第5話魔法の練習




【亜空間魔法】で何が出来るんだ。

これが異世界へ行く魔法かも知れないぞ。


【亜空間魔法】で・・・どうやって異世界へ行けるんだ。

画面には時間表示が出てないぞ。

異世界のギルドマスターから色々な魔法を聞いた。

特別な魔法でユニーク魔法だ。滅多に覚えられない魔法だ。


有名な魔法で、死霊魔法だ。死者をよみがえらせて意のまま使う魔法だ。

この【亜空間魔法】も同じユニーク魔法か・・・



しばらくしてると、魔力が少しだけ何処かに吸取られる気がする。

なんとなくだが【亜空間魔法】が原因だろう。


雷魔法でなんとなく魔法を理解した。その流れでそんな風に思えた。

多分、異世界へ行く為にチャージしてるのだろ。

異世界に行くんだ。大量の魔力が必要だ。だから何処かの空間に魔力を溜め込んでる。

それが正解だろう。


ギルドマスターが言うには、使い過ぎると気絶するらしい。

下手をすると死んでしまう。それの予防策に違いない。


だから今は【亜空間魔法】を発動しても鏡は出てこない。

なんだ!・・・この黒い渦は・・・急に現れたぞ。

【亜空間魔法】の別の魔法か・・・


直径30センチ程の黒い渦が空中に浮かんでた。


指で触ってみた。なんともないぞ。

腕を突っ込んでみた。あれ!すっぽり入った。中は空洞だ。

後ろを見たが手はない。


これは、あれだ。

近場にあったコップを入れてみた。

今度は腕を入れて探したが、コップに無かった。


コップをイメージすると、急に手の平にコップの感触があった。

取り出してみた。どこにも異常がない普通のコップだ。

これでようやく確信した。


これは物を入れたり出したり出来る空間だと。


又も入れてみた。そして「渦よ消えろ」と言うと消えた。

又も黒い渦をイメージした。思ったとおりに現れた。


居間の長さ140センチのソファを入れと念じた。

え!入った。あの大きな物が・・・


もう手当り次第に家具などを入れてみた。

1時間後、家の中はからっぽだ。

あれ!なんかやばいぞ、急にめまいがしてきた。


黒い渦を消すと嘘のようにすっきりした。

これがギルドマスターが言っていた症状か・・・今後、注意が必要だ。


え!どうしよう。

テレビも無ければ、ベッドもタンスも無いぞ。

我が家で、とんでもない事になったしまったぞ。



魔力消費が激しいから、ここは寝るしかないな。

そのまま寝転がると、急に睡魔に襲われて寝てしまった。




あ!寝てたのか「もう夕暮れ時だな・・・家具をだすか」


時計を見ながら必要な物を20分で出した。

あとは回復してから出せばいい。


まだ熟練が足らないのか家具の位置がずれまくって、1時間も掛けて元の位置に移動させた。

タンスなんか引き出しを取り出して、動かして元に戻すはめっちゃ面倒だ。



ああ、腹が減ったな。


冷蔵庫から冷凍中華やきそばを取って、レンジでチンした。

俺は、中華やきそばに酢を掛けた。


このすっぱさがたまらないなーー。

そんな中華やきそばを食べながら、テレビを見てた。


「ただいま面白い話題が世間を賑わってます。あのオークの肉が極上の肉だと判明しました」


なんだよそのニュースは・・・もしかして、あの食堂の肉ってオーク肉か・・・

魔物を倒してすぐに牙や皮を剥ぎ取っても、その素材は消えずに残る事は知られていた。


しかし、そんな事をすれば魔石が無くなるのだ。

牙や皮は、あまり役にたたない素材だ。肉を取る発想はなかったなーー。

本当に美味いのか・・・オークの動画を見たが・・・あんな魔物は食いたくないぞ。



体はでっぷりしていて、顔はみにくくヨダレを垂らしながら襲うのだ。

「ブヒ、ブヒ」と声をとどろかせる姿は恐怖だ。


子供が見て気絶したニュースもあった程だ。


俺はテレビを消して、外に出た。




LEDペンライトで照らしながら歩いた。

用水路を照らして、「これなら大丈夫だな」


体の魔力を集中させて「いでよ火球」と唱えた。


目の前に小さな炎が現れて、徐々に回転しながら球体へと変化した。

そして10センチ程の火球になった途端に飛んで行った。


水路のど真ん中に命中して、水飛沫みずしぶきと「バシャーン」とでかい音が鳴った。

近寄って水路を照らしてのぞいた。水路の底は黒く焦げているぞ。


「相当な威力だな」


これで人類最初の魔術士の誕生だ。

こんなに簡単に火魔法ができるなんて嘘のようだ。



体内の魔力には、まだ余裕がありそうだ。



又も離れた位置で、連続発射を試みた。


2つの火球が形成されて、「ビュン、ビュン」と飛んで水飛沫が舞った。


「あちゃー、やってしまった」


コンクリートの一部が壊れたぞ。見なかった事にしよう。


俺は、ウキウキしながら帰った。



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