。


「これも、魔法ですか・・・凄い破壊力です」


そんな言葉を佐々木は言って感心してる。




1階層を歩いていたら、誰かがいる気配だ。


「誰だ。そこに居るのは」


ペンライトで照らした。

あ!村長だ。


「君らも戻って来たのか・・・今は、この子の特訓中だ」


村長と2人の大人と少女が居た。

何故だ。変な組み合わせだ。


「我々は、鑑定を互いに見て見せ合った。その中でわしの孫が力アップのスキルを見つけたんだ」


俺は、村長から指輪を受け取った。

そしてはめて、少女を見た。


神田奈菜かんだなな 17歳】


スキル

力アップ


ほう、スキルがあった。

何気に村長も見た。


神田権太かんだごんた 76歳】


スキル

鑑定


「村長を鑑定したら、スキル鑑定って出てるぞ」


「え!何を冗談をいってる」


この男が村長の息子か、都会に行ったまま戻らないと村長がぼやいた息子だ。

この息子は何もない。


息子に指輪を貸した。

すぐにはめて村長を見た。


「親父、本当だ。鑑定って表示されてるぞ」


「地上では、そんな鑑定は無かったはずだ」


「もしかして、ダンジョンの魔力に触れて開花したかも知れないな」


その一言で大変な事になった。

村人や親類や知人が、どっとダンジョンに入って再鑑定をした。


富山静子とみやましずこ 42歳】


スキル

素早さアップ



高田健一たかだけんいち64歳】


スキル

力アップ


村長を含めて3人が見つかった。


そんな鑑定中に、菜奈ちゃんの戦いを見た。

ゴブリン相手に戦う奈菜ちゃんは、回数を重ねる度に強くなってる。

力アップのせいで動きもいいし、振り下ろした剣でざっくりと斬ってる。

やはり力のなせる力技だ。


佐々木「奈菜ちゃんも疲れてるだろうから帰りましょう」


「おじいちゃん、わたしも疲れたよ」


「そうか、そうか・・・おじいちゃんが無理をさせたようだ。皆も帰るぞ」





地上の戻ってから村長と2人して話し合った。


「村長、鑑定を料金を取って鑑定しないか・・・」


「え!それはどうな話だね・・・」


「ギルド主体でやるとタダ働きだ。俺の知り合いの神谷弁護士がいるから相談するといいぞ。青い魔石の買取も参加した人だ。中々のやり手だからがっぽり儲けられるから」


「それは、本当か・・・」


「もし1人1万円なら100人で100万円になる計算だ。村長、納得したら電話しようか・・・」


「そうだな・・・頼むよ」


スマホで掛けて、手渡した。


「はい、そうです。・・・はい・・・お願いします」



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