第18話闇組織




異世界にいる俺は、迷路のような路地裏にいた。


「ここが闇組織と接触出来る店か・・・なんて怪しい店だ」


錆び付いたドアをギーィと鳴かせながら入った。

凄い目つきの男が、テーブルを拭いていた。


「アラス産の酒を飲ませてくれ、金貨50枚も払うから飲ませてくれ」


「それは昨日で無くなったよ」


「なら昨日へ行くから用意してくれ」


凄い目つきの男は、鍵を手渡してきた。


「あのドアへゆけ」




鍵で開けると部屋は、うす暗かった。

奥ではロウソクの明かりで5人の男がテーブルを囲んでいる。

カードのような物で賭け事をしてる最中だ。

あれ!あいつは後ろカードを隠し持ってるぞ。

ちゃちな如何様いかさまだ。


テーブルの上に金貨や銀貨が無造作に山積みされて、中央に1枚2枚と投げていた。


「お客さんだ」


一斉に俺を見た。


どれもこれも小汚いおっさんだ。


「向こうのテーブルに来い」


頭の禿げたおっさんがテーブルの席にドサッと座った。


「どんな用件だ」


「ある商品を売ってもらいたい。必要な材料も用意したからそっちで組み立てて売ってくれ。収益からこっちにも何割かもらえれば、こっちは文句はない。ただしこっちの正体は絶対に秘密だ」


「なんか勘違いしてるようだな。こっちは情報か闇の仕事しかしないぞ」


「まあ、慌てずに商品を見てくれ」


テーブルの上にLED照明を置いた。そしてツマミをひねった。

パッと部屋全体を明るくした。


「なんだ火事か・・・」


「あれだ。あれが光ってるぞ」


「なんだ、それは」


「・・・・・・」


「どうだ、気に入ったか・・・これならバカ売れして今の仕事より稼げるぜ」


「俺も、その商売に乗った」


「俺もだ」


「あれって売れるのか・・・」


「あれなら貴族に高く売れるはずだ。お前は、あれを見た事があるか・・・ないだろう」



もう乗り気満々だ。


「ここに配線して、こうやって繋げて・・・」


「仕組みを教えてくれよ」


「え!仕組か・・・ここに電気が流れて」


「ちょっと待った。電気ってなんだ」


そうだよな。ここの連中に電気の話をしても無理だ。もっと子供に話すよう話すしかないな。


「このツマミを入れると、デンキAくんが「照明をつけろ」とこの電子回路へ命令するんだ」


「デンキAくんがここを走るのか・・・」


「そうだよ、この配線の中を走るんだ」


「デンキAくんは、どうなるんだ」


「ここを走り回って、元のツマミに戻って来るんだよ」


「デンキAくんは消えないのか・・・それはよかった」


「アニキ、消えたらかわいそうだよ」


「そうだよ、一生懸命に走ったのに・・・」


「だから戻って来たって、先生が言ったろ。ちゃんと生きてるぞ」


「そうなのか・・・それなら次も応援できるな」


「この石は、魔物の石だ。そうだろ先生」


「そうだよ、魔物の石だよ。この石が照明を光らせる為にLEDくんに飯を運んでるんだ」


「デンキAくんの飯は・・・」


「そりゃーこの石からもらってるさ」


「そうだよな。飯も食わせないなら働かないぞ」




俺は路地裏に出ていた。ああ疲れたぞ。

もうめちゃくちゃ疲れた。


照明の外装は、何とかむこうで木工職人が作るらしい。

それに闇組織は、思っていたよりでかい組織のようだ。


あっちこっちの領主に深くかかわってるらしい。

あのおっさんも幹部になれると喜んでた。


それに貴族の怖さも、おっさんから聞かされた。

俺の読みも当たっていた。


これで闇組織は俺に恩が出来た。

もしもの時には、奴らに頼りやすくなったはずだ。

それに十分に利益もでるだろう。




宿屋に入った。


「あんたか・・・ちゃんと醤油を持って来てくれたかい」


持って来たよ。それも業務用の10Lを・・・

分からないように、ドンとドンと2箱も置いた。


「あんた、あんた、醤油がきたよ」


「本当か」


だんなさんが出てきた。


「これか・・・箱に入ってるのか・・・お、重い。あんたのお陰で人気店の仲間入りができたよ。感謝いてるからな」


「そうだ、思い出したよ。ギルドマスターから荷物が来たから、2階の部屋に入れてあるからね」


「え!荷物・・・あ!あれか」


鍵をもらって2階へ行った。



木箱が2つもあった。

開けると様々な魔石が入っていた。

これってどんだけの値段になるんだ。検討も付かないなーー。


あれ!緑の魔石や紫の魔石まであるぞ。

また何を言われるか・・・この2つの魔石は保留だ。



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