第16話教育
ギルド本部の会議室では、巨大なモニターに魔法を教えている動画が映されていた。
急に騒がしくなる中、「静かに見ろ!!」と怒鳴り声でようやく静かになった。
上映が終わり明かりがついた。
「今回は、急に魔法についての話し合いになりましたが、反対する方はいますか」
電光板には、全員が【いいえ】と意見が一致していた。
電光板の33番が光った。そして青い色に変わった。
「確認です。それは本当の動画ですか・・・」
モニターにその男の顔が映し出されていた。
担当の者が「動画を何度もチェックしました。真実の動画で間違いありません。撮った者は鈴木ひとし。執行部の部長補佐を勤めて3年の者です。指導者の男は神須勇20歳。神須ダンジョンが活躍地で雷魔法でスライムを倒した者で間違いありません。指導されたのが執行部部長の佐々木です」
「それは本当ですか」急に女が立って大声を発した。
「ブ、ブ、ブー」
「勝手な発言はおやめ下さい。全国のギルド長が参加してます」
女は恥ずかしそうに座った。
1番が光った。そして青に変わった。
「佐々木、居るならここで風魔法を見せてみろ」ほぼ
佐々木は席を立って、中央に歩きながら出てきた。
「それでは完成してませんが、風魔法を使います。どうなっても知りませんよ」
徐々に風が吹いた。
それが竜巻となって会議室を吹き荒れた。
資料の紙が凄い勢いで舞い上がった。
会議室の人間は、恐ろしいものを見るように佐々木を見ていた。
立上がって逃げ出した者が空中に舞い上がった。
そして風は、急に止んだ。
2メートルも舞った男は、腰を床に強打。
倒れ込んだまま痛々しくうずくまっている。
係りの警備員が駆け寄って、
佐々木は、素知らぬ顔で席についた。
もう会議室の人々は、佐々木を見る目が変わってしまう。
それは持たぬ者の恐怖だ。
「神須は、世界に通用する人物です。そして魔法は、人類の希望です。なので魔法教育機関を設立案を提出します。緊急賛否をお願いします。今回は、今後の事を考えて実名投票になります」
そして1番が光った。
「よく聞くように、我が国は新たな資源を手に入れた。しかし・・・階層が深くなるにつれ魔物の強さは更に強くなっている。もう物理攻撃だけでは無理なのだ。トップを走り続ける必要があるのだ。あの魔法を見ただろう。本人は未完成だと言ってる・・・それでもあれだけの事をやってのけたのだ。それを考えて欲しい」
電光板とブザー音で投票開始を知らせる。
最初に投票したのが1番だ。【賛成】の青表示だ。
電光板が次々に光った」
「賛成103、反対2で、魔法教育機関の設立を承認します」
神須ギルド支部の広大な土地に、重機のブルドーザーが土を掘り返していた。
ショベルが土をすくっては、移動させている。
「オーライ、オーライ、ストップ」
「早く資材をおろせーー、早く建てればボーナスが出るぞーー」
緑の残った山などが掘削や整地などがテキパキと行なわれていた。
作業員が大勢で作業をしている。
それは8時過ぎから始まった作業で、ボートがかかげられた。
【ギルド魔法学園】と書かれていた。
牧田のおばさんも知らなかったようで、スマホで連絡していた。
そして大勢の村人が見ていた。
「なにが起きたんだい」
「何がなんだか、分からん」
「ここの村民以上の数が、居そうだな」
「なら店に来てくれるかな」
「あれだけ居れば来るよ」
「そうかい。じゃー帰って店を開くとしようかい」
俺は、そんな風景を見てた。
あの時は、なにも考えもしなかった・・・もう後戻りは無理そうだな。
肩をポンポンと軽く叩かれた。
「なんだよ!牧田のおばさんか・・・驚かさないでくれよ」
「驚かしたかい・・・悪かったね。ナイフが大量に支部に届いたけど、何に使う積もりだい」
「色々に使う積もりでいるよ」
ナイフを大量に受取った。受取った物は黒い渦に収納だ。
「さあ!目的地に行くか・・・」車に乗って出発だ。
山道を走り、お目当ての高速道路に入った。
すでに行き先は入力済みだ。【自動運転モード】のボタンを押した。
自動運転中は暇だ。渋滞もなく時間通りに目的地へ行けるだろう。
タブレットで最近のニュースを見てた。
あ!昨日の世間を驚かせたニュースだ。
牧田のおばさんから聞いた話だ。
御神恵子の傷ついた姿が、生々しく映し出されていた。
仲間の肩でようやく立って歩いている姿だ。
それなのに報道人は、前をさえぎって映像を撮り続けていた。
「どうやら25階層のリーザードマンに惨敗したようです」
「秋田さん、被害はどうなってますか?」
「御神が負傷、田中がダンジョン内で死亡と聞いてます」
「トップランカーでも死亡者が出たそうです。田中は、鉄壁の男と異名を持った者です。ダンジョン評論家の村田さんは、どう思われますか?」
「これは大変な事です。25階で攻略がストップした。それはアメリカや中国に追い越される可能性があると言う事です」
「追い越すとしたら誰でしょうか?」
「アメリカのノア姉妹が有力です」
俺は、「フーゥ」とため息をついた。
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