第19話緑の魔石




冒険者ギルドの部屋で、細身の男性とちょと背は低いが太ったコンビが待っていた。


「このコンビが、緑の石を換金した人物だよ。紫は全然分からないな・・・渡り冒険者らしいぞ」


「そうですか、ありがとう御座います」


「なにかあれば受付にきな・・・いつでも居るからな」


受付のおっさんは、そう言いながら部屋を出て行った。


「石の情報を話すだけで、金がもらえるって本当か?」


「そうだな、いい情報なら金が増えるかも知れないな。嘘の話はダメだからな」


「知ってる事ならなんでも言うよ」


「何を倒したら、あの石が出できた」


2人は互いの顔を見合って話し出した。


「あれは迷いの森の近くだったな」


「近くに川も流れてたぞ」


「それで焚き木をしながら寝ようとした時だ。ビックスが川へ水を飲みに行って、凄い声で助けを呼んだから急いで駆けつけたんだ」


「あの時は驚いたな。死ぬかと思ったぜ」


「それで持ってた焚き火を投げつけたんだ。すぐに燃え出してそのまま倒れたんだ」


「木だからよく燃えたな。普通より燃えた感じだな。石の換金を聞いていたから探したらあったのがあの石なんだ」


「迷いの森で間違いないな」


「あそこに入ったら出れないって話だから注意してたんだ」


「そういえば・・・帰りに寄った村でじいさんが変な話をしてたな・・・ビックスが金を払う時に石を見られて、銅貨20枚で買いたいと言われたんだ。地面に埋めると植物がよく育つらしいって」


「売らなくて正解だったよな。こっちの換金は銀貨2枚だから」


情報報酬に金貨1枚をやった。

もう何度もお辞儀をして、肩までむって言った時は驚いた。

おっさんに揉まれても嬉しくないのが本音だ。

俺は道順を聞いたから行く事にした。




うっそうと茂った森だ。

なんとなく迷いの森にふさわしい感じだ。



富士の樹海のように迷って出れ無くなったらどうしよう。

磁気コンパスを出してみた。

お!この世界にも磁気はあるのか、針は北を指しているぞ。

地球では、正確には真北でなく少しずれがあるって聞いた。

こっちはどうなんだ。


なんかこの森の中心を、針が指してる気がする。


ドローンを出して、飛ばしてみた。

なんだ!中心にどでかい木があった。

ゆさゆさと枝が動いてた。


あ!あの木に気をとられ過ぎた。

画面がトレントの接近を知らせていた。


ドローンを自動帰還じどうきかんモードして、画面を見ながら作戦を練った。


作戦って言っても、火球でやっつけるだけだ。


あ!出て来た。もう老木に近い木だぞ。これなら勝てそうだ。

根をくねらせて進んでいるぞ。そんな遅い動きなら十分に対処出来る。

あのコンビは、こんな重要な話をなぜしない。


空中に浮かんだ火球の1つを放った。

当たった瞬間に物凄い勢いで燃えてるぞ。


こっちから来たか「これでも喰らえ」

燃えてる。よく燃えてこっちが怖いくらいだ。


もうあっちこっちで木が燃えてた。


ならば暗黒吸刀をだした。


残りのトレントに向かって走った。

根をじゃんじゃん切った。あ!頭上から何かされてるぞ。これは魔法だ。

魔法に掛かる前に討伐してやる。


トレントは、もう立ってられなくなって倒れた。

倒れたトレントを更に切って切りまくった。


なんとか間に合った。

風魔法で周り散らしたのが良かった。


このトレントは状態異常の麻痺を掛けやがった。


あ!【植物魔法習得】と表示された。

なにがなんだか分からない魔法だが、ガッツポーズをした。


回収した緑の魔石は、43個だ。

残りの奴らは、やばいと思ったのか逃げやがった。


もう1回、ドローンを飛ばした。

でかい木には、目や口もあった。


何かしゃべってるぞ。

ドローンを返しての声では理解不能だ。


微かに「なにしに来た」と遠くの声が聞こえてきた。


「我はここから動かぬ。もう手出しはしないから帰れ」


襲ってきたくせに・・・生意気に・・・まあいいか・・・

植物魔法を習得した事で、魔石効果がなんなのか理解した。

鑑定では、魔石は鑑定出来なかった。何故だか分からん。



緑の魔石は、植物の成長を助ける効果があった。

じいさんの畑に埋めてみるか、効果があったらご近所さんの所へも埋めてやってもいい。

秘密に、こっそりがいいだろう。

ギルド連中に知れたらうるさくて面倒だから、絶対に知らせない。



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