第27話世界に知れた




ギルド本部の会議室で、巨大モニターに大雪山の戦いが映し出されていた。


大木の顔がアップに映った。


「あの動画はなんだ!!魔法が全世界にばれたぞ」


画面が変わった。


「現場責任者の須藤です。自衛隊員から観光客にいたって、契約書を交わしております。身体検査もしたのですが・・・スマホを2台を持ってたようで・・・」


「そこだよ君、検査が不十分だと認識してるのかね。その動画を流した奴にもきっちり責任を取らせよ。契約を破ったのだ。反論の余地も無いはずだ」


「しかし、あの場合は強い拘束力は無理だと上からの命令でしたので・・・わたしは仕方なく・・・」


「誰だね、そんな命令を出したのは・・・だから海外にばれてしまったではないか・・・」


「現法律に則ったまでなので、私には責任は一切ありません」


「須藤!貴様の判断かーー、で海外からどれだけの苦情が来たか知ってるのかね。日本の優位性が台無しだ。それに信頼までも・・・」


「それでも私の責任を追及するなら、出る所へ出るまでです」


「貴様のやった事がまだ分からんのか・・・」


大木は、テーブルを「ダンッ」と叩いて会議室が静まり返った。


「アメリカから鑑定の申し込みがあった。誰だ!そこまでばらしたのは・・・」


誰もが顔を見渡した。自分ではないと言ってるように・・・


「まったく情報をなんだと思ってるんだ」





俺の事は、ネットなどで晒されていた。

1日も掛からず名前や住所が公表されて、炎上の最中らしい。


神須村へ向かう道路は、ギルドと警察によって閉鎖。

関係者以外通れなくしている。




神須学園の広い講堂で、ハルがポツンと座って話し掛けてきた。


「師匠、学園の寮は快適ですよ。温泉やスポーツジムも完備でコンビニもあって凄いですよ。それにコンビニで村の人たちにもよく会って話もしてますよ」


「そりゃコンビニが無かった所にあれば誰でも行くよ」


後ろのドアが開き、佐々木部長と村上と鈴木の3人が入って来た。


「少し遅れてご免なさいね。下では大勢の人に囲まれて動けなかったのよ」


「部長のおっしゃた事は本当です。これを見て下さい。野次馬でごった返して大変です。村上さんもそう思うでしょ」


鈴木よ、動画を見せたいのかカメラを持って来ても見ないって。


「メンバーも揃ったから行くか」




学園を出ると大勢の村人が、がやがやと騒ぎてた。


「おい!村長、来たぞ。きっちりと話をしてくれよな」


「分かった、分かった、静かにしろ。話も出来ないぞ」


騒いでいた村人がようやく静まり返った。


「村長さん、これは一体何ですか。ギルド敷地内に入って抗議でもする積もりですか」


「あんたに話があるんじゃない。神須の孫に用があって来てるだけだ」


「村長、おおよその頼みの見当もついてます。村人たちの親類や知人を鑑定して欲しいのでは」


「言いづらいがそうじゃ。村を代表して頼む」


知ってる村人だ。ここへ来てから良くしてくれた。無下むげにできないな。


「分かりました。俺が鑑定出来るのは、この鑑定の指輪のお陰なんです。ダンジョンへ行ってる間に貸しますので自由に使って下さい。使い終わったら牧田のおばさんへ返して下さいね」


「それは本当かね」


鑑定の指輪を村長に手渡した。

村長は、手にした指輪を自分の指にはめた。


「あ!見える・・・見えるぞ」


「後は村長に見てもらって下さいね」


「村長、わしの孫からじゃ。東京から来たんだぞ」


「いやいや俺からだ」


「そんなに焦らなくても、わしは逃げたりせんわ」


騒ぐ村人をそのままにして、神須ギルド支部へ寄った。

おばさんには、ちょうど今の話をした。


「そりゃ大変だったね。村の連中も悪気はないんだよ。すまないね・・・」


「師匠、終わりました。行きましょう」


「そうだな」


俺らは、ダンジョンへ入った。



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