第15話交渉が始まった
俺は、スマホで話していた。
「なので交渉頼みたいので来れますか? はい、分かりました」
神須ギルド支部1階奥の会議室では、向こう側に佐々木と鈴木が座って待っていた。
もう交渉モード全開だ。
スマホはふせてるが何処かに繋がってる。そして片耳には、ワイヤレスイヤホンが付けられていた。
誰かが聞いて指示を出してるのだろう。
俺のスマホの会話が終わった。ゆっくりと椅子に座った。
「2時間後に来るそうです。それまで交渉はしませんよ」
「それは分かったわ。魔石の数を確認させて欲しいわ」
パンパンになったポーチを外して、テーブルの上に魔石をゴロゴロと出した。
キラキラと照明の光で輝いていた。
鈴木は、慎重に手袋をして数えだした。
「128個もあります」
佐々木は、鈴木を睨んだ。
「はい、報告してきます」
そい言って会議室を出ながら、スマホで連絡していた。
ふせたスマホと違う所へ連絡か・・・そうに違いない。
2時間後に。ガバッとドアが開いた。
「神須さん、久し振りです。凄い金になるって本当ですか」
「神谷さん、ちょっと外で話ましょう」
2人して会議室を出た。
「そんな効果がある魔石ですか・・・凄い値段になるでしょうね」
「それを神谷さんに任せたいと思ってます」
「報酬は間違いなく、お願いしますよ」
「契約書にサインでもしますか」
「そう思って書いてきました」
内容を見てサインした。それをカバンに大事そうに仕舞う神谷だ。
佐々木部長と神谷弁護士が静かに戦いが始まった。
俺の1、2万円の予想が外れた。
10万円から始まって、ドンドンと跳ね上がった。
絶対に俺では無理な値段交渉だ。やはり神谷弁護士は優秀だ。
「50万円でどうでしょう。これ以上は無理です」
「青い魔石でガン治療を何回治療を出来ましたか?」
「それは教える事はできません」
「それでは交渉した後で分かった場合は、契約の無効になるかも知れませんね。私の調べでは、初めてのガン医療費は平均43万円、医療費以外にも平均22万円の出費があり、合計で約65万円です。病期(ステージ)が進行していると治療に要した年間費用は多くなり、ステージ0(平均37万円)とステージIV(平均108万円)では約2.9倍に跳ね上がります。それから考えても安くありませんか?・・・仕方ない海外に売りますか?」
「それは法律で禁止されてます」
「ならば国際ギルドへ提訴します。それでよろしいですね」
「それは、ダメです」
「あなたは、法律を守らない積もりですか・・・今の段階で、それだけの価値しかない魔石だと認定してる。そんなあなた方には、これ以上話も出来ません。これで打ち切りです」
「待ちなさい」
「部長、
「仕方ありません。わたし個人として反対ですが、80万円でどうですか・・・」
俺と弁護士はコソコソと話した。
『これ以上は無理そうです。80万円で我慢しますか・・・』
『ええ、それでお願いします』
「依頼人も了承しました」
「それではここにサインを・・・」
俺はササッとサインした。
まだ隠し持っている203個は保留だ。
今日のドロップした青い魔石は128個だ。前回が7個で計135個。
結局1億800万円が入金。弁護士は1割の1千80万円を数時間で手に入れた。
ほぼボロ儲けだ。
俺は探索者で税金免除だ。
いつ死ぬか分からない仕事だ。国の為に頑張ってる仕事でもあった。
そんな優遇をしても、探索者の数は減る一方であった。
国はあの手この手で色々やっている。
弁護士の神谷は、ぼやいていた。
電卓を叩いて税金の計算をしていたらしい。
どれだけ税金を納めるのか、話そうともしない。
下の端末を使って、神谷の口座に振り込んだ。
神谷は、端末画面の金額を見てニコリと微笑んだ。
俺は、俺で残高の金額に驚いた。あんなに数字が並んでたからだ。
あれ!数字が多いぞ。オークションの入金だ。
入金金額は、嘘・・・460万だ。
「神須さん、今回もありがとう御座います。何かあれば何時でも連絡下さい」
「それなら頼みたい事があります」
「何でしょうか?」
「この辺の山を買って下さい。そして空き家になった土地も購入して欲しいのです」
「神須さんは、ここの大地主ですよね・・・」
「そうですよ。全て相続しました」
「それでも買うのですか・・・わたしには、理解が出来ません」
「それは直感です。この地を守らないと不当に政府に買い上げられる可能性が出てきたので・・・」
「そうですか・・・分かりました。やってみましょう」
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