第25話大雪山の戦い
日本最北端の地で宗谷岬から海を眺めていた。
「師匠、眺めていて思うものがありますか」
「いや、ただ見てるだけだよ」
水上春は、あれから俺について魔法の修行中だ。
ここに居るのは、北端ダンジョンのスライム討伐が終わったからだ。
待望の石柱は出なかった。
ここで待っていた人たちも寂しそうに去った。
鑑定結果は0だ。もうギルド職員の人を見る目は無いに等しいぞ。
ここに居るのもヘリの不調だ。新たなヘリが来るのを待っていた。
近くに航空自衛隊基地(稚内)があるからすぐに来るだろ
担当者の説明では、軍用ヘリが向かってるらしい。
「大変です。
「師匠、わたしも始めての経験ですが頑張ります。なんか緊張します」
もう目がキラキラだ。
俺はじいさんの事を思い出した。
何度も何度も動画を見続けた。そこにはじいさんが生きてたからだ。
ゴブリン相手なら手に取るように、動きが分かるのもそれが原因だ。
「師匠、師匠!」
「あ!考え事をしていた」
「しっかりして下さいよ。ヘリが来ましたよ」
爆音を鳴らすヘリに乗り込んだ。
ドアを閉めるのも待たずに離陸した。
「申し訳ありません。急いでいるので、なんでも観光客が襲われたみたいです」
「怪我人は・・・出たのですか」心配そうにハルが聞いた。
「死者が出ました。なぜダンジョンが見つけられなかったのか悔やまれます」
山が多い日本は、今年初めての1回目になった。
昨年は、最高件数の3件だ。
山なので被害は少ないが、放置される日数で強い魔物が出る場合が多い。
今までは、出現した中でオークが最強だ。その時の被害も多かった。
今回はどうなんだろう。
なので速い段階で、地上に出たボスを倒す必要があった。
じいさんが最後に倒したのもゴブリンのボスだった。
ヘリのドアが開いて「ロープで降りて下さい」
え!ロープで降りるの、そんなのした事がないのに・・・
「師匠、先に行きます」
あれ、平気にスルスルと降りてる。
これは降りるしかない。なんだやってみれば簡単だ。
あっちこっちで自衛隊のヘリから自衛隊員が降りていた。
そして銃声が聞こえていた。
ハルは、水球を放った。オークの顔面に命中して頭部は破裂だ。
オークの腹なら銃弾も平気だが、顔面が弱点だ。ただし頭部は硬いのでNGだ。
ハルは、魔物の討伐方法をよく知ってる。
それにしても22階層の魔物が出て来たのか・・・やっかいだ。
あ!あれがオークのボスか、体が黒く周りのオークよりでかいから目立ってすぐにわかったぞ。
俺は黒いオークを目標に、暗黒吸刀で斬りながら走った。
有効範囲に入った。すぐに雷撃を全範囲に落とした。
黒いオークを中心に、カミナリが「ガラ、ゴロ、ガラ、ガラ」と落ちた。
これで大丈夫だ。
銃声が激しい。振返ると自衛隊が劣勢だ。
俺は引き返した。手には暗黒吸刀と暗黒刀の2刀流だ。
コボルトも斬って、大狼も斬った。更に斬って斬りまくった。
乱戦だと雷撃も落とせない。
あ、ハルが近距離から3メートルもある熊に、水球を放ってどでかい穴を開けている。
お前は魔法士だろう。遠距離魔法で仕留めろよ。
手に水球を保持したまま、振り下ろされたコボルトの剣を殴った。
剣は弾かれて、コボルトの顔面にヒット。頭部ごと破壊した。
もう空手のような戦いだ。
しかし、こんなに多いと面倒だ。
ハルの戦いにヒントを得た。
刀に雷を
その伸びた雷刀が大勢の魔物を斬った。
斬ったというか当たった瞬間に感電死だ。
それでも相手の能力奪い取っている。
わき上がる力や素早さが証明だ。
もう情け容赦なく斬りまくった。
なんとか終わった。
「師匠、やりましたよ」
「まだ油断は出来ないぞ」
「何故ですか?」
「ダンジョン確認が終わってないからだ」
自衛隊が「ダンジョンを探せ。ダンジョンを確認するまで油断するな!!」と怒鳴った。
そうなのだ。ボスが倒されたらダンジョンの穴が赤から普通に戻るはずだ。
それが確認されたら、ここもダンジョン攻略の対象になるはずだ。
誰かがダンジョンの最下層のボスを倒せば、ダンジョンは消えると言った。
それを信じてる者は多い。日本人は特に信じてる。
「師匠、探しましょう」
「怪我はないか」
「怪我なんかありません。これでも覚醒者ですよ」
そうなんだ。最近になって俺らを覚醒者と呼ばれるようになった。
探索者の扱いでなく、特別扱いにされている。
「何!!リザードマンと蛇の化け物が居るって本当か」
隊長が無線機に怒鳴っていた。
これは深刻だ。トップランカーが歯が立たない連中に、自衛隊が勝てるのか・・・
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