第8話宮下ダンジョン




緑ゆたかな山の中を走り続けた。

広大な田や畑を過ぎると、目立った建物が見えて来たぞ。

あれが宮下ギルド支部らしい「目的地周辺に来ました」とカーナビがしゃべった。

1時間半を掛けて宮下ダンジョンへやって来たぞ。


駐車場はガラガラだった。

時間は午前5時57分だ。1番近い場所にとめた。

歩いてもすぐだ。


建物前で6時を過ぎたので入った。


壮年そうねんな男性がカウンターごしに、チラッと見て又書き作業に戻った。

俺は、気にせずにカードを読ませていた。


なんだよ、来た理由を申請しろって・・・くそ面倒だ。

「カチャカチャ、カチャ」と打ち込んでEnterを押した。

画面に【ダンジョンへようこそ】と出た。


「あんた誰だ」


振返ったら5人のパーティーが俺を見てた。


「神須ダンジョンから来た者ですよ」


「へーー、あんな田舎からここへ来たのか」


ここも田舎だぞ。


「たけし、からむのはよして」


「まあ、いいだろう」


こんな所でからまれるとは思わなかった。

軽く会釈えしゃくして横を通った。


スマホの地図アプリで順調に2階層の階段に来ていた。

ここに入ったのが俺が1番だから、ゴブリンを58体も倒してやった。

奴らの手助けをしたようで、なんとなく腹が立った。


もうゴブリン相手だと力のアップは、感じられなくなった。

俺が上がり過ぎたからか・・・もっと強い相手を倒さないと無理か・・・



目の前のゴブリンを真っ二つにした。

その後ろからゴブリンが飛び出た。しかし暗黒吸刀で袈裟懸けさがけに斬りすてた。


消えた跡から魔石を拾った。


その奥には階段が見えていた。

又も魔法が習得出来るかな、ソワソワしながら2階へ下りていった。


「バチ、バチ、バチ」と放電して3匹を倒した。


暗黒吸刀で斬りたい誘惑を抑えて、突き進んだ。


斬って暗黒吸刀が腐食させられたら、もっと強くなる野望がついえてしまう。

それに相手を溶かす能力なんて、欲しいとも思わない。

反面・・・物理攻撃無効だったらと・・・




ここがあの空間か・・・神須より大きいな。

それにそこらじゅうがスライムだ。


「バチ、バチ、バチ」と放電を放ちながら入った。

放電に触れた瞬間にスライムは失神して弾けた。

「ボタ、ボタ、ボタ」と神須より大量にスライムが落ちては、姿を消した。

そしてようやく全滅させた。



又も揺れて石柱がせり出した。


なんじに、これを与えよう』と書かれていた。


石柱の上に指輪があった。


なんの特徴もない指輪だ。

はめるしかないだろう。左の中指に指輪をはめた。


あ!この指輪は鑑定の指輪だ。

なんとなく感じた。鑑定の指輪だと脳にひらめいた感じだ。


俺は魔法が欲しかったのにーー。




そしてスライムを見つけて鑑定を試した。


【スライム】


なんでも溶かして捕食する


物理攻撃無効

火耐性あり

雷に非常に弱い


スライムは、こんな魔物だったのか・・・色々勉強になった。


あ!奴らが来た。すぐに隠れた。


「スライムを見かけないぞ」


「見ないから更に警戒しろ。襲われたら面倒だ」


「さっきの人っていい感じな人だったわね」


「さつき、あんなのがタイプなの」


「探索に関係ない話はするな。もっと真剣にやれ」


「あ!たけしのやきもちだ」


ごちゃごちゃ言いながら、違う横道に入って行った。

あのルートは、3階への階段ルートだ。



もうここの用事は終わった。帰るか・・・




「あんた、ソロでもう上がるのか・・・早くないか・・・え!こんなに倒したのか」


あの時には居なかった美人な女性が覗き込んでいた。


「川口さん、滞在時間はどれくらいなの」


「ちょっと待って下さい・・・3時間ほどですね」


「あんた、こっちのダンジョンに乗り換えない」


「ダメですよ。向こうでは俺しか探索者は居ないので」


「川口さん、それって本当なの」


「それは本当ですね。これを見て下さい。1年前に1人が引退したので・・・」


「今の話は忘れてね」


「はい」


宮下支部では、6万円の収入になった。

  


近くのスーパーマーケット【あけぼの】によって、手当たりしだい買った。

カートは一杯だ。


このカートは、カードを差込むと入れた物は自動清算されるシステムだ。

ちらっと見ると、あっちこっちに監視カメラがいっぱいだ。

あのカメラで不正防止をしてるらしい。

なのでそのまま【あけぼの】を出て駐車場へ行った。


車に入れるふりをして亜空間にドシドシ入れた。


又も【あけぼの】へ行って買いまくった。

くだものを買ったが果たしてどうなる。時間経過がストップすると予想している。

しかし腐った場合は、腐ったらどうなるんだ。

ぐちゃぐちゃなくだものって想像もしたくないな。



あ!スマホが鳴った。牧田のおばさんだ。


「え!銃が届いたってホント・・・分かった。今は下の宮下に居るから遅くなるから」


車を発進させて急いで帰った。





「銃弾を大量に買ってるわね。この半分以上は支部で預かるわ」


「え!どうして」


「テロ対策で規制がうるさいのよ。買う時に下に書いてあったでしょ」


全然見てないよ。テロなんかしないし・・・それを言っても無駄か・・・


「もしかして宮下ダンジョンへ入ったの」


「うん、宮下ダンジョンへ入った。ここより大きい気がしたなーー。向こうに誘われたけど断ったよ」


「そう、それならば何も言う事はないわ」


おばさんは、安心した表情だ。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る